ポスト&ビームの弱点
2016.04.18
先日10数年ぶりに山梨県は白州へ。 もうずいぶん昔になりますが、私の前職の会社で建てた、ウェスタンレッドシーダーの外壁の家へ。 いやぁ~憶えてるもんですね~w こういうのを帰巣本能というんでしょうか? 15年以上ぶりかと思いますが、近くまでいくとなんとなくこっちだったぞと勘が働き、 導かれるようにKさま邸へ無事現着^^ 今年の冬、角煙突の一部分が剥離。 修理をしてほしいとのご希望でした。 落下ブツはこれ。 なんだかわかりますか? レンガのような、タイルのようなブツブツ そうこれ、窯業系サイディングです。 こんなふうにサイディングの出隅(でずみ)役物が、とれちゃってます。 サイディングの悪口を言うつもりはありませんが、風雨にさらされ、またマキストーブの煙に含まれる木酢液がここを伝わり、劣化を速めていると思われます。 ここK様邸を含め、当時は施工のしやすさから、数十件煙突の外壁を窯業系サイディングで設置しましたが、過去そのほとんどが10年程度で交換するに至っております。 結論的には「煙突の外壁に窯業系サイディングは絶対におすすめしない!」 ということになります。 ついでに申しておきますと、こういうベランダもおすすめをしません。構造躯体である丸太梁を室内から屋外に持ち出し、それに床組をしてベランダ(木製バルコニー)を構成しています。 この丸太の先の方から次第に腐ってゆきますので。 また、ウッドデッキに面した丸太の土台もNGです。 この部位は、デッキに落ちた雨が跳ね返り、土台を濡らし、割れから腐れが進行してゆきます。 土台を表しにするのはリスクがありますが、このように丸太の土台は、さらに腐れのリスクが高まります。 早めに腐っている部分を削り取り、ホウ酸などで消毒(腐朽菌の促進を抑える)し、できれば雨ががりが無いように板金などで覆ってあげましょう。 そしてさらにもう一つ。 建物の角の土台(通し柱付近)。このように土台の一方が伸びて、柱を受けているわけですが、この飛び出した10cmほどの部分が雨を当然受けやすいです。写真アングルは上からですが、Kさんはコーキングを打って腐れを予防されていましたが、完全な防水はできず、やはり腐ってしまっていました泣 対策としてはやはり板金で屋根のように覆ってあげるのが基本ですが、すでにもう腐っている場合はやはり患部を切除し、新たに土台を仕込む必要があります。 今後新築される方は、通し柱は落とし蟻に。土台はアラワシにしないことをおすすめします。 外壁は米杉(ウェスタンレッドシーダー)での粗仕上げ材。 箱目地のチャネルシーダーと呼んでいるいつものやつです。 色が焼け、茶褐色からブラウンに。 「この板ももう塗らなきゃね」とKさん。 私の返事は 「もう今後は塗らなくて(再塗装)しなくてよいのではないでしょうか」 この業界に入って20年以上経ちますが、このチャネルシーダーが腐ってしまっている場面をまだ知りません。 木の持つ力を信じましょう。板は張り替えることだってできます。 土台や梁は容易に取り換えはできません。 落とし蟻とはこんなこと。 土台も素直に4寸角で、アラワシにしない。 ポスト&ビームの3大弱点! ①丸太の土台・梁の側面で雨がかかるところ ②四隅の土台のコーナー部が伸ばして飛び出ているところ ③バルコニーのための持ち出しの梁の先端