Staff Blog

高校生からのインタビュー依頼。「空き家を活用して移住者を増やし、過疎化を防ぐには?

2026.09.19|リフォーム・リノベーション
塩原真貴

📩 長野西高校の皆さんへ。プロが語る「空き家問題と地方移住」の厳しすぎる現実と、これからの集落のカタチ

【本文】

先日、長野西高校の生徒さんから「空き家を活用して移住者を増やし、過疎化を防ぐには」というテーマで取材依頼をいただきました。 大変熱心なご依頼で嬉しかったのですが、日々現場の管理や業務に追われており、直接お会いしてじっくり面談する時間がどうしても取れません。

そこで今回は、話題のAI(人工知能)をインタビュアー役にした「壁打ち対談」という形で、私なりの答えをこのブログに綴ることにしました。

長野西高校の皆さん、そしてまちづくりに興味がある若い世代の皆さん。

少し厳しい現実も語りますが、ぜひこの記事を読んで、これからの地域社会について本気で考えてみてください。

AI(インタビュアー): 長野県には空き家がたくさんあります。これを都会からの移住者に提供すれば、過疎化を防げるのではないでしょうか?

塩原: 結論から言うと、現在ある空き家のほとんどは「需要がない」と考えた方がいいです。

これだけ住宅が供給過多の時代であるにも関わらず、建築会社の思惑で低性能な建売住宅や賃貸住宅が次々と建てられ続けています。

一方で、不動産ポータルサイトには無数の空き家情報が溢れています。それらは立地が良くない過疎地であり、子どもや孫が仕事のために実家を離れ、両親が亡くなった後も戻ってこないという状況の明白な表れです。

AI: それでも、自然豊かな地方で暮らしたいという移住者のニーズはありませんか?

塩原: 確かに「地方ならではの静けさ」や「豊かな自然環境」といった情緒的な理由で地方暮らしに憧れる人はいます。しかし、実際にそこで暮らすとなると話は別です。

面倒な近隣関係、たくさんの虫、そして何より「隙間風が多くて冬は暮らすに堪えない住環境」が現実として立ちはだかります。 そうした過酷な環境でも暮らしたがるというのは、俗世から離れたい仙人のようなごく少数派です。

それはコミュニティを伴う豊かな地方暮らしとは程遠い、いわば「孤独暮らし」になってしまいます。

「空き家を活用する」には、本来そうしたリアルな生活ニーズに応える必要があるんです。

AI: では、よそから人を呼ぶのではなく、都会に出た若い世代に「実家に戻ってきてもらう」ことで過疎化を防ぐのはどうでしょうか?

塩原: 着地点として実家に戻ってきてもらうことを考えるなら、今の仕事を辞めてまで戻るメリットを提示しなければなりません。

例えば「実家をリフォームするなら1000万円補助する」とか、「毎月生活費を現金や物品で給付する」とか、そこまでしないと人は動きません。

一番効果的なのは現金ですが、結局それは税金で賄うことになりますし、そもそも今の時代「実家に戻ることが美徳である」という概念自体がほとんどなくなっています。

外国人を含む部外者に空き家を買ってもらい、そこに新たなコミュニティを形成していくというのも、一部の人にしかできない非常に難しいことだと感じています。

AI: 古い空き家には、全く価値がないのでしょうか?

塩原: 古いもの、使い込まれたものに「良さ」や愛着を感じる人が一定数いるのは事実です。ヴィンテージの古着やアンティーク家具と同じですね。

ただ、日々暮らす「住まい」となるとどうでしょうか。トイレは汲み取り式で、生活雑排水は水路に直接放流。寝ている間におでこにムカデが落ちてくる……なんて状況がもしあるのだとしたら、そもそも絶対にそんな空き家に暮らしたいとは思わないはずです。だからこそリフォームやリノベーションが必要になり、私ども株式会社Rebornの出番になるわけです。

しかし、すべての水廻りをリフォームし、耐震・断熱改修を行い、屋根や外壁の劣化対策まで含めると、「建て替えて新築したほうが費用的に安くなる」場合も少なくありません。

単純な損得ではなく、その建物への強い「愛着」があってこその、新築並みのリノベーションということになります。

AI: ここで少し視点を変えて、「お金の循環」について伺います。ネット上の公開データなどを調べると、大手ハウスメーカーの原価率は50%程度とされています。対して、地元の工務店はいかがでしょうか。

塩原: 地元の工務店はおそらく20~30%の粗利益、つまり原価率70~80%の範囲で家づくりをしています。

不思議なことですが、私の周りでも、公の仕事に就いている人や「地元をしっかり経済的に自立させたい」と願って働いている人たちが、家を建てる際に全国展開のハウスメーカーに依頼するケースが多数あります。

少し飛躍した表現かもしれませんが、家づくりにおいて「地元の会社にできるだけお金が落ちること」を考えるのが、地域の職を増やし、過疎化防止に一定程度つながるはずです。

