借家か中古でいいと思ってたけど、塩原さんの家だったら建ててもいいかなと思えるようになった
記者:
なぜここ(安曇野)に家を建てようと思ったんですか?
ご主人:
元々岩手に住んでいましたが、転勤によって長野(安曇野)に移り住んだのが2年ちょっと前。縁もゆかりもない土地に転勤でやってきたので永住するつもりもありませんでしたが、職場と併設の社員寮が山の中だったので、通学が非常に不便。小学校はバスと徒歩で1時間、中学校は自転車だが帰りが大変。そんなことから、学校の近くに家があればいいなくらいな感じで、中古住宅や借家を探し始めました。
記者:
設計士の塩原とはどのようなきっかけで?
ご主人:
複数メーカーが集まる住宅公園を見学したところ現在の土地を勧められ、あるハウスメーカーさんから色々と提案してもらいましたが、いまいちピンとこなかったので契約に至りませんでした。そんな中、知人が建てた塩原さんの前職の会社の建物を見る機会があり、イイ感じだねと好印象をもち、その知人に塩原さんを紹介してもらったのがきっかけです。
記者:
実際に塩原に任せようとなった経緯は?
ご主人:
最初にお話しをさせてもらったハウスメーカーさんの提案に魅力を感じなかったのと、費用も結構かかってしまうことが分かってきていた最中に塩原さんに相談したら「そんなにお金かけなくてもそれなりに家は建てられるよ」と助言を受けていく中で、「塩原さんの家だったら建ててもいいかな」と思うようになりました。 家を建てるとなるとずっとここに住み続けることになりますが、また転勤の恐れもあります。 場合によっては、建てるにしてもいずれ売ることも考えて探していたし、塩原さんにもそのように伝えて進めました。でも実際建つとイイ感じだし、愛着もあるので売るの嫌だなと思うようになりました。
奥様:
愛着がね、すごいんです。
ご主人:
ハウスメーカーでは、3DCGなどで間取りなど立体的にわかりやすかったですが、毎回先方が提案する内容がいまいちで、「正直トキメキが無いんで…」とお断りをしていました。また、基本プランありきで、こちらの希望を十分満たすものだと費用的にも厳しくなってしまいました。塩原さんとの話では、こういう感じでテレビ台があって、居間には階段が欲しいなんて話しになったときなど、「こんなの欲しいよね」という要望を「こんな感じになるよ」と、その場でササッと手書きのイラストを描いてくれた時にトキメキを感じたんですよ。
記者:
まずは塩原の建てた家をご覧になった時に「なんかイイな」とピンとくるものがあって、実際会って話をする中で「この人にだったら任せていいかな」となった感じですね。
ご主人:
そうですね。「これだったら出来るよ」「ここまでしかできないよ」とはっきり言ってくれたし、話に裏がないところが良かったです。
奥様:
「いいところはいいし、だめなものはダメ」みたいにはっきり言ってくれました。
【記者感想】
転勤、子どもの通学を考えて引っ越し検討、借家、中古住宅から徐々に新築の流れになってハウスメーカーへ。家を建てる動機としてよくある状況の中で、ハウスメーカーではなく設計士に依頼する経緯が非常に興味深かったです。
手書きのイラストでトキメキを感じさせるなんて、やりますね。
これぞ分離発注方式。誰に何のお金を払っているのか、はっきり分かったのが良かった。
記者:
分離発注についてあまり詳しくないんですが、家づくりに関するそれぞれの業者と個別に契約することになるんですか?
