ようやくしゃべることができるようになってきました。
先週木曜日から風邪と花粉症を併発し、高熱が去った後はせきが止まらず、のどをおかしくして、 かすれた声しか出ない状態が続いています。
電話をいただく御諸兄には、多大なるご迷惑をおかけして申し訳ございません。
今しばらく復活を待ってください。
さて、そうなる直前、 長野市川中島町で、築35年の木造住宅をインスペクションして参りました。
天候は晴れ。いつものスタイルで臨みますが、 今回はサポーターとして坂田木材の内海さんに同行してもらいました。
彼自身これが初めての本格的なインスペクションだったのではないでしょうか。
番組内容のなかで、粘土層が10m~20mくらいの厚みで表層にある場合の危険性について触れられていました。
そのような地盤を持つ場所では、2階建てのような住宅がとても激しく揺れることがあるそうです。
地震波の周期とも関係しているようですが、まだまだ地盤と揺れについては研究がすすんでいないようです。
番組でも言っていましたが、建築基準法は「せめて命だけは」という最低限度の基準で定められています。
しかし、建物を建てるほとんどの方は、巨大地震が起こった後でも暮らし続けることができること、を望んでいるはずです。
私もいち建築士ですから、今後もやはり、”耐震等級3”を、積極的に啓発してゆきたいと思います。
屋根の上も、ふつうは目にしない場所。
瓦のずれや、谷板金の錆、雨樋の錆・つまりなどについても注意深く観察します。
阪神大震災以降、瓦葺きの屋根は非常に減りました。
頭が重くなるので、地震時に建物の振幅が大きくなり、筋交いなど耐力壁への負担がとても大きくなるためです。
谷に竪といが存在し、落ち葉もたまっています。
谷部分は、数学的に計算してみても屋根勾配よりかなり緩くなります。
山登りをする人なら直感的に分かるでしょう。
急斜面でも谷がもしあれば登れるはずです。
これでは雨水がスムーズに流れず、最悪は雨漏りします。
隅瓦が外壁に取りついているところも、ぱっくり割れて大きく穴があいています。
外壁に割れもありますので、過去に起きた地震の際に、大きな力を負担したのだろうと思います。
横殴りの雨が吹けば、必ず雨漏りする箇所となります。
幸い軒の出が90cm程あるために、なんとかなっているのでしょう。
「深い軒はつくり手の良心だ」といった人がいましたが、 こういうのを見ると、なるほど、と思うわけです。
でも、瓦ってすごいよね。
1000年以上も前からあったわけだし、形もマイナーチェンジはあったものの、今のとほとんどカワラナイですよね。
細かい詰め物はモルタルやしっくいで行われ、頂部のガンブリって呼ばれる瓦は、銅線でくくられて固定されているんですよ。
屋根は太陽光や風雨にずっとさらし続けられ、建物の部品で最も過酷な環境にある場所。
たまには「大丈夫かな?」って住人の方も視てあげる良心が必要なんじゃないかな。
屋根の裏側、小屋裏。
こうした木組みが屋根を支えていることをお忘れなく。
雨漏りすれば、こうした骨の部材を腐らせたり、カビさせたり。
さらに、天井はこの骨踏みにぶら下がっているのがよくわかるでしょう。
断熱材は無でした。 35年前といえば、オイルショック後ですから、グラスウール断熱材は市場にあったはず。
でもまだ、入れる人(棟梁さん)、入れない人、まちまちだったようですね。
増築をしたほうには断熱材が敷いてありました。
こちらも同じ大工さんが作ったのでしょう。
使っている材料や部材の大きさに共通パターンを見出しました。
これはこれで省エネ的に前進したわけですが、それでもなお、夏は暑い、冬は寒い、 なぜだろう、という風に1980年代は過ぎてゆきます。
孔を覗くと、そこは壁の中。
暖房したり冷房すると、この煙突的になったピットから、どんどん熱は屋根裏に逃げてゆきます。
今となっては、「なんでそんなことが分からなかったんだろう」という気になりますが、 驚くことなかれ、 今現在でも、これと同じように作ってしまっている人(会社)のなんと多いことか!
「気流止め」、そんな言葉もまだ一般的ではありません。
文章がまた熱くなってきてしまいました( ;∀;) のどがまた痛くなってきました。 今回はこのくらいにしておきたいと思います。
2017.4.11 Reborn-塩原 (毒度75)
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