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付加断熱工事~長野市鬼無里MAR様邸

2016.06.14|Q1.0住宅|断熱職人
塩原真貴

野市鬼無里のMAR様邸が断熱工事に突入しました。

上棟から約2週間。

垂木野地(たるきのじ)~屋根の下地工事→躯体耐震補強金物取り付け→外壁壁下地→外壁耐力面材取り付け→1階床組→1階床断熱工事→1階粗床→サッシ・玄関ドア取付け→換気配管・電気配線→そして目下外壁付加断熱中です^^

設計図通り金物がついているか?

柱は図面通りの位置にあるか、垂直に立っているか?

窓が入るか?

躯体の精度はどうか?

床下のそうじは行き届いているか?

チェックすべき要点は無限に近いほどあります。

Rebornでは外壁に耐力面材を全面に貼ることを標準にしています。いまや特別なことではなくなった世の中ですが、「これを貼ると家が一気に固くなる」という実感がありましたから、かれこれもう20年以上も前から何かしらかの面材を貼ってまいりました。  

ノダ・ラスカットM/ハイベストウッド、大建工業・ダイライトなど各メーカーさまざまな商品や名称があるので、HMや工務店ごと仕入れ値や考え方によってまちまちです。重要なのは透湿抵抗が低いこと。つまり湿気を通しやすい素材であることです。

コンパネと呼ばれる合板は、湿気を非常に通しにくいので、もしこうして耐力面材で使用するならば、所定のピッチに従って穴をあけます。

最近私は大建工業のアセダス耐震ボードなる硬質インシュレーションボードを貼る設計としています。

このボードの特徴は、まず施工性がよい=軽い、加工が楽、へんな切り粉ではなくおがくずなので近隣にあんまり神経質にならなくてよい、廃棄処分は木くず扱い、他と比較してちょっと安い、厚みが12㎜木質系なのでちょっと断熱性能がある、釘打ちピッチが他のものより細かめなので巨大地震に対して安心感がある、一人で運べる、パキッっとわれない、などいくつかの利点があります。

実際には大建工業さんのカタログに掲載されておらず、今はやりの(?)裏メニューなのです笑 

2人の大工さんが足場の上下で「もうちょい上!」、「あっ!行き過ぎ!」、「いまいまいまぁ~」とか言いながら釘打ちしています。

1枚が幅90cm、高さ3mほどもあるボードですから、風が強い日は無理ですね汗

釘打ちは当然ながらテッポウとよぶエア式のくぎ打ち機です。

鬼無里の山郷に、パンパンパンと銃声が鳴り響きます。

この面材を貼ると建物が劇的に揺れなくなります。

実は骨組みの状態では、けっこうグラグラ揺れてるんですね。

屋根屋さんなんかが、屋根上でどんどんと金づちで屋根をたたくとけっこう振動がし、強い風が吹くと、微妙ですが揺れています。

Rebornのつくりはちょっと変わっています。

けっこう早い段階で床根太を組みます。しかもツーバイシックスと呼ばれる材を45cm間隔で並べます。

これはツーバイフォー工法に似ていて、先行して床組みをつくり室内の作業性をよくしようという考えからです。

また、床に高性能グラスウール16K 厚さ140㎜とう非常にコストパフォーマンスに優れた断熱材を使用したいという考えもあります。

一般的に木造在来工法は、外壁を先行して進め、1階の床組はけっこう後回しにすることが多いのですが、脚立で上ったり下りたりの作業が増えたり、土台をまたぎながらの作業になるので大変といえばたいへん。これが正解、ということではありませんので、各工務店・HMごとで工程の順番は自由です。 