ご主人:
そうですね。私も最初はそんなものがあるなんて知らなかったんですが、結局全部まとめて支払いするとなると、どこにどんなお金がかかっているか分からない。一つ一つを契約したうえで支払いをすることで、ハウスメーカーに支払うことになる中間マージンが無くなる分安く済みますよ。と話をしてもらいました。販促のツール(CG)なんかにしてもお金がかかってることですからね。分離発注の方が施主の支払は少なくなるし業者に入ってくるお金も多くなるので、どっちも得なんだよと話をされました。
記者:
結局、宣伝広告や販促のツールやシステムにしたってお金がかかっていること、そういったお金が全部施主が支払う額に乗ってくるわけですね。
ご主人:
実際にしおはらさんから、いままで仕事してきた中で信頼できる業者さんを紹介してもらって、契約の際もしおはらさんにも同席してもらって「ここもうちょっと安くしてよ」なんて交渉してくれたりもしました。(笑)
記者:
家づくりのプロががこっちの味方についてるってのは、とても心強いですね。(笑)
ご主人:
支払いについては「おれは一切ノータッチだから」という感じでした。でも実際に契約の場に塩原さんに一緒にいてもらうことが多くて、「基礎屋さんに○○万」「足場屋」「仮説トイレ」「大工」「左官屋」「屋根の板金屋」「電気工事」「設備」など。あと、お風呂やキッチンなんかの「水回り設備」に関してはメーカーの展示場にはいきましたが、結局は安く売ってくれる業者さんから購入しました。 そういえば、材料の木についてもしおはらさんに紹介してもらった材木屋さんと契約をしました。
記者:
材料の手配も施主がするんですか!?
ご主人:
いや手配というか、しおはらさんが設計してどこにどんな材を使うと指定してくれた物を、実際に木を提供してくれる業者さんと直接契約して買うといった感じです。
どの業者さんとも最低一回は会っています。顔を合わせているので、近い存在には感じましたね。家造っている期間って、大工さんはお会いする機会も多いんですけど、他の業者さんとは関わり合いも少ないんですけど、基礎屋さんなんて何度も見に行くもんだから、工事の様子を撮った写真を完成後にアルバムにしてくれましたよ。
記者:
完成といっても基礎のですね(笑)
ご主人:
材木屋さんも餅まきの時にお酒差し入れしてくれました。(笑) 払っていくとどこにどんなお金がかかっているのか分かるようになりました。 例えば、家を建てる前に土地の調査をして、それにこれだけかかるんだ~なんて。 実際、こっちから振り込みをするわけですけど、「ああ、いまこれだけ支払ったんだ」みたいによくわかるわけですよ。
記者:
ハウスメーカーに頼んで、まとめて支払いとなるとなかなか実感わきませんよね。
ご主人:
最初に塩原さんに見積もり作ってもらった時と、工事が進んでいく中で支払う分と微妙に変わってくるんですよ。高くなったり、安くなったりしながら、その都度計算だしてもらって、「たぶんこれくらいで収まると思うよ」と言ってるのとそれほど大きな差が無かったんです。
記者:
うまいぐあいに収めたわけですね。その辺は設計士のプロデュース力といったところですね。 お施主さんからしたら、最初にこれくらいと言われたのから大きく外れたら「何だ話が違うじゃん!」となってしまいますからね。細かく多少の増減があったとしても、最終的に収まるのが最初と変わらなければ、お施主さんとしても納得いきますね。
ご主人:
そうですね。「あ!こここんなに安くなってる」とか「ここは思ったより高かったな」とか結構ありましたね。
記者:
そういうのを含めて分離発注は負担になりませんでしたか?考えたり迷ったり、めんどくささとか。
ご主人:
実際、業者さんを連れてきてくれたり、日程調整などは塩原さんがやってくれたので、直接契約ですけど私の方から連絡などはなかったです。「この日にこの業者さんとこの業者さん連れて行くから契約して」みたいな感じで進めてくれたので別に負担は無かったです。言った通りに会って、言った通りに契約してれば滞りなく家づくりが進んでいきました。
記者:
実際に家づくりが始まってからも、ハウスメーカーで造ってたらいくらぐらいだった。みたいな話しはありましたか?
