この時期になると窓ガラスの結露が気になる、という方も多いはず。
気密性が高い家で、加湿器を運転している、室内に洗濯物を干している、 そんな方は常に結露するかしないか、 室内はけっこうギリギリの環境下にある、ということを知っておいた方が良いでしょう。 ご
覧の画像は昨年新築した長野市内の西面に向いた和室の引き違い窓。
サッシはYKK ap社のAPW330 樹脂サッシ ガス入りLOW-Eペアガラス
外気温は朝6:00頃が最低値になります。
やがて日の出とともに外気温は上昇するため、結露はやがて汗が引くように消えてゆきます。
この画像は朝9:00頃のもの。
ガラスの角部分に結露が残っています。
昔のようなサッシでしたら、ここにゴムパッキンがついていますね。(ビートといいます)
そのゴムにカビが発生したり、劣化してパキパキひび割れしていたものです。
☆4つは最高ランクのガラスとされていますが、いったいなぜ結露?
ウチだけ?
結露させないためにはどうすれば?
お住まいの方がそう感じるのもごもっともです。
現状の把握と原因の探求をするために訪問して参りました。
まずみなさんにもご注意いただきたいのが、お手持ちの温湿度計の正確さについて。
左はお住まいの方所有の温湿度計。
気温18.8℃ 湿度40%でした。
右は「おんどとり」という商品で、建築業界の温熱について真剣に取り組んでいる方ならばご存知の方も多いはず。
気温22.2℃。湿度はこの画像では確認できないのですが40%でした。
一般的には温度はある程度相違ないのですが、湿度は全く違う値を示すことがきわめて多い。
しかし今回は偶然40%と同じ値でした。
湿度は正確には”相対湿度(そうたいしつど)”といいますが、気温と共に連動して変化する、七変化の魔性の数値です(笑)
窓の下にはパネルヒーターが備え付けられていますが、特に結露量が多く発生する和室の窓です。
窓枠内に納まるハニカムサーモスクリーンまで具備しています。
夜はハニカムサーモスクリーンを下げて、この和室で寝ているとのこと。
人の呼気で湿度は高まるはずですが、24時間換気(第3種ダクト式)も連続運転しています。
ここにおんどとりを設置し、しばらくの期間気温&湿度の記録を取ることにしました。
放射温度計も持参しましたので、サッシ・ガラスの内側の表面温度もざっとあたりました。
ちょっとギョっとする数字を入手することになってしまいましたので、工務店さん、サッシメーカーさんと相談して、いずれ近いうちに本ブログで公表ができればと思っていますが、どうなるか。
ちなみにおんどとりは、(機種にもよりますが)設定時間間隔で自動記録をすることに加え、 インターネット環境があれば、自動でデータを送信する機能も備えています。
こんな風に気温・湿度の動きを遠隔で観察できます。
気温と湿度が分かると、露点(ろてん)温度が決まります。
その露点温度を下回る部分があると、そこに結露が発生します。
この画像は自動転送データをグラフで見ていますが、露点温度は12.1℃。
おそらく外気温は0℃前後まで落ちてきているので、あとは断熱の力に頼るのみです!
断熱の力が弱いのは、ガラス、サッシ枠など開口部です。果たして12.1℃以下にならなければよいのですが・・・。
う~ん、やばい。 毒がにじみ出てきた・・・汗
そろそろ筆をおかなければ、、、 うううっ・・・
今回のテーマは非常に生活に密接していると思いますので、過日別の方からメールでお問合せいただいたやり取りを掲載しておきます。
長い文面ですが、ぜひみなさんと共有したい情報が詰まっています。
これで今日のところは我慢してください。
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長野市在住M様(の奥様)
題名: 質問!パネルヒーターについて
メッセージ本文:
お世話になっております。
今春、○○にて建てました△△です。
いつもブログ、待ちきれない思いで拝読しています(笑)
今日は、パネルヒーターのことでメールさせてきただきました。
寒くなり、連続運転を開始しました。とても快適です!!全館暖房最高ですね!!! が、しかし…プチ夫婦喧嘩?の元でもあります(笑)
我が家はパントリーの前に引き戸をつけてもらいました。それは、パントリーに野菜とか果物とか置きたいから。冷暗所を作りたいからでした。
ですが、夫は、パントリーが結露するから引き戸は開けっ放しにするべきだと。 確かにそうかもしれませんが、ゴミ箱も兼ねているので、毎日10回は引き戸を開け閉めしています。それに引き戸のすき間風もあるので、そこまで気にしなくていいのでは?と思うのですが、塩原さんの見解をお聞きしたいです。
また、ついでの質問にはなりますが、今は1階はつまみ(パネルヒーターのサーモバルブ)をⅢ、2階はⅡにしています。 朝方、2階の窓だけ結露しているので、全館合わせた方がいいのでしょうか? お忙しいところお手数おかけしますが、いつでも構いませんので返信いただけると嬉しいです。 宜しくお願いいたします。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 塩原より
アンパン好きの△△様(笑) 失礼!Reborn塩原です。
メッセージありがとうございます。 いよいよ本格的な冬が明日から始まりそうですね。
プチ夫婦喧嘩とは!(笑) 以下塩原の見解です。参考にしてください。
まず、パントリーの引き戸を開けるか否かについて。 考え方の”基本としては”、開けておいた方がよいと考えます。 ご主人がおっしゃるように、結露のリスクが減りますので。
