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木の家10年後

2020.03.10|住まいの点検・メンテナンス
塩原真貴

八ヶ岳のふもと、富士見町OB宅、10年点検—。

木の家の魅力がぎゅっと詰まった外観に、胸キュンする塩原。

「美しく朽ちる」

「正しく老いる」

建築物のアンチエイジングの研究、探求も”アリ”ですが、木の家の魅力はこのような姿にあるのではないかと、最近わたしは思います。

この様を「汚い」とか「ぼろっちぃ」と感じるようなら、お互い価値観が違うとしか言いようがありません。

木の家の本当の価値は、”時間を感じる”ことなのではないでしょうか。

10年前の完成当時の写真が残っていました。

塗料はシッケンズ社・ノバテック、ナチュラル色。 ”

最初から木部を塗装をしない”

というのは果たしてどうなのか?  

ほとんどの人は抵抗するだろうが、古来、日本家屋はそのほとんどが塗装なんかしているはずもなく。

もちろんベンガラとか漆とか、柿渋とか米ぬかとか。

ここ数十年のあいだにいとも簡単に家づくりは変わってしまったものだと―。

それでも50年、いや数百年現存している建物だってある。

どういうわけだか、いつも間にか今の建物は有機材塗料の膜で覆われている。

屋根板金にコーティングされた塗膜。

外壁サイディングにコーティングされた塗料。

木部には自然保護塗料。

気づけばすっかり油まみれになっている。

「ちょっとおかしな事態になっている」

そう気づいたのはここ数年。

だからしっくいや無垢板そのものをできるだけ多用するようにしている。

ただ、 家族が暮らす大事な住処だから、簡単に腐ったりしてもらっては困る。  

建物を保護するのは、実は屋根です。

今の私が思うに、家の耐久性で重要なのは、こまめな再塗装ではない。屋根です。

当然ながら屋根は風雨にさらされるわけですから保護するものはありません。

だから屋根は張り替えができるのが前提になります。

瓦は土で出来ています。釉(うわぐすり)は鉱物=ガラスです。

自然界に存在している物体です。

それゆえ日本の木造家屋は屋根(軒)が深く、できるだけ壁や土台が風雨にさらされないように作られてきました。

部分的な張替えもできる、瓦です。その前は木の板や樹皮でしたが。

木の表面は塗装が剥がれ、浮造りと呼ばれるような、風化が起きています。

この状態を腐っている、とは言いません。

朽ちている、とも言いません。

何と呼べばいいのか?

樹皮化している? 酸化被膜が形成された? 落ち着いた状態に入った? (だれか教えてください)

よく聞かれるので掲載しておきます。

キッチンのフローリング10年経過の姿。

フローリング材はカラマツです。

多少ほかの部位よりは艶がないのですが、それほど気にするほどでもないのでは?

というのがわたしの見方です。

水や油、しょうゆやソース、 いろんなものが飛んだりこぼれたりしてきたはずです(笑)

鋭い棘が足の裏を刺したこともあったかもしれませんが、木というものはそういう素材です。

内壁は珪藻土。

照明スイッチの周りやドアレバーハンドルの周りは当然こんな感じに。

「もう、子供達が汚れた手で触るので・・・。こういうのってどうやってキレイにするんですか?」

って聞かれましたけど、「これがいい!」って答えてしまいました。

意図しない汚れ、傷、全部受け止めてくれるのがこういう家のいいところなのだと。

願わくばスイッチプレートも味わいが増す素材のものがいいけれど・・・。高価すぎます、アレは。

頻繁に使う所だけでも取り入れてゆきたいですね。

リビングの窓からは、ザ・信州の風景が。

こういう風景が目に染みる歳になりました。

人にもそれぞれ歳のとり方がありますが、家には家の歳のとり方があると思うのです。    

2020.3.10 Rebron塩原   

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