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「せぇ~の」は生き残れるか

2019.06.13|Q1.0住宅
塩原真貴

昨日は長野市内で新築工事の建て方でした。

梅雨空の下、なんとか天気もちました^^

夜行性人間の私ですが、現場監督も兼任していますので大工さんらに混じり、 場内の整理整頓、荷受け、タイミングをみて材木資材をクレーンで上げてもらったりと、朝から現場に。

わたしは基本的には根っからの現場人間ですが、 自分で描いた図面が、自分で1本1本拾った材木や金物で、 続々とリアルな家として組み立てられてゆくのですから、ソクゾクモノです。

モノづくりにおいてこれ以上の悦びはないのではないでしょうか。

昨今ではパソコンでかなりの3Dパースを描くことができますが、 これはあくまで結果であり、構造体、断熱材、下地材など見えなくなるところが圧倒的に多い。

設計図には書いてませんが、組立手順も大切なことですし、誰がそれをやるのか、も非常に大切なのです。

あさ8:00作業スタート。

前々日までに土台は基礎に緊結しておきます。

その後足場屋さんにて、完成建物を想定して足場を組んでおきます。 これを先行足場(せんこうあしば)と言いますが、 私がこの業界に入ったばかりのころは、木造の住宅では”先行足場”はまだなく、 足場のない状況で、脚立を使って建て方を行っておりました。

今から思えば非常にアブナイことをしていたわけです。  

15分後には1階の柱が立ち、早くも外周の梁がかけ渡され始めました。

躯体(くたい)と呼ばれる構造体は、基本的に木ばっかりです。

8:40には1階の梁がすべてかかりました。

ここが2階の床になる部分です。

木の接合部分に大工さんが金物を取り付けている時間です。

この家は、長野県独自の補助金制度である、「環境配慮型住宅助成金」を活用しています。

構造躯体、下地材、仕上げ材に積極的に長野県産材を用いています。

 

ひのき、すぎ、あかまつ、からまつが用いられております。

時折雨が降りまして、カッパを着用したり脱いだりと、 梅雨ならではの建て方でしたが、午後2時頃には無事に上棟(じょうとう)しました。

引き続き屋根の下地である垂木(たるき)に取り掛かっています。

現代は、大手ハウスメーカーを中心に、現場での作業をなるべく減らすべく、工場でパネルを生産。

断熱材もあらかじめパネルに組み込む、サッシはあらかじめ取付けておく、電気配線も工場で、 現場では組立てるのみで大工さんは不要→組み立て工なる職種も誕生しています。

職人不足、3Kによる若者の建築現場離れ、働き方改革なんかがあったりして、 現場での作業を減らそうとする動きが我々工務店の波打ち際まできている感はあります。

でもそれは「あまりに面白くない」と、私は心の中で思っています。

従来からの木造現場では、「せぇ~のっ」とお互いに息を合わせたり、 「アレとってぇー」、「ココ持ってて」など、実に原始的な作業の連続で、 重いだ軽いだ、届くだ届かないだ、暑いだ寒いだと、なかなかムフフなのです。

一人の作業では無理なことも、たくさんの人間が集まるとこんなに早く、楽しくできる。

そんな当たり前(?)のことを感じることができるのです。

夕方建築主Mさんにもお越しいただき上棟式。

これもまた同じ時代に生きているという出会いの機会であり、 現代ではすっかり減ってしまった「祈る」機会でもあるのです。

月並みですが、Mさん、上棟おめでとうございます。

この2、3年はこれまでの人生の中で最も苦労をし、悩み、あがいた時間だったのではないでしょうか。

ようやくこの場面が来ましたね^^すでにDIY作業が始まっていますが、毎日進んでゆく現場の様子を目に焼き付けていってほしいと思います。

2019.6.13 Reborn塩原

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