ご主人:
ありましたよ。ハウスメーカーにやってもらえば、中間でお金がかかるから、業者の取り分は少なくなるし、個別契約なんで請求したらすぐにお金も入ってくるから業者にとってもすごくいいと。家づくりに関わるみんなにとってイイことなんだよとお話ししてくれました。塩原さんは、本当に設計料しか取ってないですし。
記者:
仲介料とか調整料とか取らないんですか?
ご主人:
本当に全然取ってないです。
記者:
それが仕事とはいえ、設計以外にかかる時間と労力はかなりの物でしょうね?
ご主人:
ははは、だからいつでも忙しいんだと思いますよ。(笑)だから人が必要なんだと思います。
記者:
分かりました。 契約については、それぞれの業者と直接契約しお支払いをした。かかったお金も最終的には最初の見積と大きく変わらなかったということですね。
【記者感想】
これぞ分離発注方式というお話で、分かりやすかったです。
施主手配ですべてを進めるというのはとても負担になる印象がありましたが、設計士が介在することでスムーズに事が運ぶようになっているというのが興味深かったです。
これならば、個別の契約や支払など多少煩わしさを感じるかもしれませんが、家づくりに関しては安心してお任せできますね。
近所の奥さんに「何やってるんですか」とか言われて「あ、自分たちで壁塗ってます」って
記者:
家づくりの各段階において全てをお任せではなかったとのことですが、家を建ててる間に印象的な出来事、何を見て、何を聞いて、何をしてきたのかを教えてください。
ご主人:
私たちは最初、建ててる間に施主家族に見に来られることが嫌なんじゃないかと思ってました。監視されてると思われるんじゃないかと。それが、逆に見に来てほしいと思っていたというのを聞いて驚きました。基礎工事の時に、せっかくなんで出来てるところを少しづつビデオに撮りたいんですけど良いですか?と聞いたら、是非来てください!と言うんですよ。なのでほぼ毎日通ってました。(笑)
(基礎が)完成した時にもらったアルバムにも「毎日見に来ていただいてありがとうございました」なんて書いてありました。
記者:
毎日。ははは
ご主人:
そのあと、大工の鬼六さんにもいろいろなお話を聞きまして、「これはこういう風に建てるんだよ」とか「この材はこうでこうで」とか結構説明をしてくれました。鬼六さんの場合は、むしろ説明するのが好きだったみたいな。(笑) 「どうもどうも」て感じで行っては話して聞いてというのを、仕事終わりや休みの日にもほぼ毎日通ってました。
ご主人:
材料の会社だったり、足場の会社の方だったりは、その日限りでそれから会うこともなかったんですが、鬼六さんとはよく話をしたのでかなり仲良くなりましたね。リビングのテーブルも「こういう家だからせっかくだから天然の木で作ってほしいんだ」と言って鬼六さんに作ってもらったんですよ。そういう話も仲良くなったので頼みやすかったです。楽しかったですよ。
ご主人:
塩原さんに「いついつまでにここ塗っとかないといけないからね」なんて言われて、一日がかりで壁塗ったりしながら「大変だよね」なんて話しをしたりとか(笑)
足場登って塗る時もヘルメット借りたりだとかフフフ(思いだし笑い)
記者:
すみません。いったいどこまで作業してるんですか?