簡単に言えば、ハウスメーカーではなく地元工務店に仕事を依頼するということです。

AI: それは家づくりに限った話ではないですよね。

塩原: ええ、衣や食も同様です。過疎化の根本的な問題は、効率重視のシステムや、海外とのバーター取引といった利権がらみの政治的問題にまで繋がっています。

「安いものに飛びつく」→「あまりいい素材ではないので長持ちせずに捨てる」→「また安いものしか買えない」。この悪循環こそが「失われた30年」と呼ばれたものではなかったかと思うのです。

資材が高騰する中、コストを抑えるには施主さん自身のDIY作業を増やすしかない側面もあります。しかし、それがかえって「本来技術をお金に換える職業(職人)の未来を奪いかねない」ということも理解してもらいたいです。

DIYはしっくい仕上げや塗装程度にとどめ、可能であれば職人さんに依頼するのが、地域経済と技術を守る本当は正しい方向性です。

AI: ありがとうございます。では最後の質問です。今回のテーマである「空き家を活用して移住者を増やし、過疎化を防ぐには」、塩原さんご自身はどのような未来図を描いていますか?

塩原: まず「空き家を活用して」については、活用ができそうにないから空き家になっているのが現実です。

「移住者を増やす」には、仕事があり、一定レベルの住環境が備わった家があり、コミュニティに参加できる人間性が求められます。

その上で「過疎化を防ぐには」ですが、現実として人口が減り、地方財政の状況ではライフラインの維持もままなりませんから、地方であってもある程度の「都市集約」はやむを得ないと考えています。

ドイツなどヨーロッパでは国策として所得に関わらず集約を進めていますが、私はそれを手放しで良いことだとは思いません。

これまでの社会全体には「30年程度で家を建て替える」という住宅ローン頼みのお金の循環思想がありましたが、これからは最低でも90年~100年間暮らすことができる住宅をつくるべきです。

私のアイデアは、完全な都市集中とまではいかず、町内や村内でバラバラになっていた集落を統合し、「30戸以上の集落」を新しく形成するというものです。

バラバラに暮らすよりライフラインの維持ははるかにしやすくなります。そして、そこに人を呼ぶためにはある程度のメリットが必要です。子どもがいる若年層には住宅費の助成金を与えたり、地元産の米や野菜、エネルギーとなる薪を配給したりする。 そうした環境と仕事があれば、大学を出た子どもたちもIターン(地元回帰)で戻ってこれる。イメージとしてあるのは「5割の移住者」と「5割のIターン者」で構成される集落です。これが、私が考えるこれからの地方のリアルな生き残り方です。

【おまけ】対談相手のAI(人工知能)からのメッセージ

塩原さんのお話を、少し別の角度から、高校生の皆さんにもっと分かりやすい言葉でまとめてみます。

実は、これからの地方にとって一番大切なのは、勇気を出して「小さくまとまる」ことです。 どうにもならない空き家を無理に残すのではなく、壊して森や畑に還す。そして、点々と離れて暮らすのではなく、一つの場所に集まって30軒くらいの新しい村を作る。そうすれば、水道や道路を守る税金も少なくて済みます。

そして、遠くの大きな発電所に頼らないこと。隙間風のない本当に暖かい家をつくり、地元の山から採れた木で薪ストーブを焚く。これだけで、自分たちの足でしっかり立てるようになります。

もう一つは「お金の回し方」です。今の時代、パソコンがあれば田舎にいても都会の仕事をしてお金を稼げます。その稼いだお金をインターネットで安いものを買うために使うのではなく、地元の左官屋さんや大工さんに「長持ちするいい仕事」をお願いするために使う。 そうやって地元の中でお金と技術のバトンを回し続ければ、小さくても絶対に消滅しない、強くて豊かな集落ができるはずです。

大人が用意した、耳障りの良いきれいな「正解」なんてありません。 長野西高校の皆さんには、今回お話ししたような厳しい現実をまず知ってほしいと思います。その上で、「じゃあ、自分たちはどうすればいいのか?」という答えのない問いに、本気で向き合ってみてください。

株式会社Reborn 塩原 真貴

※売買されにくいとされるド田舎にある空き家を想定して作成しました。

長野市のような地方でも都市部の立地では売買が活況です。人口が空き家問題は維持管理が適正にされておらず放置されている家や、接道条件が厳しく車が入っていけないなどの悪条件にあるものが空き家として目立ちます。ですので、長野市界隈だと大岡、鬼無里、七二会、中条、戸隠、松代エリアを想定して草稿しました。空き家バンクでも不動産ポータルサイトでも低廉な中古住宅はずっと売れ残っています。

一覧へ戻る お問い合わせ・資料請求
一覧へ戻る

CONTACTお問い合わせ

お問い合わせはWebフォーム、
またはお電話にてお気軽にご連絡ください。

WEBフォームから

メールフォームから
お問い合わせのご連絡はこちらから

お問い合わせフォームへ

お電話から

026-274-5485

受付時間:9:00~17:00
定休日:第2・第4土曜 / 日曜 / 祝日