MAR様邸の設計命題は、屋根上積雪2mの状態で構造計算をし、耐震等級3をクリアすること。

「耐震等級」という言葉が、普通の新聞紙面にもよくでてくるようになりました。

3は壁のバランス配置と水平構面の強さがキーになってきます。

水平構面(すいへいこうめん)というのは、簡単に言うと床や天井それに屋根など水平の面が、どれほど変形しにくいか。

建物が揺れてひし形になるのを防ぐとともに、揺れを壁に伝えて、変な言葉ですが、「安定して揺れる」ようにする役割があります。耐震の基本は壁に拠るところが非常に大きいのは確かですが、壁が正しく踏ん張るには天井や床も大事なんですね。

ですから大きな吹き抜けがあると水平構面はテキメンに悪くなります。この写真のように細かく梁が入り、そのうえに厚みのある構造用合板を貼ると水平構面耐力はグッと上がります。

水平構面である2階の床に貼る構造用合板(厚さ24㎜)もJAS規格で製品認証されているもので、止めつける釘の種類や釘打ちピッチが定められています。

釘がめり込んでいないか、所定のくぎピッチで取り付けられているか確認するのも非常に大事なチェックポイントになります。

75㎜というけっこう長い釘を、15cmピッチでパンパンと打ってあります。

合板の床が24㎜あるので、この上を誰が歩いても大丈夫。

このへんまでくると 、工事中とはいえ、建物の耐震強度は70%程度でていますから、もう震度6強の揺れがきても壊れないだろうと思います。

外壁にはサッシが取り付き、付加断熱用のKMブラケットなる点々状のものが取り付けられました。

サッシはシャノンのシャノンウィンドーⅡ。

アルゴンガス入りLOW-Eペアガラス・樹脂スペーサー。

シャノンは樹脂スペーサーが標準ですが、YKKはオプションです。サッシ発注時はご注意ください。

アルミスペーサーでも悪くはないのですが、ガラスの角は結露しやすく、すこしでも断熱性をあげたいところ。室内側のガラス表面温度は1℃前後変わるはずです。

このKMブラケットに高性能グラスウール16K 厚さ10cmの断熱材をひっかけるようにして詰め込んでゆきます。グラスウールの幅は60cm。その規格寸法にあわせてあらかじめKMブラケットを取り付けておいたのです。

木で下地をつくる工法(木下地付加断熱工法】もあり、過去に双方を価格・時間・作業性などあらゆる観点から比較検証しました。

費用的にはやはりKMブラケット工法のほうが工事費は高くなりますが、施工時間は大幅に短縮できます。

さらにヒートブリッジ(熱橋)と呼ばれる、熱が伝わりやすい木の部分が窓回り以外にまったくないため、断熱効果が5%程度向上します。 

KMブラケットはサッシ枠の支えとしても利用できます。

サッシは大きさにもよりますが、重いものだと100kgをゆうに超えます。

長年にわたりサッシが垂れてこないよう、安定して動作するよう、付加断熱をしてサッシを外側に取り付ける場合は、各社模索中だと思われますが、こんな方法もいいのではないかと思います。

こんな風に窓をつけると、「日射が入りやすい」、室内側が「出窓みたいになる」というメリットもでてきます。

建物の出隅、コーナー部分はこのような木の下地をつくっています。

決まった大きさなので、思ったより簡単につくれる。

1軒で30~40個ほどつくることになりますが、建物の角を補強する役割も意図せずに担っており、耐震上も評価できるのではないかとひそかに思っています。

付加断熱をしたら、すかさずタイベック防水シートを貼ってゆきます。

KMブラケットの先端は白色をしていましたが、そのシールをはがすとなんと粘着ブチルテープになっており、タイベックがくっつきます。指でしゅっとこするとタイベックがピンと張れます。さらにその先端は木ねじが効くような強さがあり、次工程の通気胴縁を止めつける下地になるのです。

非常によく考えられた商品だと思います。今後は200㎜用などもっと厚く付加断熱できるようになってゆくことでしょう。

付加断熱工事の動画(ちょぴっと)YouTube 

2016.6.13 Reborn 建築士・塩原  

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