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極上の性能は自らでつかむ。

2018.09.13|Q1.0住宅|断熱職人
塩原真貴

今月末に開催いたします完成見学会@千曲市のご予約が始まっております。

「極上の性能は自らでつかむ。」

その言葉の意味についてですが、 「D.I.Y.で断熱工事をした」という風に勘違いされると困るので補足しておきます。

そうはいっても”極上の性能”を手に入れるには、それなりのお金が必要だともいえますから、あながち間違ってるとも言えないのないのですが・・・。  

「極上の性能」 とはいったいどんなものでしょうか?なにをもって極上とするのか?

例えばUa=0.3前後のいわゆるキューワン住宅。

例えば耐震等級3か、ものさしはありませんが耐震等級4相当なのか。

あるいは太陽集熱装置による燃費・省エネ性能のことを指すのか?

はたまた外壁しっくい左官仕上げ+レッドシーダー無垢板サイディング+クロスレスの室内しっくい仕上げのことなのか。

別の言葉で最近「ハイスペック」という表現をよく聞きますが、 (あれっ?もうツカわない?) どの世界でも基準というものがありまして、 耐震等級でいえば”1”は建築基準法を満たすレベルで、震度7クラスの地震で命だけは守られる程度の性能。

断熱等級でいえばここ千曲市は外皮Ua=0.56以下にしてほしいな、という基準値があります。

ちなみにこのUa(ゆーえーち)は2020年から義務化されるので、「してほしいな」という推奨レベルではなくなることが決定しています。

だから巷にはまだUa=1.0以上なんてのが実はゴロゴロ建っていて、一条工務店をはじめ大手ハウスメーカーはさすがにそういう低断熱の建物は建てていないとおもうけれど、無知無頓着な残念工務店はまだまだいらっしゃる、という残念な時代なのです。

ですから建築主になろうとする人は、自ら建物の基本的な性能(断熱・耐震)については自身でしっかり勉強をして、予算を把握しながらスペックをきめてゆくべきなのではないでしょうか? 

強引な住宅ローンは生活を圧迫します。

断熱性能だけよくても耐震性が劣る、あるいはメンテナンスコストがドえらくかかる、なんていうのも考えもの。

住宅というものは、カッコよさの追求から基本性能向上への探求をしてゆく時代になっんだと思います。

そうはいってもカッコよさも大事なのですが・・・。

この家の建築主Mさんは、最初にお目にかかった時にはこのあたりのことをしっかり心にいだいていたように思いました。

私のブログですでに毒されていたのかもしれません(笑)

このところよくご質問をいただくのですが、

「付加断熱をしても元がとれないのではないのか?」

ということについて今回は述べてみます。

ご覧の写真は、高性能グラスウールによる外壁の付加断熱100㎜。

壁の中にも105㎜が入っていますので、外壁は合計205㎜の断熱材ということになります。

延べ床面積30坪程度の家でしたら、外壁付加断熱工事にかかる追加費用は一般的に言って75万~90万円。

RebornではKMブラケットという断熱フックを用いており、熱橋を限りなく小さくした付加断熱としています。

もちろん追加費用も限りなく小さくしています^^

これを木でやっても悪いわけではありません。KMブラケットには厚さ60㎜用と100㎜用のものしかなく、140㎜とか200㎜付加したい、というようなときには、現状では木下地にならざるを得ません。

木の下地の場合のほうが実は安くできる、ということが分かっています。

30坪の家ならば10~15万円ほどの差がでます。

じゃあそっち方がよいのか、ということかと言うとそうでもありません。

KMブラケットは強化プラスチックでできています。

プラスチックは木に比べて熱を通しにくい素材です。

KMブラケットは外壁面に点状にフックをつけるもので、 列状に配置する木下地は断熱材以外のものがフックに比べて各段に増えてしまうのです。

これを「熱橋(ねっきょう)がね・・・」という言い方で、あらゆる断熱の場面で熱橋はできるだけ減らそうと我々は工夫しています。

ちなみにQPEX計算書によると、両者のエネルギー消費量の差は年間で灯油換算=11㍑。

たかが11㍑ですが、60年暮らすとなると660㍑で、日本には全部で5300万世帯がありますので、「社会全体の眼」でとらえるととんでもないエネルギー量なのだとも言えなくはないのです。

