Staff Blog

ほんとうにあった断熱のコワイ話

2016.12.13|断熱職人
塩原真貴

今年もあと3週間! まぁまぁ、そう12/31を区切りとせずに、しっかり来年を見据えてバタバタしないようにしましょう! って、ムリつ

どうしてこうも「年末までには」、「できれば年内に」、「絶対年内に!」って言われちゃうんだろ、言っちゃうんだろ・・・(´;ω;`)ウゥゥ

先日名古屋市のUさんからメールがありました。

三年ほど前に、○○住建という会社の建売を買ったのですが、とても寒いのです。

窓にはプラダンを貼ったりしているのですが、床が冷たくて、階段は、どこか窓が開いてるのかと思うほど寒いんです。

リビングも脱衣所も寒くて、住み替えたいくらいです。

何が原因なのか、どう対策していけば良いのか、教えていただきたいです。

名古屋なので、どうかと思ったのですが、断熱のプロにお聞きしたく、問合せさせていただきました。    

 

ちょうど岐阜県で現場がありましたので、都合が合えば、ということでお返事しました。  

> お問合せを賜りました、長野市の(株)リボーンの塩原です。初めまして。ご相談いただきありがとうございます^^

 > 名古屋は温暖地といえども冬は当然寒いですから、なんとかしないといけませんね。

>  ○○住建さんのHPも覗いてみましたが、工法など詳細はよくわかりませ んでした。断熱など温熱環境についてのお勉強はあまりされていないようではありました。

> 「最近の家はどれもあたたかい」  は迷信です。各社相当にばらつきがあるのが実態です。

 > 家は住んでみないと、断熱性能は全く分からない、ということ自体が問題ではあ りますので、長野県の場合は県条例で、あらかじめ施工業者あるいは設計者が建 築主に、「あなたの家の断熱性能はこれくらいです。見込まれるエネルギー消費量はこのくらいです」という説明義務を定めています。実態はなかなか行われていないようですが・・・。寒い原因は、実際のところ調査をしてみないとわからないのですが、根本的に断 熱材が不足しているか、施工不良の可能性が大きいのではないかと推測します。

>  気流止めの未施工、サッシの断熱性能不足もありがちです。

>  建売住宅は、建築業者の都合で建てられている場合が多いので、やすかろう悪か ろう、になっているのかもわかりません。

> >いずれにせよ、一度お邪魔させていただきアドバイスを差し上げたいと考えています。

>  名古屋地区でもこれまで家を建てさせていただきました。今週末も浴室の断熱改修で岐阜県に行きます。

> 私の都合で恐縮ではございますが、12/10(土)PM2:00頃であれば訪問できますが、ご都合いかがでしょうか?(この場合、「ついでに、」というこ とになりますので、無償で結構です。)    

 

お返事ありがとうございます。

家が寒いことに関しては、○○住建の担当者にも相談したのですが、風通しがいいからという事になって、少し穴?を塞いでもらっただけです。

お風呂も、入っている間に何度も追い炊きをしないといけません。

ぜひ一度、家をみていただきたいです。

10日の午後2時、空いていますのでよろしくお願いします!  

 

という経緯でお邪魔さていただきました。

まだ新築といっていいほど新しい家。

建売り、というのが気になります。

サッシはYKKAPのフレミングというシリーズです。 ウレタンでできたテープをサッシ障子のフレームに張り巡らし、少しでも冷えをなんとかしようとされています。

サッシでは最大手のYKKさん。「窓を考える会社」とコマーシャルしていますが、APW330、430といった高性能な樹脂サッシを売っていると思いきや、実はこんな商品(内外アルミ)も住宅向けに販売しているからコワイです。

建売りとはいえ、消費者は泣いてますよ!

そこだけ樹脂、ってないでしょ~><

名古屋だって外気温0℃近くまでなるって!

早速サーモカメラで見てみると、サッシ枠真っ黒だぞ~><

ガラスはペアですが、アルミ枠の方がやっぱり断然低温なのね・・・泣

もう!冷気が床付近にすごいから! 

浴室の窓は8.8℃って!

外気温より低い・・・( ノД`)シクシク…

しかもジャロジー窓・・・。

あとで床下を覗きましたが、ユニットバスの下、断熱区画内でなく、床下そのもの。

そりゃあずっと追い焚きモードじゃなきゃだめだわ。

玄関ドアも性能悪い。

タイルの床も、基礎断熱していないのか、ほぼ外気温。

この先どうなんの?

クローゼットの荷物をどけてもらい、小屋裏へ。

予想通りの袋入りグラスウール適当置きい~><

厚さ100㎜を2枚重ねて、「はい、天井は200mmです」なんてよくもいえたものだ。

間仕切り上部の気流止めも未施工。

建築士、現場監督、大工・・・。誰かお勉強してないのかよぉ~!

