施工事例

リノベといえどもZEH化すべき *長野市松代町東寺尾K邸 減築&スケルトンリノベーション

リノベーション・リフォーム

昭和51年に新築(築後47年)された木造2階建て住宅(延べ面積47.75坪)は、長い間空き家となっていました。同一敷地内に2005年に塩原の前職工務店で新築した高断熱・高気密ログハウス(ポスト&ビーム工法2階建て Q値=1.6・Ua値=0.45程度)に一家は暮らしてきました。
空き家となっていた古民家は、令和元年の台風で床上浸水の被害にあってしまいます。水害直後。畳や床をはがし、泥水を汲み出しました。土壁の下部も濡れてしまったため壁一部を剥ぎ土壁を落としています。その後息子さんが結婚。DIYで床や天井に断熱材を施工し、簡易的な気流止めや気密処理、薪ストーブを導入し、息子一家は暮らしていました。ただしアルミサッシは交換しておらず、シングルガラスのままです。気密性能はそう簡単にDIYで改善できず、相変わらず冬は寒い室内。双子の家族が増えたことで冬でも快適な住環境をこれからどうつくるか真剣に考えだしたそうです。
市の無料耐震診断を行い評点は0.4。耐震性向上と断熱気密性能を大幅にアップさせる大規模リノベも構想されますが、心配はその費用です。
そして両親と息子夫婦の家族会議により、「古民家を大規模リノベーションして親世帯は敷地内移住を。息子一家は、高断熱ログハウスで今後暮らしてゆこう」ということになりました。

築47年の古民家の2階部分は完全に撤去。当然階段も撤去します。1階はかつての間取りを活かしつつ、現代的な間取りにアレンジされています。結果的に11.25坪を減築し、36.5坪の平屋へのスケルトンリフォームが決行されました。Rebornの新築同様レベルの付加断熱に加え、既存の土壁を全て撤去。充填断熱+室内側に気密シートを貼ることにより、Ua値=0.22という断熱等級7(G3レベル)を実現しました。リノベーションでここまで断熱性能を高めた例は非常に珍しいといえます。
創エネルギーの設備として、ソーラーパネルを4.44KWを搭載し、12.8kwhの蓄電池も装備しました。この設備に約400万円がかかっていますが、子孫のため、地球のため、未来のためという視点で捉えると必然的なことともいえます。
また水害に遭われた経験から、災害時でも自立生活ができる住宅を目指しました。エアコンの室外機などは地面から1m以上高い位置に設置され、床も従来より40cmほど上げています。床下は防湿コンクリートで覆われ、床下に潜って浸水を汲みだす作業がしやすくなっています。

  • 南面外観。外壁は宮崎県産の飫肥杉にAZN防腐剤加圧注入済み。 サッシはダブルLOW-E-アルゴンガス入りトリプルガラス=トリプルシャノンⅡx。

  • 水害対策のため、エアコンの室外機や暖房用のヒートポンプは地上より1m以上高く設置。

  • 屋根はガルバリウム鋼板立平葺き。ソーラーパネルあり。

  • リビング全景、庭方向を見る。 もともとあった柱をできるだけ見せるようにしている。 令和元年台風19号で床上浸水しているため、床高を40cmほど上げた。

  • リビング隣の洋室。デスクスペースはしっくいではなく板張りでおしゃれに。

  • パネルヒーター用の熱交換器と蓄電池、パワコンなどが並ぶ。蓄電池は住友電工のPOWER DEPO H~12.8kwh・ハイブリッド型を採用。

  • 機械室の隣には、広々としたトイレスペース。パネルヒーターが完備され、冬もあたたか。

  • 9帖のゆったりとした寝室。間接照明で穏やかな空間になっています。

  • あらたに梁を加え、あえて勾配天井として現代古民家風を演出。

  • 木材をリメイクしたテーブル。

  • 玄関ドアを開けると格子戸が。

  • 脱衣所の壁にはクロスを貼りました。ムーミンの壁紙が可愛らしい。

  • 大容量のパントリー。可動棚で使い勝手が非常に良い。

  • キッチンは、パナソニックのラクシーナ。旧宅のキッチンは、極寒で料理どころではなかったそう。これからは楽しく料理ができそうですね。

  • ダイニングあたりから玄関ドア方向を見る。 なんとなく薪ストーブが設置される場所のように見えるL字型腰壁に囲われたところ、どんな風に使われてゆくのだろう?

