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Ua値だけでは燃料費はわかるまい

2019.01.17|断熱職人
塩原真貴

阪神淡路大震災から24年の月日が流れました。 犠牲者が6000人を超える未曾有の大震災でしたが、あの時を境に、日本列島では巨大地震が相次いで起きています。

今年もRebornでは、新築の全棟を耐震等級3を目指し、1棟でも多くの耐震性の低い既存住宅をリ・ボーンしてゆきたいと考えています。

 

さて、これからが冬本番となるはずですが、長野市は現在雨が降っています。

夜半には雪になる感じですが、今年は暖冬と言っていいでしょう。ありがたいことです。

しかしながら、「我が家が寒すぎる、何とかしてほしい」というお問い合わせを年始から毎日のようにいただいております。

遠方の方も多く、岡山県、三重県、埼玉県の方からも。どの方々も「うちはなぜ寒いのか?」とネット検索して、このブログを見てお問い合わせいただいています。

長野市内の方もいらっしゃいました。

Ua値は省エネ基準を上回っており、温水パネルヒーターを主暖房として備えていますが、気温が15~16℃程度までしか上がらず、温水ボイラーの熱源である灯油が1か月で500㍑を超えているそうです。お近くの方でもあったので、通勤途中にお邪魔してサーモグラフィーで室内の表面温度を測ってきました。

前出の画像で、パネルヒーターの表面温度は46.2℃でした。もちろん連続運転です。

温水ボイラーの設定温度は50℃、朝9時で外気温は2℃でした。

問題はサッシと外壁の表面温度です。設計図によれば、外壁にはグラスウール16K品が100㎜厚で充填されているハズ。

石膏ボード+ビニールクロスの表面温度は16.7℃。

パネルヒーターの近所ですから、ここは20℃は超えてもらいところ。

パネルヒーター表面との温度差が30℃もあります。

壁面を20℃以上にするには、おそらく60℃以上の温水が必要になることでしょう。

ボイラー自体は80℃の温水をつくることができるようですが、やけどしますよ、80℃は…。

おそらくサッシや外壁からグイグイと熱が逃げて行っているのでしょう。

逃げる熱量と発生させる熱量の綱引き合戦。

残念ながら完全に”外側”が勝ちのようです。

サッシはどこもかしこも10℃を切っています。

メーカーのカタログにはきっぱりと「断熱型」とうたっていますが、枠はアルミ、ガラスはペアガラス。残念です。

低いところは5℃前後、平均的にはこの画像にあるように8~9℃といったところです。

こうなるとサッシとパネルヒーターとの温度差が40℃を超えています。

おさらいではありますが、人間が感じる温度は、気温ではなく体感温度でした。

体感温度は、着衣量や風があるかないかでも変わりますが、基本的には「囲われている面(壁、床、天井、窓)の表面温度の平均」でした。

サイコロのような立方体をイメージしてみてください。

一番表面積が多いのは外壁です。床と天井はおおよそ同じ面積。 そこに局所的ではありますが一番低温となるサッシが存在。体感温度をグッと下げることになります。

特にサッシの下の角、ここが最も温度が上がりにくいところです。

そう、しばしば結露しているところですから直観的に分かりますよね。

お問い合わせでよくある話の一つに、「お風呂と洗面脱衣室が寒い」という嘆き。

両室ともに一般的に北側に配され、日光が当たりません。

そこで私は問います。「お風呂か脱衣室に暖房器具はありますか?」

意外とないことが多いんですね、世の中は。

直射日光が射さない場所では、熱源がなければ暖かくなるはずがないのです。このお宅では立派なパネルヒーターがありましたが・・・。

玄関ドアも要注意。入口下部が5℃になっており隙間もたくさんありました。

省エネ基準以下で作られたこの家(Ua値は0.7)、燃費計算ソフトQPEXで計算すると、年間暖房用消費エネルギーが2000㍑(全館20℃設定)を超えました。

36坪という標準的な規模で、特に施工不良はありません。ですから1か月で500㍑は妥当だとも思うのです。

悲しいことではありますが、これが高断熱・高気密を謳歌している住宅業界の実態なのです。    

Ua値を基準値以下にはする

→燃費は設計段階で気にしない・求めない

→デザインを優先する

→設計が終了し、工事が始まる

→施工不良なく工事は完了・引き渡しを受ける

→思ったほど暖かくない・温度が上がらない

→とてつもない灯油代や電気代にびっくり( ゚Д゚)  

 

2020年、義務化になる予定だった「省エネ基準の義務化」が見送られました。

また一歩後退です泣 ちなみに、新築後の初年度は、冬季、暖房によって建物が持っている水分が乾く作用があるため、求めた燃費計算よりも20%程多くエネルギーを消費するはずです。

また、換気の風量の影響も大きく、隙間がほとんどない(C=1.0以下)であることが前提となっており、さらに設定温度を1℃上げただけで燃料需要が13~14%上昇します。

それともう一つ。 ガラスが結露するからといって室内暖房器具の設定温度を上げている方がけっこういらっしゃるようです。

それって完全に逆効果ですからね。結露は温度差によって生じるんでした。ですから気温が高ければ高いほどガラス(アルミサッシ枠)との温度差が大きくなり、結露しやすくなるんです。

なんか知恵袋っぽい口調になってしまいました。いかんいかん。  

2019.1.17 Reborn塩原

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