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何を優先するか?

2012.05.14

10年近く前にログハウス(ポストアンドビーム)を新築させていただいた方のご実家(=北名古屋市)のリフォームについてのご相談をいただきました。建築確認は昭和52年。工事は昭和53年にかけて行われた築35年のご住宅です。 家族構成は、おじいちゃん・おばあちゃん・お父さん・お母さん・長女・次女・3女の7人家族の2世帯住宅。2階が若夫婦寝室、子供部屋×2、リビング、トイレ&洗面コーナーです。 1階が和室の客間、リビング、台所、食堂、和室の寝室、トイレ、洗面脱衣室、浴室、洗濯室、納戸といった、わりとオーソドックスな部屋割。 瓦ぶきの2階建です。延床面積は52.38坪。軒の出が3尺(90cm)ほどあり、堂々とした外観です。 これまで洗濯室を改修した程度で、今回が初めての大改修となります。       南からの外観です。北側道路なので、玄関は当然北にあり、南側にはたっぷり庭があります。2階にベランダはありません。やはり軒の出が深いので、外壁があまり傷んでいません。       室内の床はこの時代によくある市松模様に突板(つきいた=薄くスライスした木)練り付けの合板床12mm。下地が悪いのか、材が腐りつつあるのか、ところどころブカブカしています。       さっそく床下にもぐりました。断熱材は無く、床合板の裏は特に腐っている様子はありません。しかしカビ臭がします。         建物中央に近い部分の床裏にカビが発生。床下の通気が不足している証拠です。         だいぶ前ですが、シロアリ業者によって再消毒をしたらしく、その際基礎の一部は斫(はつ)ってしまっています。コンクリートの破片が見えるかと思います。         水廻りの給水管や排水管からの漏水はありませんでした。白あり被害も見当たりません。地面からの湿気防止と床根太(ゆかねだ)の補強と、床の断熱材を入れることが必要だと感じました。 30分ほど這いずり回って調査しましたが、カビの臭いに耐え切れず脱出。     キッチンです。まだ使用できますがボチボチ壊れてきている箇所も出てきているので、思い切って更新を希望。         タイルと石でつくった浴室も巨大な窓によって冬はチョー寒い。給水・給湯管も寿命で数年前に配管しなおしていました。足腰の弱ってきている老夫婦の為にも、安全に入浴できるお風呂に、また冬、入浴するのに抵抗のない浴室にしたい、というご希望。           トイレも更新したい。手すりの設置。段差のない床・掃除しやすい床をご希望。         昔の家のドアにはかならずこのような沓摺(くつずり)があります。3cmの高さがあり、つまずく原因になっています。今回、沓摺なしのバリアフリー床の実現もご希望。ブカブカせず、無垢のフローリングをご希望。       リビングの巨大サッシです。もちろんシングルガラスです。同様の窓が1階だけで3か所もあり、冬場暖房が効きづらい空間になってしまっています。 この窓はそのままに、室内側に内窓を新設をご希望。もちろんペアガラス仕様で。     リビングには立派なものが!         昭和56年に建築基準法の耐震基準が大幅に見直されました。これ以前の建物は、要注意と我々設計士は考えています。果たして来たるべき東南海地震に倒壊せずに耐えられるか、このあたりが一番心配するところではあります。 しかし日々生活しているご家族は、やっぱりキッチンや浴室、トイレなどの水廻りのリフレッシュ型リフォームが基本。省エネに必ずや直結する断熱改修や、構造補強の耐震改修は後回しの感があります。 あと何年もつのか?もたせたいのか? 建物の構造的弱点はどこなのか?補強すればいいのか?壁を追加しなくてはならないのか? 省エネにつながる投資をどの程度して、室内の快適性をどの程度向上させるのか? そんなことを考えながら提案をしていきたいと思います。 当然予算のこともあります。想定外として追加費用が膨らむようでは工事も立ち行かなくなるでしょうし、設計士としての信用も失うでしょう。 事前の調査を念入りに、施主の意向や要望を良く聞き、設計士として主張すべきはして、限られた予算を上手に使って効果的な工事を提案しようと思います。 また今回は、住みながらリフォームです。職人さん、とりわけ大工さんの気の利き具合や段取りの良さ、信頼関係が重要です。  

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