飯山市・A様邸、長期優良住宅化リフォーム工事が進行中。
開始から約1か月。いまだ青いベールに包まれております。
既存住宅を「長期優良住宅」に化けさせる。
果たしてそんなことができるのでしょうか?
・一定水準以上の耐震性をもたせる
・一定水準以上の断熱性能(省エネ性能)をもたせる
・インスペクションにより指摘された劣化部分を修繕
・今後数十年にわたり、点検と修繕を計画的におこなう
以上がその要点です。
目標あと50年!
その間、1度来るか来ないかの巨大地震に備え、冬の毎日を暖かく暮らすことができ、向こう30年くらいは大きな修繕工事を必要とすることなくお過ごしいただきたい、 そう願いつつ、築30年、平成元年の家に、令和の技術を注ぎます。
このお宅の場合、スタート地点は水廻りのリフォームでした。
浴室をユニットバスに、キッチンがもう製品寿命なので交換したい。
トイレも汲み取り式だったので水洗化を―
育児・教育に追われた仕事を無事終え、子供達がこの家を巣立った現在、ご夫婦二人だけが暮らしています。
水廻りリフォームは当然やるとして、その次は屋根の再塗装あるいは外壁を張り替えるか、最初はそんな程度にしか考えていなかったそうです。
「断熱も絶対にやるべきだ」
そうアドバイスしてくれたのは水道屋さん(Uさん)。その後私を引き合わせてくれました。
(写真は外壁を撤去した場面)
これから耐震・断熱リフォームを行おうと考えている人は、まず一歩目に外壁を剥がすことを検討してみてください。
簡単に外壁がはがせる家は、内壁を剥がすよりもずっと有利に耐震補強、断熱リフォームができます。
外壁を撤去すると、家全体の60%以上の柱を金物補強できます。
金物はむやみやたらに付けては当然ダメです。
あらかじめ計画された耐震改修計画により、算出される金物の種類はまちまちです。
コストダウンの最も有効な策は、「間取りの変更をできるだけ減らすこと」です。
浴室を解体すると、土台が腐ってしまっているところが発覚。
土台だけならよいのですが、木造の場合、土台の上には柱が乗っています。
この状態で地震がくると柱が下がり屋根が下がりかねません。
タイル張りの浴室の場合、多かれ少なかれ、土台の腐朽は必ずと言ってよいほど存在します。
絶対に見て見ぬふりをしてはいけませんし、設計者はかならず解体後に現場検分を行いましょう。
現場に行くと、図面通りにできそうにない箇所を大工に指摘されることもしばしばです。
外壁に耐力壁となる構造用合板を張り耐震性を高めました。
内壁は解体していないため、高性能グラスウール16K105㎜による外張り断熱工法を採用。
万全を期すため、防湿シートを構造用合板に重ねました。 (構造用合板を防湿シートの代わりにしてしまう方法もある)
あらたに下地を付加して樹脂サッシを取付。
イメージは既存の建物をまずは硬くし、登山用のダウンジャケットを着させてあげる。
室内側にまわると、サッシは取付箇所はこんな感じに。
一回り小さいサッシにした方が解体手間を減らせます。
なぜ既存のサッシの大きさと同じ大きさにしないの?
という質問が天から聞こえました。
実はサッシ規格寸法は最近まで各社で統一されておらず、すべて特注製作になってしまうのです。 (私の記憶では20年ほど前か)
特注品とすると、納期が約1か月以上、価格も3割増しになります。
冬の熱損失を減らす意味でも、サッシは小さくしたいところ。
あえてサイズダウンの規格寸法品をこういったケースでは採用しています。
1階の床下は地面があらわしとなっていて湿気っぽかったので、防湿シートを敷きました。
ここも費用が捻出できればコンクリートを流し込む方法もアリです。
この家は床下高さがかなりあり、中腰で立って歩けるほどです。
通常、床の断熱工事はある程度広い範囲の床を剥がして行うため、その費用がかかってしまいますが、こうして床下が広いと、設備配管の更新や断熱工事も容易に行えるのでラッキーでした。
グラスウールの悪口を言われる理由がコレです。 (外壁撤去時、小屋裏の様子)
袋入りのグラスウール100㎜品が敷きならべられていたハズですが、 室内からの湿気が入り込み、グラスウールは圧縮されたような状態に。
加えてネズミの仕業でしょうか、かなり荒らされているご様子。
こういうのを見て「だからグラスウールはダメ」という風になるんですね
壁に入っているグラスウールもご覧の如く。
北村棟梁大工いわく「鼠が多数、卵焼きのようになっていた」と・・・汗&唾液
素材が悪いんでしょうか?
シェフの腕が悪いんでしょうか?
鼠が悪いんでしょうか?
2020.7.28 Reborn塩原
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