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出巾90cmの造作ひさし

2018.08.23|リフォーム・リノベーション
塩原真貴

7月から行っている松本市Kさま邸のリフォーム工事が仕上げ工事を迎えました。

築30年近い木造住宅なのですが、家の全周をシロアリが襲いました。

そう、「襲う」という表現が適していると思います。

それがきっかけで、向こう30年を安心して暮らせる家にと劣化対策工事をも担当しています。

コロニアルと呼ばれる薄型スレート屋根は最近めっきり減りましたが、30年前はまさにコロニアル全盛期。

クボタと松下電工の両雄がガチンコでシェア争いをしていたのでした。

この時代のスレート板にはふつうにアスベストが使用されています。

ですから結構強い! 30年メンテナンスされることなく過ごして直射日光を浴び続けてきました。

24時間×365日×30年=262,800時間!

それでこの状態ならば、ある意味すごい! 基材がかなり露出してしまってはいますが・・・。

ふと下を見ると、鋼製物置の屋根も真っ赤( ノД`)

こういうところは普段目につきませんから、致し方なし。

コロニアルは再塗装すべきか、カバー工法で新たな屋根材を重ねて葺くべきか?

判断は分かれるところだと思いますが、 基材がここまで劣化し、アスベストを含んでいるとなるとカバー工法に軍配か。

ところで。

シロアリ駆除を建物全周に行い、復旧工事へ。

地震対策として、壁をはがしたところはすべてダイライトという構造用面材を張りました。

ここにはもともとベランダがあったのですが、漏水がひどく、シロアリの巣ができてしまっていました。

「もうベランダは、使ってないし、いらない・でも日除け霧除けの屋根はほしい」

そんなリクエストにお答えいたしまして、「柱なし・出巾90cm・総長さ10m」という持ち出し屋根を作りました。

前出の画像は、躯体である柱に、出窓を作るときに使う「出窓受け金物」を取り付けた様子。

外壁の通気を優先させ、垂木受けを胴縁の上からがっちりと止め付け、 筋交い金物により、垂木(たるき)を45cm間隔に並べている様子がこれ。

タルキだけに、重力で垂れてしまう?

そうならないようにあらゆる手段を講じます。

それが出窓受け金物であり、筋交い金物なのです。

完成形がこちら。

大人が乗ってもびくともしません!

新築の時は、玄関ポーチなんかでたまにこの工法を取るのですが、 ここまで長いのは初めてです! 

「夏は日よけ」が最重要ですから、この庇(ひさし)はぜひ全国に広まってほしいアイテムです。

どんどん真似してください、全国の大工さん!

直接落雪があるような場所には適しませんので、あしからず。

夏はここに簾(すだれ)をぶら下げるのもよいですね^^

カーテンレールをつけて、要らなくなったカーテンを吊るのもなかなかオツなもんです。

いよいよ台風シーズンの到来です。

今年の夏は雨が少なかったのですが、猛暑の影響で屋根・板金屋さんが相当な人気者です。

屋根の上は風があるとはいえ、照り返しで体感温度は50℃くらいか。

「安物の靴だと、ゴム底がヌルヌルしてきちゃう」、そんなことも言っていましたね。 4

0分おきに降りてきて休みながらこの夏は仕事したそうです。

猛暑の後は台風。どうにか乗り切ってほしいと思います。

  2018.8.23 Reborn塩原  

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