  • 室内飼いの猫がいるため、脱走防止用の引き戸を玄関ドアの内側に設けている。 格子の隙間は50㎜程度とした。 下駄箱は今回あらたに造作。

  • フローリングは巾広の北海道産ナラの乱尺品。

  • 腰壁やステップ階段には節有りの巾広ナラフローリングを張って、リノベらしいラフな雰囲気を演出した。 巾広ナラフローリング材は、かつて塩原が設計事務所を設立し、3年ほどその事務所の床で使われたもの。 玄関框には古材の床柱や旧来の玄関框を加工して再利用している。

  • 旧宅のキッチン窓ガラスをリメイクし、照明になりました。

  • かつての和室に君臨していた床柱(=黒檀)は横に寝そべってもらって玄関框に。ステップ階段には滑り防止で、網戸用のゴム製押さえヒモを埋め込んでいる。

  • 旧来は床の間&仏壇だったところはTV台と収納スペースに。 床柱(イチイ)はそのまま残した。

  • TV台正面にパネルヒーターを。珍しい色でPSのカラーチャートでP118~ローズグレーマット

  • 玄関は、リノベ前と同じ位置。玄関室内たたきに基礎断熱材を施工したため、旧来より15cmほど入口があがってしまう。 玄関ドア上にさらに出の大きい”ひさし”をつけるかどうか検討中。

  • 玄関入って右手にはリビングへと続くこちらもまた階段3段。 ダイニングキッチンが丸見えにならないように腰壁を設け、こちらも建具なし。

  • 2階を解体し、スケルトンリフォームが始まります。

  • 水害が想定されるため、床下全域にコンクリートを打設+従来の床より40cm近く高く設定した。

  • この床断熱のおかげで、足元の冷気を感じません。

  • 外壁付加断熱を終え、透湿防湿シート(タイベックシルバー)が張られました

  • コンセント周りの気密処理、設備配管の周りはコーキングで気密・防湿処理は、地味ですが重要です。

  • ユニットバスの下は、先にスタイロフォーム断熱材で基礎断熱(内側)を施工します。配管貫通部分には発泡ウレタンをあらかじめ充填します。

  • KMブラケットが設置され、付加断熱材を施工中

  • 外壁は2重壁でダブル断熱。

  • 外壁の断熱+防湿シート施工後に天井野縁を施工

  • 工事中に急遽設計変更し、一部勾配天井へ。

  • 天井高さは2.3mと少し低めに設定。

  • 親子でDIY内装。しっくいローラー塗装です。

場所長野市松代町東寺尾
延床面積120.85㎡(36.49坪)
竣工2023年
補助金令和5年度信州健康ゼロエネ住宅助成金・ZEH化リフォーム
長野市・令和5年度耐震改修工事補助金
長野市・令和5年度温暖化対策推進補助金
長野県・令和5年度既存住宅エネルギー自立化補助金
断熱Ua値:0.22
Q値:0.87
C値:0.9(完成時実測)
自然温度差:9.54℃
暖房熱負荷:25.0kwh/㎡
省エネ基準地域:4
屋根:吹込みグラスウール35K 300㎜
天井:吹込みグラスウール18K 300㎜
外壁:HGW16K225㎜
床:HGW16K245㎜
サッシ:トリプルシャノンⅡx ダブルLOW-E 三層ガラス
玄関ドア:ガデリウス スウェーデンドア U=0.9
暖房方式PS温水パネルヒーター暖房システム8台(三菱電機エコヌクールピコ ヒートポンプ式熱源)
冷房壁掛けルームエアコン2台(寝室、リビング)
換気方式第三種セントラルダクト方式(日本住環境ルフロ400)
自然エネルギー活用太陽光発電パネル4.44KW(REC製 オプティマイザあり)
ハイブリッド式蓄電池12.8kwh(住友電工・パワーデポ)
Q1.0レベル2(省エネ基準比:25.70%)
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