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吹抜けは是か?否か?

2014.11.27

実は、これまで私が設計してきた家の7~8割が吹抜けアリ、です。 というのも、私がそもそもログハウス建築に携わってきたからかもしれません。 ログハウスは、ほぼ例外なしにリビングの上は大きな吹き抜けになっています。 予算の都合でどうしても建物の大きさを小さくしなければならない、でも仕様は落としたくない、そんな場合はどうしようもありまへん。 ところがです。 最近プランニングをさせていただいているお客様の何人かが、 「吹抜けはいらない」 「吹抜けは寒いからいやだ」 「吹抜けは掃除ができない」 「吹抜けは音が家じゅう筒抜けでいやだ」 「照明器具はどうするの?」 「家が弱くなるって聞いたけどどうなんですか?」 「吹抜けはそこに立てないわけだから空間として意味がない。なのに工事費は結構かかるんでしょ?」   坪単価を競い合うメーカーさんは絶対に吹抜けをおすすめしないでしょうね。 軒の出やデッキやベランダもそうです。これらは床面積には含まれませんが、実際のところ工事費は結構かかりますから。     ファーストプランをつくる前のヒアリング時点なので何とも言えないのですが、 かつては私も抱いていた、”吹抜けは憧れ”、みたいな感覚はすでにもうないのかもしれません。   でも丁寧に会話をしていると、デメリットばかりではなく、メリットも感じ取っていただけるようです。 「家の中が明るくなる、陽射しが差し込む」 「2階の子供部屋にいる子供たちの様子が、キッチンに立っていても分る」 「部屋が広く見え、解放的な感じがする」 「家全体の温度や湿度が均一になりやすい」 「昔、子供部屋にインターホンつけなかった?ごはんだよ、って。あれってなんかおかしいよね」   設計上はやはり、「広く感じられる空間にしたい」、ということが主眼で吹抜けを設けますね(^J^) そしてもう一つ、「冬、直射日光が部屋の奥まで入ることにより、日射熱の取得、暗くなりがちな北側にさえ光を送り込むことができる」 ということも当然考慮します。 しかし構造的な弱さは否定できません。 2階の床は地震の時などに横揺れを軽減するための役割を確かに果たしています。床が、建物が変形しにくくなるのだということは誰しもが感覚的に分るはずです。 そして吹抜けについている窓ガラスはお掃除がなかなか大変です(T_T) キャットウォークのような吹抜けの窓ガラスにアクセスできる通路を設けたり、長い柄のついたワイパーでガラス掃除をしたり・・・ 吹抜けの窓に開閉できる機能を持たせたり、お掃除することを考えればもちろん一工夫が必要です。 また、ファンヒーターやエアコンのように、風の対流によって冷暖房を行う場合は、やはり吹抜けがあるとどうしても上下で温度差がうまれちゃいますね。 暖房は全館での温水パネルヒーターなど輻射式のものでないとコントロールはできませんし、断熱性能が良くないとちっとも足元が暖かくなりません。   余談かもしれませんが、吹抜けにはよく「シーリングファン」がついていますね。吹抜けとシーリングファンはワンセット、みたいに考えられているようです。 しかし私の経験から、 温まった空気が上に行ってしまうのを防ぐことは、シーリングファンでは残念ながらできません。 どんなに強く回してもです。 むしろ気流は体感温度を下げますから、回せば回すほど寒く感じるでしょう。 その代り、空気をぐるぐる撹拌し、家全体の温度が均一になりやすい、ということはあると思います。 ただし相当断熱を厚くし、Q値という数値でいうと1.6程度は欲しいところです。 北側に設ける吹抜けもなかなかです。一日中安定した間接光がやさしく照らしてくれます。 画家の方のアトリエは、必ず北側配置で、吹抜けを設け間接光を出来るだけ取り入れるようにしています。   つまるところ、吹抜けを設けるかどうかは、まぁ、お好みなのですが、 ・あると奥まで陽射しが入り、明るいかも ・あると冬でも日中陽があれば暖房が切れるかも ・あると子供の鼻声も聞こえて、ごきげんが分るかも ・LDあたりにあると広く感じますから、建物全体をコンパクトにできるかも   ・ないと工事費がだいぶ安くなるかも ・ないとプライバシーが保たれやすいかも ・ないと上下階が繋がったおもしろい空間はつくれないかも   ご批判はいろいろあろうかと思いますが、個人的に吹抜けは、やはりデメリットもありますがおすすめアイテムです。なんだか誘導しているようにも思えますが(笑) ただしQ値は1.7以下に必ずしておきましょう。そして暖房は輻射式のもので! DSC_0036            

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