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なぜ新耐震住宅は倒れたか

2016.11.05|間取り・設計・デザイン
塩原真貴

北アルプスが真っ白になりました! (リボーン3階事務所からの眺望)

今週は前半体調が悪くシンドい日々が続きましたが、ようやく体が持ち直してきました(*´з`)

朝晩は冷えますが、気候も安定してますね。

秋の晴天つづきは、これぞ本当のゴールデンウィーク。

見るものすべてが刻一刻と表情を変えてゆく面白さがあります。 

今週はこの本を読みました。ふとんの中で読みました。

すこしびっくりさせ過ぎのタイトルですが、つまるところは耐震等級3を目指すべきだとの論調です。

筋交いの配置や向き、破壊状況など、とても参考になりました。そして筋交いによる耐力壁のの限界も記載あり。  

震度7クラスの地震が複数回襲うということを、建築基準法はほとんど想定していませんでした。まさに想定外。

最初の揺れで何とか持ちこたえたとしても、その後に続く大きな地震では全壊してしまう可能性がけっこうあるのだ、ということを改めて感じることになったのです。

建物の耐震性は、実際のところ間取りを決める段でほぼ決まります。注文住宅はお客様の要望をできうる限り反映させて予算内に収める、というのがこれまでの営業手法の王道でしたが、今後は改めるべきだと私は考えています。

お客さまの要望を平面図にするだけなら建築士という職業そのものが不必要であるし、お客様の要望を取り込みすぎると、必ず耐震性の弱い家になってしまうことを知っているからです。

また、建築基準法の耐震性基準が低すぎるのではないかという思いも捨てきれません。

今回、熊本地震を受けて、建築基準法の整備も噂されていましたが、結果見送られました。

となると、各メーカーのポリシーや建築士の裁量に委ねられることになるわけですが、耐震性能よりも部屋の広さや設備機器のグレードアップの方が営業段階では優先しないとクッテケナイ、という声もちらほら。

Rebornで新築する家は、頑としてこれからも耐震等級3を標準仕様にしてゆきます!

今後新築木造住宅は、当然”耐震等級=3クリア”に全体的には向かってゆくだろうとは思いますが、根っこの問題は耐震性の低い既存住宅。

特に昭和56年(西暦1981年)以前に建てらた木造住宅。これがなかなか耐震改修されずに、いまだ多くの人がその家に暮らしています。

今後、国としては耐震化率アップ、省エネ性能が高まる事業推進の方に、より力を入れてゆくようです。

低燃費車、いわゆるエコカーや、省エネ家電、照明のLED化。どれも急速に普及してきていますから、当然の流れだと思います。

11/1より公募が始まった「住宅ストック循環支援事業」。

寒くて弱い家があまりにも多く、住宅のエネルギーが減らない、またあちこちで頻発する地震で全壊する家が多く、耐震化もなかなか進まない、 そんな現状を打破し、同時に経済活性化をも目論む国の施策です。

断熱材やエコ設備機器を導入しつつ、耐震性向上工事、バリアフリー工事などを絡めて、それらの工事を誘発すべく国税を投入する。

そのことが廻巡って国益となり、国家の成長につながると踏んでいることでしょう。

ニュースでも盛んに取り上げられていますが、昨日のパリ議定書発効に乗り遅れた日本。

なんとしてでも省エネを推し進め、地球温暖化に歯止めをかけようとする世界的な動きではありますが、現実的な対策・手法を打ち出せずにいる現状があります。

原子力発電に頼ってきた日本のエネルギー事情が行き止まりになり、大量生産・大量消費で突き進んできた高度成長期にたくさん作られた、今から思えば低断熱・低気密・低耐震住宅。

ライフスタイルの多様化、家族の分散定住化。

ITが進化すればするほど、なぜか地球温暖化をはじめとする国際問題を、他人事としてしか感じられなくなってゆく自分自身の危うさも感じています。

目指していることに間違いはない、そう感じながら、目の前の1棟1棟に全力で取り組んでゆきたいと思います。

2016.11.5 Reborn塩原          

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