ご主人:
色々ですよ。軒のパイン材、あれは大変でしたね。 あれ長いんですけど200枚くらいあるんですよ。それを表裏3回塗りしなくちゃいけないんですよ。塗って乾かして塗ってを3回づつやるんで、結局丸一日かかりましたよ。たまにちょっと手伝ってもらったりしてね。
奥様:
ほとんど一人でやったね。
ご主人:
あれが一番大変だったかな?壁塗りも大変だったかな?あと、梁とか柱とかの外に出てる部分、オレンジ色の部分は全部塗りましたよ。あと、窓の周りの木も全部窓周りを図って、木を切って、塗装して、インパクトで取り付ける作業までしました。
記者:
ははは
ご主人:
あとは、上の梁(屋根を支えている部分)は上に上って塗らなきゃいけないんですけど、「塩原さん、あれも塗るんですか?」って聞いたら「そうだよ!そりゃそうじゃん」みたいな感じで(笑)
記者:
「当たり前じゃん、塗らないわけいかないでしょ」みたいな(笑)
ご主人:
「やっぱり自分で塗るんだ!!!」って驚きました。高いからあそこはやってもらえると思ってたら(笑)あと、中の梁も艶出しを一回塗りで建ててる間にやりました。全部中が作り終わった段階で石膏ボードに内壁を塗りました。天井は見るからに大変そうだったから業者の方にお任せしようかなと思ったりもしたんですが、塩原さんの「そんなに大変じゃないよ♪」の一言で壁も天井も全部自分たちでやることになりました。石膏ボードの継ぎ目や釘穴をパテで埋める作業とマスキングの作業がとてもめんどくさかったです。壁塗り始めてからマスキングしてないところを発見して「ああ」ってなったり。
最初に塩原さんに教えてもらって息子の部屋を塗ったんですけど、その時は一日がかり、 そのあと寝室の時は私の後輩が手伝ってくれたんですけど3人で半日くらい、全然終わらないな~と思ってたころに外壁を塗ってくれていた左官屋さんが、廊下の一部を塗ってくれたんです。その時に「こうやれば早いのか!」と技を盗みました。そこから少しづつ早くなって、一部屋を3時間くらいで塗れるようになってからペースが早くなりましたね。
記者:
発想が施主じゃなくて、完全に弟子ですね。(笑)
奥様:
ははは、そうそう
ご主人:
去年のお盆の休みは全てそれに費やしましたね。もう、暑くて、すごい暑くて汗だくになりながらラジオで甲子園聞きながら作業してました。甲子園テレビでほとんどみてないですけど、ラジオでほとんど聞きましたよ。(笑)
記者:
ははは、感覚的に完全に職人ですね
ご主人:
一番大変だったのが、ここのうえ(階段の吹き抜け部の横面) 足場が無く、脚立も立てられず大変でしたけど忍者のような体勢で頑張って塗りました。 家全体を塗るのは大変だったけど、だんだん自分うまくなっていくなぁと感じました。
記者:
(爆笑)何年後かには独立してますね(笑)
ご主人:
洗面所や息子の部屋は最初のほうだからすごく汚いけど、一階は最後の方に作業したのできれいに塗れました。楽しかったのと、なかなか経験することがないだろうなと、そんな経験をしながら作った家なので更に思い入れが強くなりました。人にはあげられないなぁと。
記者:
すみません。私、壁塗りちょこっと手伝ったくらいのものだと思ってました。まさか全部やらされてるとは…
ご主人:
狭いところとかコテが入らない隙間が大変だったので、娘に入ってもらって頼んで塗ってもらったりしましたよ。デカいところはサーサーとあっという間に塗れるからいいんですけど。最終的には厚みとかもだいぶ均一にキレイに塗れるようになりましたよ。
奥様:
「俺うまいでしょ」とか言っちゃって(笑)
ご主人:
もう一軒やったら相当うまく塗れる自信がある。どっかで発注してくれないかなみたいな(笑)
記者:
もうジョブチェンジするしかないですね。まわりのお宅の方も施主だと思ってなかったんじゃないですか?(爆笑)
ご主人:
近所のおじさんに「なんで自分でやってんの?何なの?大工要らないんじゃない?」とか言われたりしました。
奥様:
近所の奥さんに「何やってるんですか」とか言われて、「あ、自分たちで壁塗ってます」って言ったら「壁を?塗る?何言ってんの?」みたいに言われたり、木を切ったり塗ったりしたら不思議がられたりとか色々ありましたよ(笑)
ご主人:
でも塗るのがこんなに大変だとは思わなかったです。
奥様:
軽く言っちゃいましたね「やります!」みたいに
記者:
「こんなに大変なら全部頼んだ方が良かった!」みたいに揉めたりしませんでしたか?
