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3/24・25完成見学会@千曲市八幡

2018.03.17|Q1.0住宅|間取り・設計・デザイン
塩原真貴

先週の土曜日も千曲市で地鎮祭でしたが、 本日、2週連続で千曲市の地鎮祭に出席しました。

昨日は風が強くとても寒い日でしたので重装備をしていったのですが、 午前9:30、じっと立っていると背中はぽかぽか。

厳かな雰囲気の中、「いよいよ春だな」と感じることができました。

設計はReborn塩原、施工は坂田木材さんです。

61坪ながら、四辺がほぼ直角という南北にやや長い長方形で、南面に接道しています。

建築主のSさんは夫婦そろって大変に家づくりに熱心で、よく勉強されています。

住宅作家「伊礼さん」の設計する家がお好みだそうで、 切り妻屋根で低い外観プロポーション、自然素材を内外に使用した和モダン調の木造住宅となります。

この敷地を初めて訪れたのは昨年の11月初旬。 かれこれ4か月ほどが経ちました。

4か月で地鎮祭までこれたので、あっというまでは有りましたが、 1月、2月と、ほぼ毎週末打合せを重ねてまいりました。

ファーストプランからはそれほど大きく変わることはありませんでしたが、 細部にいたるまで、濃密な設計打ち合わせができたと自負しております。

Sさん、地鎮祭おめでとうございます^^ この地で末永く、力強く、たくましく暮らしてゆきましょう!

さてその足で、来週完成見学会(by坂田木材)が行われる、 千曲市八幡の完成間際現場を訪れました。

本日地鎮祭のSさんもそうですが、このHさんのお宅もグラスウールによる壁の付加断熱仕様で、 外壁に高性能グラスウール16Kを220㎜とし、俗にいうところのキューワン住宅です。

リボーンで設計施工する場合はキューワン住宅が標準ですが、坂田木材さんの場合付加断熱はオプション。

最近では約半数のお客様がキューワン住宅になっているそうです^^

シンプルな切り妻屋根で、こちらの画像は北東側からのショットですが、1階に無垢杉板、2階には西洋しっくいという外観。

落ち着きのある、品のある佇まいですね^^

南に回ると旧来からこの地にあるおばあさんの家(つまりお母さまの実家)と横並び。

屋根上には真空管式の太陽集熱パネルと薪ストーブの煙突が出ています。

ぶ厚い断熱で熱損失を減らし、給湯や暖房を自然エネルギーにかなり依存できる設備設計となっております。

太陽光発電パネルも悪くありませんが、太陽熱を熱としてそのまま利用する形となるので(いったん電気に変換していない)、 原始的ではありますが、最も効率よく太陽エネルギーを活用することとなります。

また、薪ストーブの燃料である”マキ”は、土の養分と雨水、二酸化炭素、それに太陽の光と熱を吸収しながら生成される「木」そのものです。

木はある意味、「自然エネルギーが固形物へと姿を変え、凝縮されている物体」とも言えます。

人間も、ある意味自然そのものです。

自然界に息づくあらゆる生物を食し、成長し、太陽の光を浴びて強くなり、 おおきくなる。

最後はマキのように、燃えて、土に還る。

もうすぐ1歳になる彼の写真を見ながら、なんともスリリングな文章ではありますが、 自然界に役に立つような人間でありたいものだと、おもいます。

自然界に害しかないのであれば、それは「存在しなくてよい」ということになります。

ちょっと今日は変ですね、わたし・・・。何かあったんでしょうか?  

