先日、お引渡し後一年が経過したSさまより、パッシブハウス(ゼロエネも達成)についての有意義なデータ提供をいただきましたので紹介します。
設計:Reborn-Studio一級建築士事務所 塩原真貴
施工:坂田木材株式会社
2020年6月竣工
わたくし共は以前より省エネ住宅の推進をしているところではありますが、太陽光発電パネル&太陽集熱ソーラーシステム(給湯と温水暖房に利用)、加えて南面の大開口サッシによる日射取得(冬季)&外ブラインドによる日射遮蔽(夏季)をフルでご採用いただきました。
数年前にも甲府市で似たような装備を備えた住宅を建てました。(甲府市M様邸集計データ記載ブログへリンク)
そして今回は長野市。
生唾モノのデータです。
Sさん、ご提供誠にありがとうございます。
なお築後間もない初年度は、基礎コンクリート躯体の持つ水分の影響で、燃費性能が10~20%程度悪く出る傾向があることも頭の片隅に置いてご覧いただけると幸いです。
~~~~いただいたメール文面~~~~~~~~
お世話になっております。Sです。
(中略)
上の子が三歳、嫌々最高潮、下の子が1歳、自己主張開始。
日々ヒーヒー言っており休みもないようなものです。(特に妻が)
見学会なども参加したいのですが、子育てとコロナで人と接触する機会はかなり減りました。寂しい限りです。
さて、本題ですが、いつの間にか住み始めて1年経過しております。
家の温熱、燃費データはある程度とっていたのですが、、、しっかり見る時間があまりなく、添付にざっくりまとめました。
たいしたデータではなく申し訳ないのですが、今後の家づくりに対し少しでも参考になればというのと、
LATENTや太陽光、パネルヒーターを駆使し、もう少し良い暮らし方があればアドバイスを頂きたいため、一方的に送らせていただきます!
あまりまとまっていなく申し訳ございません。時間に余裕があるときに眺めていただければと思います。
正直贅沢にエネルギーを使用して住んでいると思います。
■要点
・素人の私の結論としますと、冬場の室温が20℃を下回らない、極力22~23℃の設定にしてもQpex計算値を下回りました。
LATENT、太陽光発電、南面大開口パワーと思っています。
燃費は文句なしではないでしょうか。
・太陽光6.5kWでも余裕でZEHです。釣銭が来ます。
・夏場、2Fのエアコンを21℃などにしてもなかなか冷えないです。
このあたりは意見いただきたく、サーキュレーターなど導入したほうが良いかなと思っています。
電気代、エネルギー代が上がって来ている中ですが、このような家に設計、施工頂き非常によかったです。
高気密高断熱住宅を知らないで家を建てる人は損です。
いろいろお話したいことはありますが、コロナ落ち着きましたら是非お願いします。
以上、今後ともよろしくお願いいたします。
家の断熱スペック Q値=0.97 Ua=0.29
特殊装置 LATENT太陽集熱 CPC12×3基(集熱面積6.84㎡)
太陽光発電 6.5kW PanasonicHIT
家族構成 男性1人・女性1 人・乳幼児2人
測定器(温/湿度) Switch bot
測定器設置場所 東ウッドデッキ・1Fリビング・2Fリビング
■電気=中部電力 従量電灯B契約
(2020年のデータより2021年9月ころスマートライフ夜とく に変更)
・エアコン 設定温度 21~23 ℃
設定モード 冷房
自動/手動 自動
・温水パネルヒーター(PS) 温水設定温度35~45℃
■灯油 給湯用補助ボイラー(主は太陽集熱)
■LPG キッチンコンロ
■換気 第三種ダクト方式(日本住環境・ルフロ400)
備考・感想 (Sさま)
・温水温度は最も寒いときのみ45℃にする
・天気の良い日は日中パネルヒーター止め、ブラインド全開。十分温かい。20℃後半になることも。
また、天気の良い日はラテント集熱が50℃を超えてくるため、夕方にお風呂のお湯をラテントにて熱めで貯めてからパネルヒーターを稼働
・ラテントがお湯を貯めるほど温まっていない場合は通常通りパネルヒーターを夕方稼働
(お湯を貯める前にパネルヒーターを稼働するとラテント温度が下がるため)
・室内温度23℃くらいが心地よい
・贅沢だが21℃を割らないように過ごしたい
・思ったより冬場に冷えるため、ルフロのレバーを通常2.5→2.0に絞ってみた。
・換気の具合がわからないため二酸化炭素メーターを2021年は設置。今年の冬に検証。目安1000ppmを超えないこと。
・湯舟は確実に毎日貯めて入る。
・ブラインドは想像以上に良い。
・節約より思いっきり暖房冷房使ってみたのが今回の結果だが、アパート(新しい大東建託)のころと光熱費などあまり変わらない。太陽光とLATENTの性能のおかげと考える。
・冬場思ったより気温が下がる。窓が大きいためか?
・夏場思ったより室内が冷えない。二階の冷気が一階に降りてこない。二階エアコンをより低い設定にしてようやく冷える状況。
・シーリングファンだけでは冷気を下せず、サーキュレータなどを設置するべきと考えている。
・電気代はPanasonicのHEMS診断だとスマートライフ夜とくプランのほうが安いため、2021年冬前に契約変更
・電気の使い方が荒いためかQPEXに対しては+2万。LATENTも太陽光もあるのに贅沢しすぎかもしれない。
・妻が新生児からこの家で子育てをしていますが、夜中授乳に起きてもリビングが温度ムラなく、快適だと言っていました。これが印象に残っています。
■考察(塩原)
・予測値(設計時計算値)は1784kwh/ 年・COP2.0としており、実際の使用電気量は1577kwh。
QPEXでの設定室温は20℃であるが、実際には23~24℃でちょっと高め。
そこであらためて室温全室24℃・COP2.3として計算をし直すと2490kwh/年と算出された。
LATENTO太陽集熱は主に給湯側に寄与しているものの、年間で900kwh以上が暖房に回ったと思われる。
初年度のデータなので、来年以降は更に良い結果が期待できるであろう。
気温をあと1~2℃下げられないか。(22~23℃)
パッシブ性が高いので天気予報やタイマー機能をうまく使って、連続運転よりも間欠運転の方がいいかもしれない。
・ヒートポンプの効率COPを計算値でいくつに設定するのかは、考えどころではあるが、COP2.0はおそらく3.0近くまで効率が上がっていると考えられる。
(実は各設計事務所や工務店でバラバラなので、カタログ値をあてにしてはならない)
・ゼロエネの申請上、6.25kwの太陽光発電パネルを搭載した。計算上はこれで購入エネルギーの全て(電気・灯油・ガス)を賄うのがゼロエネの定義、ということになっているが、結果的に¥73,000あまりが手元に残った。
冬季室温が割と高めで、初年度は消費量が10~20%増える傾向であることを考えると、ゼロエネ計算用の一次エネルギー消費量計算WEBプログラムは非常に誤差が大きい(予測消費量が多く出てしまう)と思わざるを得ない。
・夏季のエアコンによる冷房の運用について、上下階の温度差を解消することが課題。扇風機やサーキュレーターで空気を攪拌させたり、気流を得ることで体感温度を下げることも当然アリだが、
まずは窓への日射遮蔽をさらに強化する、南面大開口窓へも断熱ブラインドを設置してみてはどうか。
外付けブラインドの効果は当然あろうが、ガラスの室内側表面温度はそれなりに高まっているはず。(トリプルガラスといえども)
さらに消費エネルギーを減らす工夫を今後も試みていただき、来年もぜひレポートをお願いいたします<(_ _)>
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