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軽井沢インスペクション

2019.03.14|インスペクション|断熱職人
塩原真貴

いきなり屋根上からこんにちは^^

春を待つ軽井沢。美しいです♪

築30年・木造住宅インスペクションを行いました。

新築当時は別荘として建てたそうですがすでに定住しており、アルミサッシ+1枚ガラスの窓がたくさんあるためか、「とても寒くて困っている。何とかしたい」というご相談をいただきました。

このあたりはバブル期に開発されたエリアで別荘が多いらしく、オーナーさんも高齢化を迎えており、日中ですらほとんど人気(ひとけ)がありません。

画像を見る限りでは晴れていますが、冷たい浅間山からの吹きおろし風が塩原の耳をつんざきます。

2階建てのような平屋屋根に並べられたワインレッドの瓦。

一部をガラス瓦にして、室内居間の採光を助けています。

ズレや割れは確認できません。

「固定は問題なしと・・・。」

やっぱり瓦の耐久性というのは侮れません。ピンピンしています。

谷や尾根があると瓦はカットして納めます。そうなると固定があやふやといいましょうか、難しくなるので、大抵はボロが出ています。

しかしこのようにきっぱりあっさりときれいに並べられた瓦(一文字葺きといいます)は、見事に建物を風雨から守り抜いてきており、これからもきっと守り続けてゆくことでしょう。

天窓風、ガラス瓦に接近。

「ああ・・・、やっぱり」 とは思いましたが、ケツロってます。

たしか室内では石油ファンヒーターを焚いてらっしゃいました。

暖かい空気は高いところにのぼってゆくのは必然。

外気温推定2℃の瓦も当然2℃前後に。 それはそうでしょう。

室内側より。

オーナーさん曰く、「雨が降る窓」だそうで、結露水の落下は日常茶飯事のご様子です。

雨漏り的な結露水を受け入れて、明るさをとるか? 多少暗くとも、ケツロを避けるか?

なお、市販の天窓(たとえばVELUX)を用いたとしても、少なからず結露は発生します。

特に水蒸気を室内に放出する石油ファンヒーターを焚けば避けられません。

天窓をつける際には、換気、暖房方式にも注意が必要です。

小屋裏にも潜り、この天窓の裏側も調査しました。

案の定ではありますが、囲いの周辺に断熱材がありません。

ここも必ず断熱すべき部位ではあります。

屋根裏に行って、その温度環境にびっくりしました( ;∀;)

調査前に打合せをした居間の気温は推定10℃。

この屋根裏は20℃くらいあるでしょうか。ものすごく快適です(*^-^*)  

理由は簡単。

室内を暖めようとした暖房の熱が、間仕切り壁上部から流れ込み、 太陽も出ていたので屋根面をあたため、瓦に蓄熱され輻射熱として屋根裏空間をあたため・・・。

気流止めがない壁から上がってくるはくるは。

断熱すべき壁にも断熱材が入っておらず、 室内側に張られたビニールクロスはその温度変化で下地である石膏ボードに結露が発生し、接着剤の劣化が進み、クロスがずいぶん剥がれていました。

小屋壁(こやかべ)と言いますが、室内に斜め天井部分が存在する場合、 こうした三角形の断熱すべき壁がでてきます。

経験的に、この時代の大抵の木造住宅の小屋壁には断熱材が入っていません。

暖房が効くはずがありません。

小屋裏には暖かく湿った空気が溜まっています。

屋根裏空間の換気が十分にとられていない場合、 冬季北側の野地(のじ=屋根を載せる下地となる板=この家の場合はラワン合板でした)で結露が発生しています。

ここも案の定、逃げ場のない暖かい湿った空気が、雪が乗ったり、北風が吹きつける冷たい屋根の裏側で水滴に変化している様子です。

結露により劣化が進んだベニアは瓦の重みも重なり、おおきくたわんでいました。

釘のサビも気になります。

真冬にここを調査すると、もしかすると冷凍庫のように霜がびっしりついているかもしれません。

床下にも問題があります。

湿気の多い軽井沢とはいえ、尋常ではない湿気。地面の土がかなり湿っています。

湿気はカビを発生させ、断熱材であるグラスウールの性能低下を招きます。

土台や柱などの木部を腐らせ、重大な弱点になりえます。

土地柄、どうしようもないのか?

だからこうして高床式にしているのか?

調査する側からすれば、実に調査しやすいのですが・・・。

床下湿気の原因の一つがこれ。床下換気口。地窓(ぢまど)とも呼ばれますが、大雨の際はここから雨水が流れ込むこともあるでしょう。

なお悪いことに、建物の外よりも床下の地盤面のほうがかなり低いのです。30cm程低いか。

溶岩である軽石を含んだこのあたりの土は、基本的に浅間山の火山灰。水はけが良いのですが、 これだけ悪い条件がそろえば床下の土は濡れています。

床下は当然ながら直射日光が当たりませんから、乾くことは一度もありません。

30年この状態が続くとどうなるか。次からの画像は閲覧注意です。 

白いカビが至る所に木に付着。

大引(おおびき)と呼ばれる床を支える材木端部が腐り落下。

残念ながら伝えることはできませんが、カビの臭いが充満しています。解決策はいろいろあります。

・防湿シートを床下地面に敷き詰め砂を重ねる

・防湿用にコンクリートを5~6cm程流し込む

・換気を促進すべく、機械的に換気を行う、などが挙げられます。

しかし抜本的には、外部地盤面よりも床下地盤面が高い状態にすること。

それが叶わない場合は、家の周囲に暗渠排水などの排水施設を巡らすことです。

湿気の多い床下はカマドウマが生息しやすいそうで、大勢でこちらをじっと見ています(怖) 通称ベンジョコウロギ。

我々業界人の中には、こやつが大っ嫌いな職人が多く、1匹でも発見しようものなら二度と、絶対にその空間には入らない、という人もいるほどです(笑)

断熱工事屋さんのKさんがそうでしたね^^ 

工事を請ける請けないもこいつがいるかいないか次第、って真顔で。(笑)

かくいう私も新入社員の1年生の時分には、もう夢に出てくるほど怖くて気持ちが悪くて・・・。

なんですかね?この脚が異様に長くて脚力があり、1~2mくらいジャンプしてますね。最近はかなり慣れましたよ。慣れって怖いですね(笑)

アンカーボルトがちゃんと締まってない、というのも怖いものです。

基礎を作った人がボルトの出寸法を間違えたというミス。

そしてこの土台をセットした大工さんがスルーしたというミス。

設計士が監理をしていたはずですが発見できず、現場監督さんもまたしかり。

建築現場はまさにお化け屋敷よりも怖い、 まあ、そういう風に今回のブログはなっちゃうんだけど。

次回のブログは明るい話題だとよいですね。

  2019.3.14 Reborn塩原  

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