スタッフブログStaffblog

別荘の凍結防止対策

2018.11.24

スライド110年前に建てた家のオーナーチェンジがありました。 この家における冬の凍結防止対策について説明をして参りました。 このおうちはこれまで定住型の住宅として使われてきましたが、新しいオーナーさんは別荘ユース。 ことさら難解に感じている方が多い凍結防止策。 口頭で説明をさせていただきましたが、ダメ押し資料を作成しました。 基本的にはどの別荘物件にも当てはまりそうな内容なので、同様の悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょうから、その中身を紹介いたします。   スライド2これまでに50棟くらいの別荘を建ててきたでしょうか。 1年に2、3人の方から「凍結しちゃって水がでない」という旨の連絡をいただきます。 ことさら多いのが今の晩秋に別荘へ行き、水抜きをし忘れてしまい、年末年始休みに再び訪れた際に水が出ないというもの。 「水が出ない・お湯が出ない」といだけならまだしも、脱衣室の床がスケートリンクのように凍っちゃてる、水道の蛇口の周りが鍾乳洞のようになっている、なんていうこともあったっけ。 「友達に別荘を貸して、「水抜きししろよ」が忘却しやがって・・・泣」ってこともあってよな~。   スライド3別荘地は寒い場所に建っているものです。 外気温が氷点下になるこの時期、いやもう2週間程前から水抜き作業は徹底して行ってください。 断熱がたくさん入っているから大丈夫、というのは全く無関係。 暖房しないと室内の気温は次第に外気温に近づいてゆきますから。 断熱性能のいい家は、その下がり方が少しゆっくりになる、という程度で考えてください。 この家も10年前ながらQ値=1.6を切っている優秀な断熱性能の持ち主ですが、1週間も無人ならば室内は氷点下になることでしょう。 スライド4建物の北側にあることが多い止水栓(しすいせん)。 豪雪地など、雪で止水栓が掘り出せなくなる可能性がある地域では、床下やボイラー室などに止水栓をつける場合もあります。 いずれにせよ年間を通じて操作が出来る場所がよいですね。 この家の場合は、建物の北側、妻壁側の軒下に、水と湯のそれぞれに水を止めるバルブ(ハンドル)が2か所あります。 それぞれの家によって数は異なります。たくさんあればトイレ、キッチンなどと場所ごとに用意されているかもしれません。 いずれにせよこれを閉める(通常は時計回りに回す)と、室内の蛇口のどこからも水が出なくなります。 万全を期すならば、水道メーター付近にあるバルブも止めると大元から止めることになるので、 さらに良いこととは思いますが、積雪により掘り出せない、場所が分からなくなってしまうなどの理由でおすすめしません。   スライド5外にある水道も当然ながら水抜きをします。 最近では普段使う蛇口とは別に止水栓が一体になった「不凍止水栓」なるものがほぼ100%寒冷地では普及していますから簡単です。 よくあるのが、1月や2月に、ちょっと外の水道を使って、わずか3~5分程で凍ってしまうというもの。 「そんなにすぐに凍るもんでしょうか?」と聞かれますが、あの温泉地で振り回すタオルのようなもの。あっという間に凍ります! すぐにお湯をかけるなどして解凍し、水抜きを行ってください。 でないと晴れた日に凍っていたところが溶け、噴水のように噴き出すことになります。   スライド6外で水を止めたら室内に入ります。 いわゆる水道の蛇口を開けます。通常は水なりお湯なりが出てきますが、水抜き作業中は蛇口の先から空気が逆流してゆきます。 蛇口やそこまでの配管の中に残っていた水が地中深くに排水されている状態です。 耳を澄ませると水が地面奥底に落ちてゆく音が聞こえます。 最近はシングルレバーハンドルと言いますが、左右にレバーを振り分けて水とお湯を混合させる水栓金具が主流ですから、レバーハンドルを開けたままの状態で、ゆっくり左右(湯、水)側に5~10回ほど振り回してください。 また、寒冷地用の水栓金具には、「水抜き栓」なる小さなポッチがついている場合が少なくありません。これも緩める方向に回して、水栓金具内に残っている水を完全に吐き出させます。 スライド7台所、洗面台の水栓金具はシングルレバーハンドルに最近はなっていますね。 シャワーホース式のものがけっこう厄介です。ステンレスの蛇腹式のホースが、キャビネットの中に隠れていることでしょう。 