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付加断熱をグラスウールでやることに意味はあるのか

2017.04.20|断熱職人
塩原真貴

まだまだ普及が進まない付加断熱。

「付加(ふか)す」 という言葉は、一般的ではないにしても誰もが聞いたことがあるでしょう。

付加断熱(ふかだんねつ)とは、 通常の「壁の中に断熱材を詰める」に、ふかして、 外側、あるいは室内側に、さらに断熱材を付け加えるということを意味します。

リボーンでは、「KMブラケット」という商材を使って、グラスウールを付加断熱しています。(弊社標準工法)

色はペンギン、あるいはクールミントガムを連想させる青色で、FRPとポリカーボネートが主剤、つまり堅くて強いプラスチック製です。

プラスチック製、というのがミソでして、非常に熱が伝わりにくい素材であるがゆえ、外壁から熱が逃げにくい。

強度的にも十分で、試験データでも好成績です。1㎡あたり、100~130kgの重さの外壁に耐えることができ、 外壁の材料選定は多種多様に対応でき、モルタルや厚い窯業系サイディングはもちろん可能。

タイルや平板石の仕上げも可能となります。

ただ一つの難点は、金額が高いということ。今後このKMブラケットがたくさん出荷されるようになれば単価は落ちるでしょうが、 リボーンが数千個買ったところで、単価は落ちることはないでしょう。

世の付加断熱に取り組んでいる諸兄たちよ、ぜひとも採用されたし!(笑)

これを耐力面材が貼り終わった外壁に、柱めがけてビスでとめてゆきます。柱にビスが到達しないと手ごたえで感じるはずです。

今年はリフォーム現場で、既存ALC外壁に対してKMブラケットを打ってみようという試みも実行する予定です。  

使用する断熱材の大きさによって取付ピッチはかわります。

この現場では425mm幅の高性能グラスウールを使用しますので、 KMブラケットも425mm間隔で固定されています。  

まるでボルタリング。

思わずへばりつきたくなった人は、KMブラケットを買ってください!(笑) 

建物の角が問題になります。   

そこで、木でL字型の部材をつくりまして、角が構成できるように工夫しています。

またもや登りたくなってしまいましたねお兄さん!(笑)

KMブラケットを付けることが目的ではありません。

そう、付加断熱をどうやってやるのか。

KMブラケットに引掛けるようにしてピンクのグラスウールをパズルのようにはめ込んでゆきます。

あ、超簡単なのでパズルとはいいませんね。まあ、1歳児パズルと呼んでおくことにしましょう。

あらかじめ電気配線や換気給気口、エアコンスリーブなどは施工しておく必要があります。

グラスウールの長さを切るのみの加工ですから、作業はどんどんすすみます。

グラスウールをKMブラケットに引掛けたら、すかさず防水シートを張りましょう。

KMブラケットの先端には粘着テープが付いています。

剥離紙をはがして、シートをくっつけます。

風が強いと剥がれる恐れもあるので、速やかに通気胴縁を打ちます。

木の棒でシートを抑えるわけです。

KMブラケットはビスが打てます。壁には425mm間隔で点状ではありますが、ねじが打てる、というわけです。    

 

ところでなぜ付加断熱材としてグラスウールを用いるのか?  

世の中には、ボード状の、もっと薄くて性能が高い断熱材があるではないか。  

事実、付加断熱を行っている他の工務店やハウスメーカーのほとんどは、カネライトフォームとか、ネオマフォームなどといった商品名のプラスチックボードを使って付加断熱しています。厚みは40mmとか50mmのボードを、長いビスを使って通気胴縁と柱でボード状断熱材を挟み込むようにして、壁に固定しています。

この方法について、私が問題視している点が3つ。

①長いビスが、重い外壁を半永久的に支え続けることができるのか。地震など建物の揺れに対して安全といえるのか

②外部に石油由来の、とても燃えやすい素材を用いてよいものか。家の周りで万が一火が出た場合、通気層があるが故、いとも簡単に外壁に火が延焼するとイメージできる

③高温になる外壁材の直下にあって、有機材であるプラスチックボードは、断熱性能の低下は当然として、経年劣化、収縮し、固定しているビスが緩むのではないか    

ではグラスウールで付加断熱することは何がよいのか?  

①素材はガラス繊維=無機材のため、屋外気温差が厳しい環境でも劣化しにくい

②素材は不燃材であり、つまり外壁が火に強い。有毒ガスが出ないので、プラスチック断熱材が燃えるよりも逃げる時間が長く見込める。

③安価。だれでも、どこでも入手可能。専門工事業者を必要としないので、大工さんでも施工可能。リフォームなどでも応用が効く。  

 

この記事だけを読むと、付加断熱は当然グラスウールやあるいはロックウールなどといった素材の方が良いように聞こえますが、 いったいなぜグラスウールによる付加断熱が少数派なのか疑問に思う方も多いはず。  

それには次のような理由が考えられます。(ほとんどが設計者(工法や素材選定の決定権者)や工事作業者の思い込みによるものだと感じていますが・・・)  

・グラスウールの施工(作業)は切ったりが面倒。チクチクしていやだ。さわりたくない。時間がかかる。

・特に窓まわりの納まりが一般的でない感じになるので時間がかかる。その分の施工単価を元請けからもらえない。

・最近は軒が短いことが多いので、雨が降った場合グラスウールのような綿状の断熱材ではやばい。雨が当たってもボードなら問題ない。

・いまどきグラスウールだなんて、「時代遅れだ」という固定観念がある。「新しいものはみないいものだ」という発想。

・火事のことなんて設計士や工事店には関係ない。火事になっちゃえば、燃えるスピードなんてカンケーない、と自分事として考えない

・ボード状断熱材は薄くて高性能。グラスウールを使う意味が分からない。(考えてみない)とにかく工期短縮が優先。  

 

今号は非常に毒のあるコラムでしたが、次回のコラムは、その「面倒な窓廻り」について見てゆきたいと思います。

2017.4.20 Reborn塩原(毒度9.9)  

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