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令和の米軍ハウス

2021.03.13|Q1.0住宅|設計・デザイン
塩原真貴

森の中に佇む基礎だけの住宅-。
北佐久郡御代田町(みよたまち)。軽井沢の西側に位置しています。
昨年末に基礎工事だけを実施。
「3月あたかかくなったら建て前をやろう」という工程となっておりました。
この画像は1月末。
日差しはありますが外気温は-6℃で、頭蓋骨の顎付近ががキィーンと痛い。
間口15m、奥行き46mという東西になが~い敷地。
この土地を初めて見に行ったのは2018年10月27日とあるから、かれこれ2年5か月もの時間が過ぎている。

(はじめて下見したときの写真)
秋とはいえまだまだまだ葉が生い茂り、日中なのにやや暗い。
南西に下がり気味で、南隣地も森。
さてどんな建物にしようか・・・。
オーナーさんの家づくり希望リストには、
・地震につよく
・冬暖かく夏涼しい
・経年変化がよい風合いとなる
・理想は米軍ハウス
・開口部が大きい、部屋の中と外と一体感がある
・土間
・薪ストーブ
・しっくい壁
・大きな家ではなく、使いやすい家
・犬と猫も快適に暮らせる
・緑がどの部屋からも眺められる
などなどが挙げられている。

11月に入るとこの辺りは一斉に落葉。地面はオレンジ色に。
この写真は昨年秋に伐採した様子を見にいったときのもの。
ザ・信州という様相で、長野県に暮らしていると当たり前になってしまってるけど、
「信州には美しい四季がある」という、どなただったか、移住の理由を教えてくれたそのたたずまいを感じとることができた。

最近シオハラのブログではしばしば野山の風景の写真が多くなっている。
ここ数年、やはり年を重ねてきた影響なのか、山に登るようになったのか、
はたまた自らの生命の果てを意識するようになったのか、こういう寂しげな風景に目頭が熱くなるのである。

さて、3月1日に上棟。
「米軍ハウス」の希望に沿えているかどうか、小屋裏利用の2階建ての低いプロポーション。
屋根勾配も久しぶりに8寸(10:8)勾配で、職人面々の膝を笑わせただけでなく、泣かせた。
間口7.7m奥行き14.2mという、敷地形状に素直な長方形の建物とした。
全体平面計画として凸凹がなく長方形。
地震に強い家は、まず建物の形はできるだけシンプルにするべきである。
屋根は基本は切り妻屋根だが、南のデッキ部分には逆への字に勾配を切り替えて米軍ハウス的デザインとした。

この逆への字屋根はログハウスでは定番。
過去にもたびたび採用されていて、今回は8から3寸勾配の切り替え。
屋根材は今回もディプロマットであるが、この材料の限界最低勾配は2.5寸とされ、できるだけ3寸以上にしたいところ。
森の中なので雨樋は基本つけないが、南側のみ木の葉が詰まりにくいとされるタニタハウジングのストッ葉°ー(すとっぱー、と読ませる)が採用に。
無論雪は少ないエリアだが、ディプロマット表面石粒により無落雪だ。

8寸勾配屋根は普通の人は足だけでは歩けない。
過去に何人かすたすた歩いている板金職人を見かけたことがあったが、
あの人たちの膝および足首はいったいどうなっているのか。
ふつうはこのように屋根足場と呼ばれる単管パイプを屋根の上にかけて作業を行う。
ひさしぶりに天窓を採用。全部で5か所あり、うち3窓が電動で開閉。
さすがに細長い小屋組みの家で森に囲まれていると、設計上2階はまっくらになっちゃう問題に。
天窓で回避するのが王道であるが、VELUX(天窓メーカー)の防水性について、ようやく私自身納得し信頼性がもてるようになった。

登り梁、屋根垂木ツーバイシックス@303㎜、タルキックⅡねじ、etc.
この業界に身を置くようになって26年。ありとあらゆる技術情報を織り交ぜて、大きな吹抜けがあったとしても耐震等級3を死守する姿勢は今後も貫いてゆきたい。
私の体には木造軸組み工法、ツーバイフォー工法、ログハウス工法(丸太組み工法)の血が混ざっている。
それぞれ長所短所があるけれど、これらを混ぜた工法は最近トレンドになってきていると感じる次第。
それらに高断熱高気密工法を組み合わせ、令和仕様の米軍ハウスが御代田に誕生するのは今年の秋の見込み。
今後永らえるであろうRebornの歴史の中で、ひょっとしたら一つの定番料理になるのではないかと設計者も大きな期待を寄せている。

【断熱材】
屋根:吹込みグラスウール35K サンブロードライ t=300mm
壁:高性能グラスウール16K t=225mm充填(軸間120㎜+KMブラケット105㎜)
床:高性能グラスウール16K t=245mm充填(大引間105㎜+根太間140㎜)
基礎:押出法ポリスチレンフォーム(スタイロエースⅡ) 3種b  外100mm/内50mm 
Ua=0.32
ηA=1.1
Q=0.88
日射取得熱626W(暖房期)
自然温度差9.35℃(暖房期)

★Q1.0住宅 LEVEL-2(次世代省エネ基準比34.7%)
【サッシ】
木製サッシ(アンダーセン) Low-Eペアガラス(透明) アルゴンガス入り
樹脂サッシ(エクセルシャノン・シャノンウインドーⅡs)Low-Eペアガラス アルゴンガス入り遮熱ガラス(透明)
木製サッシ(VELUX) 強化ペアガラス 透明   VS電動③箇所、FIX②箇所

【暖房・換気】
薪ストーブ:HETA ロギオーブン
第三種24時間セントラル換気 日本住環境 ルフロ400+ダクト配管φ100㎜ DCモーター

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