2月から緑のベールに包まれていたリフォーム工事現場が完成いたしました(‘ω’)ノ
築浅=新築してからまだ5年にも満たない住宅の、長期優良住宅化リフォームです。
工事内容は、
①.断熱リフォーム(Ua値0.61→0.34)結果的に外壁の更新
②.暖房設備の見直し(エアコン→輻射熱による温水パネルヒーター)
③.換気設備の見直し(パイプファンによる局所3種換気→セントラルダクト式第3種換気)
工事前、インスペクションを行った際の外観。
窯業系サイディング+アルミ樹脂複合サッシ・ペアガラスで、片流れ屋根を持つ総2階建て。全然カッコいいです(*^。^*)
築後間もない、まだ「新築」とも呼べなくもない家をいったいなぜ?
という声が聞こえてきそうですが、初めて会った際、家主のMさんは、こうおっしゃっていました。
「冬、想像以上に寒い家で新生活が始まり、この先何十年もこの家に暮らし続けてゆくことがどうしても嫌だった」
※弊社で施工(設計)した建物ではありません
まずは外壁を剥がします。
むろん”超もったいない”作業です。
軒の出が短いので、窯業系サイディングの表面塗装寿命はせいぜい15年~20年。
サイディングの継ぎ目や窓廻りのコーキングは10年ほどで劣化し亀裂が発生します。
基本的には10年ごとにメンテナンスが必要なつくり。
初期投資は抑えられますが、20年で2度も足場をかけてコーキングの打ち直しと再塗装すれば100万×2回=200万!
30年目ではサイディングの張替えもやむなし。
このとき200万ほどがお財布から出てゆくことになります。
合計400万・・・汗・・・涙・・・ため息。
30年後は定年退職のころか。その時には水廻りもリフォームしなきゃいけないだろうし・・・。
住宅ローンで新築って、もしかして、一生お金たまらんのではないか!?
外壁を剥ぐとタイベックシートと呼ばれる防水シートが存在します。
タイベックの向こう側(室内側)には元々備わっている袋入りのグラスウールがあります。
筋交いなどがあり、パーフェクトとはいえないまでも、ある程度の充填率でしたので、この袋入りグラスウールはそのままとし、タイベックの上に、防湿シートを全面に張ります。
継ぎ目は気密テープで連続させます。
窓まわりは断熱材の厚み分だけ木枠をつくり、樹脂サッシを取付けます。
3月6日
サッシはこれまで使っていたものを残す場合と撤去してしまう場合がありますが、 残す場合は窓を開け閉めする際に面倒ですが、窓から逃げる熱は抑制できます。
また、室内側の窓廻りをあらためて化粧処理する必要がないのでコスト的に優位です。
サッシを撤去せざるを得ない場所も当然あります。勝手口のドアや、装飾窓と呼ばれる、引き違い窓以外のもの。たてすべり出し窓はその代表です。
この写真の箇所は、2重窓になっています。ガラスが合計4枚。2重窓は防音性に優れます。
いずれにせよ既存住宅の断熱改修工事では、サッシをどうするかがとても重要なポイントとなります。
次はいよいよ付加断熱です。
高性能グラスウール100㎜厚品を用いました。
一般的にはネオマフォームやフェノバボードといった石油由来系の断熱材を用いることが多く、 信州のような寒冷地でしたら50㎜~60㎜厚で覆うことが多いようです。
今回は断熱材の受け材としてKMブラケットを使用しました。
弊社の新築住宅では標準的に用いている工法です。
断熱したら、すぐにタイベックを張ります。
グラスウールによる外張り断熱(付加断熱)は雨の日は施工できません。
短期決戦!多少のコストアップは相殺できる、というような場合は発泡系断熱ボードでもよいかもしれません。ただし火災延焼性はグラスウールあるいはロックウールに分があります。
次に外壁仕上げ材の下地ともなる通気胴縁(どうぶち)を取付けます。
今回の外壁仕上げは、ゼオン化成の樹脂サイディングとしますので、窓廻りは巾の広い材を用いています。
樹脂サイディングはコーキングを使用せず、素材自体の耐久性も50年以上は見込まれますので、大幅にメンテナンススパンを延ばすことができます。
現代における建築外壁資材で、理想的な外壁材の一つだと感じています。
住宅を長持ちさせよう、次の代に引き継ごうと考える人にとっては選択肢の一つになると考えています。
工事を開始してから約2か月。
カジュアルテイストの長持ちしそうな外観があらわになりました。
本ブログ2枚目の写真と見比べてみてください。ぱっと見変わりません(笑)
サッシの色がかわったね、ってくらいしか近所の人は気づかないかも。
しかししかし、 暮らす人にしか分からないのですが、住み心地はまったく違うものになっています。
工事期間中、室内で温湿度を計測記録していました。
寒い時期に、住みながら工事をすることはめったにありません。
断熱職人にとってはまたとないチャンスでした。
樹脂サッシ取付と外壁付加断熱を行うと、やはり室内気温が上昇傾向に転じているのが分かります。
暖房を入れたり切ったりしているので温度(赤軸)の上下がありますが、あきらかに温熱環境が改善しています。
そして最後に温水パネルヒーターによる全館暖房をオン!
温度が上がりかつ安定。替わりに湿度ががつんと下がっています。
本ブログの途中で、「住宅ローンで新築って、もしかして、一生お金たまらんのではないか!?」という投げかけがありました。
初期投資でそれなりにコストをかけないと、建物を構成している素材の劣化やメンテナンスに振り回され、 冷暖房費を主とするランニングコストの影響で「なぜだかお金が貯まらない」ということになりかねません。
「要はバランス」 という一言になってしまう訳ではありますが、建築主のみなさんが賢くならないと、 営利を目的とする住宅メーカーの「いつまでも商売させてもらいます」の術中にはまってしまうのではないかと思われます。
2020.4.18 Reborn塩原
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