安心と快適を得るSession8

断熱と耐震工事を併せて考える。

もし厳冬期に、あなたの住んでいる地域で、巨大地震が襲ったら?
復旧がいつになるか見通しのつかない停電になってしまったら?
避難所があるから大丈夫ですか? 国や県がなんとかしてくれますか?
備えあれば憂いなしと言いますが、備えってなんでしょう?

電気が全くない状態でも何とか生活が続けられること。
そんなことをイメージしながら日々改修工事にあたっています。

私が断熱や耐震を真剣に考えている根本には、自分自身に多少なりともこのあたりの不安があるからだと思います。また、日本が抱えるエネルギー問題、そして今後も高騰を続けるであろう灯油やガス、ガソリンといった燃料費。原子力発電に頼ったこれまでの電化の時代に対する反省。今後私たちはどのように地震などの自然現象とつきあい、暮らしを送らねばならないのか。果たして未来の子どもたちに、どのような世の中を引き継げるのか。小さなことのように感じる時もありますが、大きく感じる時もあります。
断熱耐震同時改修は、これらの問題を解決しうる一つの方向性だと考えています。可能な限り建物で消費されるエネルギーを減らし、いつくるやもしれない巨大地震で建物が倒壊しないこと。暮らし続けることができること。

セッション1断熱職人の家

一般の方々にはあまり知られていないのですが、新築の時期が昭和56年以前なのか後なのかで、木造住宅の耐震性は大きく異なります。その頃、国は木造住宅の耐震性を見直す法改正を行ったのです。昭和56年以前は、木造の構造についてほぼ規制がなく、設計者や大工さんに一任という形になっていました。それぞれの経験やカンが頼りでした。築年数がどのくらいかをまずお聞きするのはそうした理由があるからです。古い家のすべてがひどい状況にあるかと言えばそうでもなくて、現代の耐震性に匹敵するほどのレベルを備えたものもありますし、これではちょっとした地震ですぐ倒壊してしまいそうだなぁ、すぐにでも何とかしないと、と感じる建物もあります。
旧来の木造住宅は、襖や障子で隔てられた和室が多く、また南側全面に引違い窓が大きく開口されています。ほとんどの建物が現行の建築基準法では不適合になってしまいます。震度5以上の地震がやってきた場合、1階の壁がない弱点の部分がまず歪み、最悪は建物全体が倒壊してしまいます。また、基礎や地盤についても状態にばらつきがあります。大工さんが、どんなにしっかり作った木造の骨組みでも、基礎や地盤が悪く大きく傾いている建物も少なくありません。セッション1断熱職人の家 

あまりマイナスイメージばかりお伝えをするのは忍びないのですが、日本は世界でも有数の地震国であり、全国に活断層が無数に存在しています。安心して暮らすには一定以上の耐震性を確保することが必要な国なのです。
耐震補強工事はそれほど大変な工事ではありません。まずは現状の柱・壁の位置を耐震診断プログラムに入力します。すぐにその家の弱点や修正しなければ ならない箇所が示されます。主として壁を増やす提案をし、それを暮し手のみなさんと相談しながら間取りを含む打ち合わせをします。並行して断熱改修工事や使用する素材の検討、暖房や換気の検討を進めていくのが理想です。
いくらキッチンやお風呂を改修しても、いくら暖かい室内にするための断熱改修をしても、安心して暮らすことができる建物構造でなければ意味がないと思うのです。
リフォーム業者は多々あれど、耐震性のことにまで首を突っ込んでくる会社は稀です。提案できる会社がほとんどないともいえます。
断熱改修工事に踏み切るのであれば、それほど予算をかけなくとも、そこに意識が有るかないかでずいぶんと耐震性はアップできます。セッション1断熱職人の家 

 

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