私のいっこした、昭和49年築・長野市の住宅インスペクションを実施しました。
建替え新築か? リノベーションか?
リノベならいったい¥いくらくらいかかるのか?
その判断材料とするための既存建物現況調査です。
屋根上、床下、小屋裏などをくまなく調査し、弱点、長所、問題点をあぶりだし、暮らしぶり、物品の量なども考慮しつつ、未来に向けた次の一手をアドバイスしてゆきたいと思います。
相変わらずの雨男ぶりで、あいにくの雨。
それでも足元をたしかめながら屋根の上へ。
50年近くにもなる陶器瓦ですが、寿命はまだまだな感じです。
しかし耐震上は不利とされる重い屋根。
大地震の際は建て物の振幅幅を大きくする要因ともなりますし、 瓦の落下は避難を妨げます。
”重い屋根”は、耐震上有効な壁が多く必要とされるのですが、開口部が多いため(詳細は構造計算をしてみないと分かりませんが)必要壁量は満たしていない印象。
屋根裏へ。
重い瓦を支える小屋組み材に傷み損傷はなく、とても丁寧に造作されています。
この家も建て替えだったようですが、棟木を支える柱=棟束(むなづか)の一部が塗装されているような材で、 おそらく旧家の床柱かなにかだったのでしょう、再利用されている様子です。
しかしながら断熱材は皆無。 厚さ数ミリの天井板で2階の部屋とこの屋根裏空間は仕切られています。
当然夏の2階はものすごく暑いわけでして、昭和49年といえばオイルショックの1年後なので、ちょうど断熱材も普及がすすんできたころだったはずですが。
床下へ。
一度水廻りを中心に大規模リフォームを実施したそうですが、間取りの変更に伴い配管位置の変更によるものでしょうか、基礎がけっこう破壊されていました。
「インスペクションあるある」なのですが、けっこう基礎は壊されています。
”過去、白ありが出て駆除した”、なんて場合も破壊あるある。
人が入れなければ壊すしかない、というのもうなずける話ではありますが、 建物の主要な構造体である基礎を破壊するよりは、床に点検口を設けるなどした方がはるかに安全な建物を維持できるのですが、 住みながらのリフォーム・修繕・シロアリ駆除だとなかなかそうもいかないのかも。
依頼主の方が探し出してきてくれた、この家を建てた時の写真をお借りしました。
この家を評価するうえでも大変参考になります。
大勢の人がその様子を眺めています。
昔は、大工さんだけでなく建築主の親戚やご近所の人も手伝って建て方が行われていました。
足場もないなかで通し柱を4本立てて梁をかけている場面。
かなり家の形ができてきました^^
現場に20人ほどはいるのでしょうか。
棟梁の大声が飛び、「せーのでもって」と掛け声が聞こえてきそうです。
時折アブナイ場面もあったりして、ある種のお祭り的な雰囲気だったか。
※「せーのでもって」は長野県の方言?
やっていることは現代の建て方とまったく同じですが、足場なし・人力のみでどうやって組み立てるのか、もかなり重要な設計ポイントだったかと想像します。
じわじわと高いところに登ってゆく材木を眺めながら、人々の気持ちは高ぶっていったことでしょう。
千年以上もの歴史がある日本の木造軸組み工法。
つくり方が変わったといえばそうかもしれませんが、まったく変わっていないとも言えそうです。
誇らしげに木槌を振るう男たち。
それを眺める女衆、子供達。
家をつくるということはなんとドラマチックな出来事だったか。
簡単には壊せない、そう感じてしまうのもいたしかたありません。
そうはいっても冬ちょー寒い、耐震不安も同居する複雑な心境。
家というものは単なる工業製品ではありませんので。
2019.10.29 Reborn 塩原
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