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家の売却で騒音の告知義務はどこまで?参考になる裁判例も紹介!

2022.09.28|不動産
笠井美英

売り出し中の中古住宅の隣人が騒音を出す人で…

売りたいマンションの上階の子供が元気すぎてうるさい…

前面道路を大型トラックが往来するので騒音がすごい…

 

こういったケース、よくあります。

そんな物件を売却する際、売主は「騒音問題あり」と買主に告知しなければいけないのでしょうか?

また、どのレベルまで告げるべきなのでしょうか?

 

売却に伴う騒音の告知義務は、その範囲がはっきり定まっているわけではありません。音の感じ方には個人差があるからです。

とはいえ、後のトラブルを避けるため、以下の点を心掛けるといいでしょう。

 

●住んでいる間に継続的に気になった音については告知する

●買主(または検討者)が契約する・しないを判断する上で影響ありそうな音については告知する

 

そもそも「騒音」の基準とは?と感じたかもしれません。

環境庁が発表している「騒音の基準値」によると、住宅地の日常生活で望ましい音の大きさは、昼間55デシベル以下・夜間45デシベル以下となっています。これを超えると騒音とみなされます。

<参考>

・エアコン=41~59 デシベル

・洗濯機=64~72デシベル

・掃除機=60~76デシベル

・テレビ=57~72デシベル

・子供のかけ足=50~66デシベル

・話し声(日常)=50~61デシベル

 

ここで、騒音に関連する判例(概要)を2つ紹介します。

 

【上階から聞こえる生活音に耐えられない!(神戸地裁・平成14年5月31日判決)】

分譲マンションの1室を購入した男性が、上階の給排水音・放尿音に耐えられないとして、売主業者に契約解除と代金返還を求めた。

販売パンフレットには「通常マンションのワンランク上のハイグレード」「快適さを極限まで追求」といった記載があった。 業者は遮音工事で対応したものの、男性は「設計・施工の時点で騒音対策がされていない欠陥住宅だ」と訴えた。

裁判所は、パンフレットの言葉はセールストークでよく見かけるもので、防音性・遮音性を保証したものではないと判断。 また、居室内で測定された音は最大32デシベルだったため、欠陥住宅とまでは言えず、男性の訴えは退けられた。

 

【隣人が子供嫌いという説明は無かった!(大阪高裁・平成16年12月2日判決)】

一戸建を購入した買主だったが、隣地の住人から「子供がうるさい」「追い出してやる」と言われ、逆にステレオの音量を大きくしたり、建物にホースで水をかけられたりした。

その隣人は、売主が住んでいる当時から極端な子供嫌いで「子供を黙らせろ」と苦情を言っては、売主の洗濯物に水をかけたり、泥を投げたりしていたことが発覚。売主が自治会長や警察にも相談した経過があった。

契約時、仲介業者が用意した「物件状況告知書」には「隣人より騒音による苦情があった」という記載はあった。しかし、買主が「本当に近隣に問題ありませんか?」と売主に質問したところ、売主は「問題ありません」と返答していた。

裁判所は、隣人との出来事について売主は買主に説明する義務があり、告知書にある記載だけでは不十分と判断。売主は買主に損害賠償すべきだと命じた。 仲介業者も説明の必要性を知りながらしなかったため、説明義務違反として売主と連帯して責任を負うことになった。

 

騒音の告知義務について留意点をまとめますと…

騒音の感じ方は個々に異なるが、買主が契約する・しないを判断する材料に当てはまりそうな特異性のある事実は告知すべき

マンションのような上下隣が接している物件は騒音トラブルが多いので、特に注意

仲介業者を介しているからといって、売主の説明責任が免除されるわけではない

物件にマイナス面がないようなアピールは避けた方がいい

過去の騒音トラブルを隠し「問題ありません」と虚偽の説明をしてはならない

 

以上、参考になれば何よりです。

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