20℃・50%の空気の露点温度※は9.3℃です。 キッチンは多少水蒸気が多いので、20℃60%だと、露点温度は12℃です。 同じ気温でも、湿度が高い空気の方が、当然結露しやすくなります。
(※露点温度というのは、空気が水滴になる温度で、結露する境界温度または湿度ということです。20℃60%の空気は、12℃以下の物体に触れると水滴になります)
つまるところ、パントリーの中の壁や床天井が12℃以下にならなければ結露はしません。しかしサッシやドア、ガラスなどは、当然ながらそれ以下になり得ますので、注意が必要です。
野菜や果物の保管に適した温度は10℃前後のものが多いと聞きますが、最適湿度は80~90%ととても高く、高断熱の家でこの環境をつくることは無理だろうと考えています。
外部に、野菜や果物専用の棚などをつくってそこに置いておくのもアリはアリですが、保存するための適温ではありません。天然の冷蔵庫という感じのイメージです。 天然冷蔵庫として屋外を利用するのは信州の特権でもありますしね^^
次に、パネルヒーターのサーモバルブの設定について。 まず前提になるのが、 「害のない結露は是である」 ということです。
これは私の経験に基づく独自持論ですが、 ガラス面が水滴化し、垂れ、窓枠木部を濡らすほどであれば、カビや腐れにいずれなりますが、水滴化しない結露(ガラスが曇る程度)や、外気温が上がって8時ごろにはなくなる結露であれば問題なしだと思っています。 (外気温は朝6:00頃が最も下がります) のどが乾かないように、またお肌がカサつかないようにするには湿度50%だとちょっともの足りない。洗濯物を家の中に干せば、60%ほどになり得ます。 このくらいの湿度が本当は体にやさしいのですが、たとえトリプルガラスなど高性能ガラスを用いても、厳冬期のサッシガラス室内側は15~16℃に保つのが限界です。 気温22℃、60%の空気の露点は14℃です。ペアガラスの下側は15℃前後になっている場合がほとんどなので、我々の提供している住宅、実はけっこう結露するかしないか、ぎりぎりのところなんですね。 なので、サッシの下にパネルヒーターを置くことが推奨されているんですね。 最後は換気で調整します。 ルフロのコントローラーが無段階でダイヤル調整できるというのがミソで、他社メーカーの換気扇は、弱・中・強、というようになっています。 ぎりぎり結露しないところまで、換気扇の風量を調整してみてください。目盛り1~2の間ぐらいになることが多いです。 実際のところは、まあ、外気温にもよるところが大きいので、難しいんですが・・・。 20℃50%の空気が一般に多くの人が快適だと机上では言っているわけですが、 就寝時20℃は高すぎると思います。16~18℃くらいが個人的には気に入ってます。湿度は55%あれば理想ですが、3種換気であるため、50%くらいが限界ではないでしょうか。換気扇を止めれば湿度も温度も上がりますが、空気質がどんどん悪くなりますからやめましょう。 寝室は人間の呼気で湿度が高まります。気温も低温。のどが渇くからと、加湿器もほしい。そうなると18℃-65% の露点温度は12℃なので、朝方は窓ガラスが曇ることは当然あり得ます。 では結露しないようにと20℃にすると今度は寝苦しいはずです。子供たちは汗かいたりするかと思います。どっちを取るかと考えたとき、冒頭に述べました、 「実害のない結露は是」です。 ちょっと専門用語がたくさん出てきて分かりづらいかと思います。 この内容がすべてご理解いただけるようでしたら、 プチ喧嘩もなくなって、今度はほんものの喧嘩になるかも(笑)
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あんパン好きの△△です!覚えていただけてて嬉しいです!
早々の返信ありがとうございました。 熱い内容で、塩原さんの熱気が懐かしく思い出されました。
パントリーの件は、(悔しいですが)夫の言う通りにします。塩原さんの見解ならば素直に従えます(笑)
結露の件も、全てが悪者ではないと。納得です。確かに朝の8時頃には窓は乾いていますし、Ⅱの状態である現在ですら、子供は布団を蹴飛ばしているので、Ⅲにしたら熱帯夜状態かもしれませんね。 こちらは現状が最適かもしれないということが分かり、安心です。
お忙しいところ付き合っていただきありがとうございました。 また、分からないことがありましたら連絡させていただくかもしれませんが、宜しくお願いします。 これからの季節、体調崩しやすいのでご自愛ください。
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窓に結露を起こさせないためには、トリプルガラスにする、換気量を増やす、ことなども当然考えられるわけですが、 まだまだトリプルガラスあるいはクワトロガラス入りの樹脂サッシあるいは木製サッシはたいへん高価で、 ガラスの性能が上がると今度は枠の方が性能が劣るため、断熱材入りの樹脂サッシや木製サッシが登場してきてはいますが、 なかなか手が届く価格帯ではありません。
換気量を上げると結露はおさまるものの、乾燥が促進され、また熱ロスも大きくなるため暖房エネルギーが当然増えます。
第1種熱交換型換気扇を導入するもの当然検討されるべきですが、2~3か月毎のフィルターの清掃を欠かなさいことが必須条件。
これを生涯にわたって守ることができる方限定です。
あ~なんか喉乾いてきた。 はよ帰ってビールのむべ。 あ、山形のジュンちゃん、ポンシュありがと!^^y
2017.12.2 Reborn塩原(毒度10)
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