見学会は完全予約制で開催されるそうです。

この家の最大のチェックポイントは開口部です。

といってもトリプルガラスなどハイスペックサッシのことを指してはおりません。

窓から見る眺望の良さ。

断熱の検討や温熱計算をしていると、ついつい窓は小さく、かつ減らしたい方向になってゆきます。

ガラスは家のなかでは最も熱が逃げやすく、付加断熱された外壁にくらべて10.5倍もの熱の出入りを許しています。

でもこの自然の雄大さ、厳しさ、変化の様を観ながら生活することの方を選びました。

熱損失の大きさは、自然そのものであるマキで補うことを考えます。

東にはリンゴ畑が広がり、あとひと月もすれば、眼下は真っ白の花で埋め尽くされることでしょう。

そのあと緑の葉が茂り、実が膨らみ、やがて真っ赤な果実となりみなさんの体の中へ。

雨の日も、吹雪も、紅葉も台風も、このガラスを通じて私たちの脳裏に焼き付くのです。

やっぱり今日のシオハラは変ですね(笑)

今日はこの後、他の方の家に打ち合わせに行きましたが、窓ガラスにはプチプチシートや、 中空ポリカと呼ばれる段ボールのプラスチックバージョンの板があらゆるガラスにガムテープで張ってありました。れでは眺望もナニもありません。

高窓(手の届かない高さにある窓)からは山の稜線だけを観ることができます。^^

壁や床、天井にみっちり断熱して、 その代りと言ってはなんですが、 サッシは大きくとる。

ガラスは最低でもアルゴンガス入りのペアガラスを採用しましょう。

LOW-E被膜付きの樹脂スペーサーも見逃さないよう。

そうすれば真冬でも、外の風景が美しく眺めることができます。

お金にゆとりがあるならば、ぜひトリプルガラスへジャンプ!

でもまだ相当に3層のガラス自体が高いので、”手の届くところにない”のが現状だと思っています。

ガラスがとても高価なので、北側の窓など比較的ガラス面積が小さいところからトリプルガラスにしてもらうよう、今後も根拠の提示をしつつ説得を続けてゆきたいと考えております。

屋根上の集熱器と不凍液を介して直接つながっている 貯湯タンクLATENTO(ラテント)500㍑の容量があります。

太陽の熱で温められた、いわば「お湯」がこのタンク内に戻ってきます。

そしてこのタンクの中に凸凹したステンレス製の管がぐるぐると、なんと10mも!

その中に水道水を通すと出口ではけっこう温められて出てくるはずだ!

それがLATENTOの基本的な仕組みです。

問題はこのタンクの中の不凍液が何℃になるか?

夏は100℃近くにまでなることもあるでしょうか、問題は冬です。

従って屋根上の集熱器は冬の太陽高度に合わせて水平線から60°~70°に設定されています。

かつどの方角からも熱を受けやすいように、丸い筒状のトンネルを不凍液が通過してゆきます。

先の平昌オリンピックではノルディック複合でワン・ツー・スリーを決められ、 日本人全員が悔しい想いをしたライバル国ドイツ。

貯湯タンクは当然、室内に置きます。

こんなに優れたものではありますが、最近ゼロエネなどの申請業務をしていて、 「JIS規格、取ってるの?」 なんて審査員に聞かれ、塩原はしどろもどろ・・・。

結局JIS規格に依ってデータが出ていないものは省エネ評価ができない、という結論になることが少なくありません。

このあたり、IVT社さん、何とかしてほしいっす!

この青いマーク「ブルー・エンジェル」は世界で最初のエコマークなんだそうで、かなりハードル高いらしい。

将来的、いやすぐにでも、こういう世界に通用するラベリングが必要なのではないかと思います。

今日はちょうどHさんがDIY珪藻土左官をやっていました^^

約1年に及ぶ工事期間でしたが、外壁板の塗装も相当量DIY塗装したそうですし、 1面だけとはいえ、珪藻土左官にも挑戦。

家づくりに直接かかわったことで、真の「マイ・ベスト・ホーム」になったのではないでしょうか。

私もこの家に携わることができて光栄でした。

最初におめにかかったとき、正直、 「うわっ!ついにきたかあっちの人が!」 と思ってしまいましたが、今日まで白状せずに過ごしてきました。

Hさんは年中裸足で生活をしています。

こういう人だからこそ、どんな生活がここで展開されるのか、 そしてどんなふうに感じてもらえるのか、大変たのしみです^^    

2018.3.17 Reborn塩原  

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