ここも氷点下になれば当然凍りますから、この蛇腹ホースの中に水が残らないようにしてください。 場合によってはシャワーヘッドを外して、蛇腹ホースを床までダランとさせ、あらかじめ用意しておいた洗面器に排水しないといけません泣。 達人と呼ばれる人は、コンプレッサーで強制的に空気を蛇口の先から送り込んだり、吹矢のように、蛇口の先に口をつけて”フゥッ~~~~”って吹きこむ方も(笑) いやこれマジ話です。   スライド8洗濯機の水栓金具はけっこう忘れがちです。 しかも最近の洗濯機用水栓金具は、ホースが外れた際に水が止まるという白い弁が蛇口の先っちょについていますから、 この弁を押し込まないと空気を送り込めません。 かといって、煩わしいこの弁を外してしまって、再び別荘を訪れた際、この蛇口を閉め忘れて開栓。 洗面脱衣室の床がびしょびしょになってしまった例は枚挙のいとまがありません。   スライド9次にトイレ。 通常別荘ではウオッシュレットは採用しないように努めていますが、 どうしても、という方は暖房便座の温度を利用して、便器そのものが凍らないようにしてもらっています。 このやり方はあまりお勧めしません。電気代もかかりますし、便座は家電製品ですから、壊れることもあるでしょうし、便座とウォッシュレットが離れていると、熱が伝わらずに凍ってしまうことも考えられるからです。 取説を見ると、ウォッシュレット用タンク内の水抜き方法も記載がありますが、尋常でない面倒くささです。     スライド10 スライド11次はお風呂です。 お風呂は一般的に北側の陽当たりの悪い場所に設けられることが多いので、最も凍結しやすい場所です。 シングルレバーハンドルと似ていますが、シャワー側、カラン側(直下の洗面器を置く側)がありますので、それぞれ5~10回振り切って水を抜きます。出湯温度を決めるサーモダイヤルも念のため最低側、最高側に振ってください。水が抜ける場合があります。 追い焚き式のボイラーを採用している場合は、浴槽に残り湯を張ったままにしておきます。 循環アダプターというお湯が浴槽内に出てくる口の上端より上まで水位がないとダメです。 その他、電気ブレーカーは切らない、ボイラーの電源コンセントはもちろん、その周辺の凍結防止帯のコンセントも必ずしっかり差し込まっているか確認してください。 スライド12これで給水と給湯の水抜きが完了。 2階にも水廻りがある場合は同様の手順です。 最後に、排水はどうするか? 各排水口には、下水や浄化槽からの臭気が上がってこないようにトラップと呼ぶ水たまりが排水口に備わっています。 このトラップ内の排水、つまり水道を使い終わった水が溜まっており、この水も当然ながら凍ります。 ここには、不凍液を一定量注入して凍らせないようにします。不凍液はホームセンターなどでも売っていますが、車のウインドーウォッシャー液でも代用できます。 「どのくらいの量入れるのか?」と聞かれることしばしばですが、ボトルに「〇〇〇ccに対して△△cc入れると-5℃まで」というような表記がありますので参考にしつつも、安全を見てけっこう多めに注ぎ入れておきましょう。それぞれのトラップによって残っている水の量が異なるからです。目安はコップ1杯程度。トイレの便座は少し多めに2杯分。   スライド13どうでしょうか? 文章にするととても大変そうに感じますが、慣れれば5分程度で作業はできるはずです。 来週は東京にお住まいの方が、「当面は別荘ユースでいずれ定住」という建物の設計プレゼンを控えています。 床下にエアコンや蓄熱暖房機を備えてスマートフォンで遠隔操作し、凍結予防を行うというようなことも考えられて普及しつつあるようですが、 落雷や大雪で停電してしまうと全滅することになります。 やはり基本は水抜き作業を行い、どうしても水抜き困難な場所(ボイラー廻りなど)は凍結防止帯に頼る。しかしそこは当然電気式。停電になるとやられます。 凍結防止帯も壊れてしまうことはよくあります。追い焚きなしのボイラーにして、ボイラーやその周辺も水抜きする、というやり方もないわけではありませんが…。 定住している方も、外の水道はもはや凍る時期です。不凍立水栓中の頭が”水抜側”になっているか、蛇口が全開になっているかどうか、今一度ご確認をお願いいたします。   2018.11.24 Reborn塩原  

一覧へ戻る

月別アーカイブ

カテゴリ

     

月別アーカイブ

     

関連記事

一覧へ戻る