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おも~い契約

2012.11.18

今日は東海地区でご契約手続きをいただきに、雨の高速道路を走りました。   築10年のポスト&ビームのご住宅です。屋根と外部木部の塗装の塗り替え、それに腐りつつあるデッキの張替え、さらに、成長したお子さんたちのために間仕切り壁や、机・本棚などを造作するという大規模なリフォームを計画していました。 昨年の今頃です。     玄関ポーチに屋根を付けると、いくらぐらいかかるの? だとか、         露天の玄関ポーチデッキと階段もそろそろ更新時ですね~、 など、仲良しご夫婦と一緒に調査・ヒアリングを行いました。 昨年の10月です。     「南側の広いデッキも腐りつつあり、全面的に更新したいと思うけど」、というご質問に対しては、ランバーテック社の30年以上腐らない木のデッキが、材料代は高くつくけど、また10年後に張り替えなくていいので、長い目で見たらお得です!などとお打合せをしました。 昨日のことのようです。   駐輪スペースにもやっぱり屋根が欲しいよね、子供たちの為にも、 とか         吹き抜けをつぶして、子供部屋とした方が良いのか?               吹き抜けに面した、2階のフリースペース(現状は物干しスペースとしている)に間仕切りを設けて部屋っぽくして、子供が成長して家を出た後、また取り外しが出来たりするようなことが、できちゃったりしますか?などなど久しぶりにお目に掛かったこともあって話が弾みました。   数日後、見積もりを郵送させていただき、「塩原さん、だいぶ頑張ってくれてありがとう!これで進めたいので、銀行でリフォームローン組んででも今回やっちゃうつもりだけどいい?」 「もちろんいいですよ!来年の春にできるといいですね!」そんなやりとりを電話でさせていただきました。 数週間後、再びご連絡をいただきました。 「塩原さん!銀行の審査、通ったから、近いうちに契約しましょう!」 「良かったですね!呼んでいただければ、いつでも、職場でも伺いますよ。」 「それじゃ、また予定が決まったら電話させてもらいますね!」 昨年のちょうど今頃でした。 仕事が大変にお忙しい中で、電話をいただいた気配がしました。 そしてこの電話が、最後の会話となってしまいました。私の兄と同じくらいの御年でした。 今年の1月、高速道路で深夜3時、交通事故により急逝。 当然、工事はいったん中断です。 奥さまからご一報をいただき、翌日、事故現場を通って、ご自宅へ。 人の生の、あまりのあっけなさに驚き、遺影を見て涙。 奥さまは、さまざまな手続きや整理で、泣く暇もない、と。 「主人がこうなってしまったので、今後家のことは、全面的に塩原さんに面倒みてもらわないと困る!」 と、大変にありがたいのですが・・・・。何とも言えない切ない表情で、奥さまにお願いされました。 「もちろん、力になれることは何でも致します。家のことに限らず、困ったことがあったら、やりきれない気持ちになったら、いつでもご連絡ください。」 「ほんと困った主人!なにもかもやりっぱなしで!いつか再会したらなんて言ってやろうかしら!」 ・・・・・・・・・。 お家づくりに携わる関係上、打ち合わせその他は、ご夫婦ご一緒で行います。家族全員と関わりがもてる特殊な職業が設計という仕事でしょう。 時間は等しく過ぎてゆきます。 夏ごろ奥さまからお声掛けいただき、 「このまま放置しても、家は悪くなるだけ。例のリフォーム、そろそろやりましょう。仏壇置き場もつくらなきゃいけないし・・・。」 再び、打ち合わせ再開。奥さまと工事内容を一つ一つ再検討しました。 「仏壇が12月に出来上がるので、なんとか1周忌に間に合うように、年内に工事を済ませたい。仏壇置き場もこの窓の部分を出窓みたいに出っぱらせよう。」ということになり、追加費用を計算していると、奥さんの携帯に電話が。お子さんの通う学校の先生からです。 「〇〇君、熱が急に出て、戻しちゃった。迎えに来れますか?」 そんな連絡がありました。 「今、遠くから打ち合わせに来てもらっているので、終わったら行きます。」 「・・・・・・・・大丈夫ですか?」 「まぁ、大丈夫でしょう。打ち合わせ続けましょ。」 「じゃあ、なるべく手短に。」   その10分後でしょうか。再度先生から電話。 「熱がぐんぐん上がってるので、すぐ来てください。病院へ連れてって。」 打ち合わせ中止。 私は帰路、ぼんやり考えていました。仏壇置き場。そんなの必要ない、ってことなのかな?   先日、再度打ち合わせをしに訪問し、その事を奥さまに伝えると、 「実は私も、そうかと思ってたの。」 : そして本日、ご契約をいただきました。奥さまにご署名・ご捺印いただく前に、遺影の前で、契約書をお見せし、工事内容を一つ一つ説明し、金額をお知らせし、工事日程などもお知らせしました。 お子さんは二人とも私たちと同じ部屋にいました。 「お茶入れますね。」 雑談すること数十分。 ・・・・・・特に変わったことはありません。 「・・・・・・・・・・大丈夫みたいですね。」 「そうみたいね。そんじゃハンコ押しますね~。塩原さん、主人の代わりに。お願いしますね。他の人じゃだめだから。」 帰路、どしゃ降りの中、亡き I さんを偲びつつ、責任の重さを噛みしめました。 途中、岐阜~長野の県境で、高速道路上大きな事故がありました。その横を、ハンドルをしっかり持って通り過ぎます。 人の寿命よりも家の寿命は長い、というこれまで頭では理解していたことではありますが、そのことがどういうことなのか、そんなことも考えつつ。

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