外壁の耐力面材をほぼ100%の家で使っています。
家は地震のとき、大きく揺さぶられます。
ぺしゃんこにならないように、 変形しないように、 壁のなかに何か仕込む必要が当然ですがあります。
そういう壁のことを専門用語で、「耐力壁(たいりょくへき)」といいます。
一昔まではは筋交い(すじかい)が主流でした。
さらにさかのぼると土壁というのも揺れにくくする働きがあります。
もっとさかのぼると、日本の木造建築では貫(ぬき)と呼ばれるものが耐力壁として機能していました。
耐力面材はボード状で、さまざまなメーカーから発売されています。
外壁の柱・土台・梁に重ね、釘でとめます。
この釘の長さや打つピッチによってどのくらいの強さが出るのか、 メーカーは実験室で試験をしています。
そのデータをもとに壁倍率(かべばいりつ)という強さの指標が数値化されており、 われわれ設計者が、「この壁はこのくらいの強さでいきたい」、「ここはいらない」などと構造計算して設計図に落し込んでゆきます。
松本市で新築工事をしています。
このお宅では初めて「モイスTM」という耐力面材を採用いたしました。
ちょっと笑っちゃうんですが、TMと、は耐力(たいりょく)面材(めんざい)のTairyoku Menzaiの頭文字なんだそうです。プププッ
発売されたのはもう10年以上も前でしょうか、調湿作用のある内装用ボードとして発売されたように記憶しています。
内装用はスタンプ印字は当然なく、継ぎ目の目地は残りますが、 黄なり色のマット仕上げ。
風合いがよく、臭いもない。
汚れやちょっとした傷は、サンドペーパーで補修できます。
ただ大工さんは大変です。
ぶつけないように、割れないように、 基本的にはボンドと針金のような細い釘(フィニッシュ釘、といいます)で、細心の注意を払って一枚一枚はってゆくのです。
「もうこれはやめて!」 そう10年前に言われた記憶があります。
モイスの原材料は何でしょうか?
簡単に言うと石の粉です。つまり無機材。
燃えない・湿気を吸放出しやすい素材・土に還せる・劣化しにくい・シロアリに食害されない などの特性があるようです。
在来工法の大壁で壁倍率2.7はちょっとお得^^
私は構造計算上安全をみて2.5倍でカウントしています。
許認可申請上は当然2.7倍でみて問題ありませんが、実験用のものと現場では多少異なると考えているからです。
現場では移動の時にちょっと角が欠けてしまったり、面の端に打った釘によって面にひびが入ったり・・・。
いろんなことが起こり得るし、事実起こっています。それらをチェックし、修正を指示するのがこの段階では現場監督がすべきこと。
この辺り、現場人でないと分からないのかもしれませんが、設計者の立場としては、耐震については安全をみて(余裕をもって)クリアしておいて損はないからです。
この家は外壁に無垢板を貼って仕上げます。
22条地域(にじゅうにじょうちいき)と呼んでいますが、屋根と外壁に燃えにくいものを使うような制限がある地域です。
長野市、松本市などの主要な市町村の市街地では、ほとんどと言っていいほどこのエリアに属しています。
街の中心は防火地域、その周りに準防火地域、さらにそのまわりは22条地域。
その先は制限がない、およそそんなイメージです。
モイスは白いので、現場が明るくていいですね。 仕事をしていてもさわやか青年になった気分で、気持ちがいいです。
南側の1階デッキに深い屋根をかけました。
これぞ日本、という感じです^^
パッシブハウスのように日射取得を最優先する家では禁じ手といえる設計だとは思いますが、 やっぱりここから離れたくありません。
お施主さんも同意だと思います。
日射はソーラーシステムで熱利用。
給湯と温水暖房で利用します。
今回もシャノン社の樹脂サッシを採用。
付加断熱キューワン住宅で、窓は耐力面材に対して直付け、 最終的な仕上がりは、窓が外壁よりも引っ込んだ状態となります。
サッシ枠を取り付ける前は、防水、気密、枠の仕上げなど様々なことが絡み大変です。
3年がかりでようやくリボーンの標準工法がきまりました。
「こんなにやって意味あるの?」
以前は懐疑的だった職人さんたちももう慣れたようで、 最近ではなにも言わずにちゃっちゃかサッシを取り付けてくれるようになりました(笑)
おうちをつくるのはもちろん大工さんはじめ様々な職人さんですが、 どんなモノを使って、どんなふうに納めるのか、 それは設計者の判断にかかっているのです。
2018.3.3 Reborn塩原
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