ご主人:
奥様いや、それは無かったです!
奥様:
ただ、塗り方が下手だとか変だとか、お前はムラがあるとか、台所のツートンがうまく塗れなくてすごい言われて…
ご主人:
奥様そういった面では険悪になりかけた時もあった。
記者:
元々そういうDIYとか木工で色々作ったりが好きだったんですか?
ご主人:奥様:(声をあわせて)やったことない!
ご主人:塩原さんが「壁紙よりも塗り壁のが全然いいよ。調湿もいいし長持ちする。どうせやるなら塗り壁がイイよ。」と言ったんです。「でも高いんですよね?」て聞いたら「いや、内装屋さんに壁紙貼ってもらうのと自分で壁塗るのと値段変わらないから」と言われ「じゃあ、やります」みたいな感じで決まりました。
記者:
誘導が上手ですね。(爆笑)
ご主人:
でも今思えば、後からこういう思い出話もできるし思い入れも強くなるし、やってよかったと思いますよ。
記者:
大笑いしてすみません。面白かったです。ホントにまさか全部塗ったとは思わなかったです。「ここは自分たちで塗りました」くらいの感じだと思ってました。
ご主人:
奥様マジの話です。その辺は塩原さん徹底してますから。
奥様:
一人の職人として使われてたよね。
記者:
「やるって言ったよね」って(笑)
【記者感想】
完全に施主の丹羽さんが塗装と内壁塗りの職人として扱われていたお話しに爆笑してしまいました。
ただ、大変だったと言いながら楽しそうに話をしている様子から、本当に良い思い出ができて、家に対する愛着が増したということを感じました。
暖房つけてると暑くて寝られない。家中暖かいから漬物置き場が無い!
記者:
塩原から「良いことだけ聞いてくんな」と言われているので、ぶっちゃけてお話ししていただきたいんですけど、完成して住んでみて、ここイマイチだな、ここもうちょっとこうすればよかったなとか、理想はこうだったけど現実は。。。みたいな話はありますか?
ご主人:
奥様あんまりないね。
奥様:
出されたプランそのままでできたので、すごいなーと
ご主人:
冬場楽しみだったんですよ。ホントに寒くないのかなと。確かにすごく寒い日はあるんだけど、そんな時はちょっと暖房(パネルヒーター)の温度上げてあげればいいだけ。夜もほとんど暖房切って生活してましたよ。
記者:
何ですって?
ご主人:奥様:
暖房つけて寝てると暑くて寝られないくらいでしたよ。
ご主人:冬場でも、晴れてる日の日中は暖房つけずに窓から差し込む太陽の熱で十分暖かかったです。太陽の光で十分暖かくて、家の中30度くらいになるんですよ。なので暖房切って生活してましたし、子ども達も半袖で過ごしてました。曇ってる日はさすがに暖房つけましたけどね。陽の光の熱はすごいなと…
塩原さんが「窓は大きい方がいいんだよ」と言ってました。「大きい窓は寒い」っていう印象があるけど、大きい窓は太陽の光をたくさん入れて熱にしてくれると言っていました。あそこの窓(吹き抜け上部の固定窓)がキモになってて、太陽の低い冬場は日が差し込んで家の中が温かくなるんですけど、太陽が高い夏場は逆に陽が入らずに暑くならないんですよ。
記者:
しおはらマジックですね。
ご主人:
暖房は朝と夜はつけるけど、日中は本当につけてなかったです。冬に友達が何人か来て泊まっていったときに「夜寝る時も暖房つけてれば寒くないね」なんて言ってましたが「いや、暖房つけてないよ」って言うとびっくりしてましたよ。
奥様:
7台あるパネルヒーターもリビングの2台は付けていたけど、二階はほとんど付けずに生活してましたよ。
記者:
家を建てる前に住んでた家というのは?
