M邸の断熱工事がおわりました。
先日 「呼吸する壁」として売られている羊毛断熱材のパンフレットをみましたが、室内側に防湿シートを貼らない施工で紹介されていました。
寒冷地では「やってはいけないこと」として定着しているのに、まだ「ビニールシートに包まれて快適といえますか?」とか「壁が呼吸するんです」とか言っているのを見ると、本当に残念です。
「通気断熱」なる不思議な言葉もよく目にします。
断熱とは「動かない空気」にほかなりません。
繊維質のものや発泡スチロールのようなボード状のもの、ペアガラス、どれも動かない空気が熱の移動を阻止しているんです。
「持ち運びができる動かない空気」、それが断熱材の姿なんです。
建築に関わる人間は、消費者に誤解を与えないようにしないといけません。
当然いろんな工法があってしかりですが、基本は”[外]透湿防風シート(タイベック)+断熱材+[内]防湿シート~”
それでなんの不便もないのですから。
壁の中に断熱材が入り、室内側には防湿シートを全面にしっかり貼ります。
継ぎ目は気密テープを貼ります。
ピンク色のグラスウールは、高性能グラスウールといって、ガラス繊維の密度が細かく、つまり動かない空気がより多く含まれているってわけです。
コンセントの周りはこんなふうに処理されます。
豆腐パックのようなビニール質のカバーを先につけておき、そのなかに「コンセントボックス」と呼ばれる黒いプラスチックの箱をつけます。
壁を貼ってしまうと全く目にすることがないのですが、どんなお宅にも必ずあるんです。
この部分は当然断熱材が5cmほど薄くなってしまいます。
~ちりも積もれば山となる
コンセントやスイッチはできるだけ断熱材が入る壁を避けた方がいいんですよね。
それで使い勝手が悪くなっても問題ですが。
ところでなぜ私はピンク色の高性能グラスウールを使い続けているんでしょう。
いちばんの理由は、木造の家がどれくらい変形するかを知っているため、だと思います。
ログハウスつくってましたから、昔。 いくら乾燥木材を構造材(柱とか梁)に使用したとしても、数年間にわたり木はねじれたり割れたり痩せたり太ったり。 それに追従し隙間を生じさせない風にできるのは、繊維状のものになってしまう。
加えて「燃えない」、ってことも大事。
さらに「最もコストパフォーマンスがいい」 ただ施工は大変根気がいる。
こうして断熱工事が終わった状態を写真でみると何とも思わないでしょうが、やってみればわかります。
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