こっから室内の空気がズカズカにげてるんだぞ=3     

そして舞台は床下へ。

「お?きれいじゃん!」

カネライトフォーム3種B厚さ60㎜が大引き間に。

ネダレス工法のようです。

ネダレス工法は、土台上で合板がふたをされるので、床下冷気が壁の中に入りずらい工法。

しかも60㎜となれば相当な断熱性能です^^ 

しかし、歩を進めると・・・・泣  

落下、たわみ・・・

もったいない・・・

こんなに高級な断熱材をむざむざと・・・ 

どうやらこの落下防止フックが重さに耐えられず(?)、はたまた最初から(?)、 はじめは木と木に挟まれていたが、木が収縮し、落下するに至ったか?

ユニットバスの下も、キソパッキンによって通気良好。

確かに点検はしやすいわな・・・。

「風通しが良すぎて寒かったでしょうから、ふさいでおきました」 といってメーカーメンテナンス作業員が行っていったであろう、キソパッキン通気入口をふさごうとした養生テープ。

こんなことって現実にあるんですね・・・。

一見何のミスもないように見える床断熱ですが、 ボード状の断熱材を用いる際は、床組み材(土台や大引き、根太)との密着性をどう確保するのか?

落下防止対策をどうするか?

そのくらいは必ず分かって施工してほしいものです。

床下換気用の通気口を養生テープでふさいで、「これでだいぶ緩和されるでしょう」 なんて恐ろしいお言葉。

君の張った養生テープは、もう剝がれてきてましたよ! 良かったよ、剥がれるやつで!!  

寒さ対策は、優先順に以下で提案をいたしました。

①サッシの断熱強化~全窓(ペアガラス内窓)

②床下断熱材を床に密着させ、木部との隙間に発泡ウレタン充填&強固な落下防止対策

③小屋裏壁上部の気流止めを施工

④ユニットバス下基礎断熱

⑤玄関は基礎断熱ができそうにないし(タイル&土間コンクリートをいちど斫るか、基礎の外面に基礎断熱しないといけない)玄関ドア交換も高くつくので、電気式パネルヒーターのような暖房でタイル面・玄関ドア内側の表面温度を上げてあげるしかない    

 

準防火地域とはいえ、アルミサッシ(フレミング)から防火樹脂サッシへの差額は30~40万円ほどではないかと思います。

新築するときにこの差額は、さすがに大きいものですが、たいていの人はその後住みはじめると後悔することになります。

サッシはなかなか変えることができない。絶対にけちってはならないところなのです。

YKKさんもアルミメーカーとしてのお立場もあろうかと思いますが、省エネ性能が叫ばれる中、こうした断熱性能に劣る商品は一刻も早く廃盤にした方がいいと思います。

でないと、いつまでたってもこうした寒い家が流通することになります。

また、断熱材メーカーには、正しい施工方法や注意すべきポイントをもっと施工者にわかりやすく説明する義務があると思います。

商品そのものや梱包に、おおきく、目立つように、「木部との取り合いを注意されたし!」とか「落下厳禁」と記載しておくとか。

床は住人の歩行振動もあるでしょうから、それに見合った落下防止金具を用意してもらいたい。  

 

この家もおそらくは国で求めている断熱基準には十分に達しているものを選定しているはずです。性能の劣る断熱材は全くありません。

断熱材がいいだけに、全体としてサッシの性能を落としてもよい、という判断を建築士がしているのかもしれません。  

でも正しい施工が行われていない、極端に性能の低いサッシが使われていることによって、室内は12~13℃しかなく、サッシアルミは8℃前後。

これでは体感温度は上がるわけもなく、冷気が常に1階床付近を漂うことになります。

生活者は室内でもダウンジャケットを着て、生活しています。2歳の幼児と、もうすぐ誕生するお子さんがお母さんのおなかにいます。

名古屋という温暖地でありながら、寒い信州や北海道で暮らす人よりもはるかに寒い環境で生活している人がたくさんいる。

なんという不条理。

断熱ポリスが存在したら、現行犯逮捕です!  

2016.12.13 Reborn 塩原(毒度10(max))  

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ブログを読んでいただきありがとうございます。

Rebornがつくりだす家→施工事例

動画も多数配信中→YouTube『Rebornチャンネル』

お客様の声→暮らしのことば

不動産サイト→不動産“腐”動産にしない!させない ‼」

Instagram毎日更新中→reborn_house_

適宜更新中です。ぜひ、こちらもご覧になってみてください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一覧へ戻る お問い合わせ・資料請求
     

月別アーカイブ

     

関連記事

一覧へ戻る