木を除けばエネルギー資源極小国である日本で生活していることを自覚し、 あるいは今後エネルギー価格の高騰が懸念されているので、10リットルの差はけっこうあるのではないかと思っています。

これが3㍑とか、そうさなぁ、5㍑の差だったら考えちゃうな、私も。

もう一つ補足しておくと、最近は大工さんがものすごく不足していて、現場であれもこれも大工さんにやってもらう時代ではない、という考えも持っています。

木の下地であれば大工さんが行うのが通常ですが、KMブラケットであればそれほど技量を要しません。インパクトドライバーとスケールがあればだれでも施工が可能です。

リボーンではKMブラケットの施工を、現在は断熱専門業者である信越ビー・アイ・ビーさんに委託していますが、将来的にはアルバイトを含め「その時やれる人に」とも考えています。DIYでもいけるかもしれません!

ここからは物理的な分析をします。

これは新住協が発行しているQPEX(キューペックス)というエクセルベースのソフトで、外壁の入力欄です。

「エクセル」というのがミソです。たいていの人は持ってますからね、エクセル。

外壁断熱材の素材や厚みを入力することで、簡単にその部位の1㎡あたりの断熱力を計算してくれます。

断熱力は最近Ua 値という便利なものさしがありますが、付加断熱なし、壁内105㎜充填断熱の場合、外壁U=0.382です。

断熱は天井やら床やらあるいはサッシとか玄関ドアなんかも検討しますね。

それら部位ごとのU値をまず算出し、それが家全体に何㎡ずつあるのかを計算してゆきます。

そーすると家全体での平均のU値がみえてくるのです。U値の平均、つまりアベレイジなのでUa値、というわけです。

外壁断熱材だけで検討してみます。

外壁U=0.382の時、家全体のUa=0.41となりました。

この時の年間灯油消費はちょうど400㍑となります。(この家の場合)

それでもこの地域の推奨基準(Ua=0.56)すれすれの断熱スペックだと620㍑になるため、400㍑なら外壁に付加断熱をしなくともすでに省エネ性が高いともいえます。

樹脂サッシペアLOW-E、床245㎜、天井300㎜、外壁105㎜ならUa=0.40~0.45になるのが常です。これを準キューワンレベルと私たちは呼んでいます。

つぎに付加断熱100㎜をKMブラケット下地で行った場合、U=0.184。

ぐっと値が小さくなりました。

家全体のUa値はいったいどうなったのでしょうか?  

答えは3秒でわかります。QPEXを使えば(笑)

Ua=0.33

灯油消費量は▲110㍑の年間290㍑になりました。

110㍑/年だと灯油はいま¥100/㍑ですから¥11,000/年。

仮で60年暮らすとなると¥66万ですね・・・。

そうすると付加断熱の工事代金75万は60年かかってもペイできないということになります泣

しかし泣いてはいけません。

今後灯油がリッター何円になるのか誰もわかりませんし、この家は100年以上も暮らし継がれてゆくのかもしれません。

さらに、110㍑×53,000,000世帯を算出すると計算機の桁数が足りません。

目先のことだけではなく、少なくとも50年先、あるいは日本、世界、地球のことに想いを寄せれば、ちょっと気が軽くなったりしませんか?

残念ながら(?)弊社リボーンで新築する場合は、強制的に外壁は付加断熱仕様になります。

「極上の性能は自らでつかむ。」

というのは、こういう燃費に係ることがあらかじめ予測できる、検討できる、 さらに言えば、月々の光熱費が事前に検討できる、ということにほかなりません。

木部の塗装を自分でやったり、内壁をぜんぶしっくいで塗装あるいは左官で仕上げる、そのことで数十万工事中に稼げるのであれば、 その分を断熱性能アップ(燃費向上)や耐震性アップに使ってもらいましょう、そうしましょう!(‘ω’)ノ

長くなりましたが、この家はそーゆう家なのです。

  2018.9.13 Reborn塩原 

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