ご主人:
職場の社員寮のようなところで、築17年くらいなんですが、すごい結露でした。天井の壁紙も結露とカビではがれるような状態でしたし、本棚の裏側の壁や畳もカビで腐ってしまってました。なので2年も住んでいないのに畳交換することになってしまいました。今の家は結露しないよと言われましたが、ほんとに結露知らずで快適です。
ご主人:
一つ困った事がありました。
記者:
おっ!ついに。お願いします。
ご主人:
漬物や野菜を置いておく場所が無いんです。野菜や漬物って家の中の寒いところに置くじゃないですか? 外だと凍っちゃうし暖かいところだと悪くなっちゃうし、で普通は玄関なんかの家の中でも寒いところに置くと思うんですよ。 でも、この家は玄関に置いても、何処においても直ぐに腐っちゃうし、漬物もすぐに酸っぱくなっちゃうんです。
奥様:
今、みそを置く場にも困ってます。床下への点検口の中におこうと思ったら、しおはらさんから「ここは俺の入り口だから置かないで」って言われちゃったし… 来た時だけ隠そうかな…と
ご主人:
困ってるってことでもないですね。
記者:
う~ん、教えていただいてすみませんがそれはちょっと…
ご主人:
奥様うーん(悩)
【記者感想】
本当に暖かいということが分かるエピソードでした。
特に吹き抜けの窓が絶妙な大きさと配置で冬の暖かさと夏の涼しさに貢献しているお話は興味深かったです。
断熱性能+計算された窓の大きさと配置+パネルヒーター2台の暖房で、信州の冬に子どもたちが半袖で過ごしているというのも驚きました。
何とか不満を聞き出そうと思って粘ってみましたが、結果は家が暖かいというお話でした。
リビングがイイですね。結局みんないつもここにいるんですよ。
ご主人:
最初に言われてたんですけど、木がまだ生きてるから割れたり動いたり膨らんだり縮んだりするよってことだったんですけど、夜中に突然「パンッ」て鳴るんでびっくりしますよ。それはちょっと大丈夫なのかなって思ったりします。今はそういうもんだと思って生活しています。あと冬と夏で梁と壁の隙間が大きく違いますね。無垢板のフローリングの隙間も夏と冬で全然ちがいます、隙間に子供たちのお菓子が詰まったりします。
記者:
無垢材はそういうもんなんですね。
ご主人:
奥様:特に困ったこともなく、とても快適に過ごしています。
記者:
(西側の壁をさわり)西日ガンガン当たってますけど全然暑くないですね。 あれ?いま窓閉まってます?(取材当日の安曇野は34度、時間は15時くらいで強い陽が西側の外壁にあたる状態)
奥様:
全部閉めてます。 しおはらさんに閉めておくように言われてて、開けると「だめだよ閉めなきゃ」と注意されます。風が入ってきて気持ち良かったりするんですけど。
記者:
外の熱気を家に入れないってことなんですね。私の家じゃ蒸し風呂状態で生きていられないですね。では、不満というのは無いとのことですけど、建ててからここはこうすればよかったかなと思ったことはありますか?
ご主人:
トイレの収納をもう少し大きくすればよかったと思います。トイレットペーパーを置く場所が少ないのでリビングの収納を使ったりしてます。打ち合わせの段階でしっかり話し合って、棚やニッチなどはたくさん作ってもらったんで良かったです。作っている最中も「ここにもこれ欲しい」なんて要望も聞いてもらえました。不便な事、必要なことを考えて、伝えて設計してもらえたので良かったんですが、本棚はこれから先足りなくなるんじゃないかと思ってます。
記者:
(電話の上のコルクボードを見て)そのコルクボードも作ってもらったんですか?
ご主人:
そうです、きっとメモなんかを貼るスペースが欲しくなるだろうと思って作ってもらいました。 もっといろんなところに作ればよかったと思ってます。
奥様:
靴を入れるスペースをもっと欲しかったです。上下2カ所作ってもらったんですけど、いつも玄関が靴でいっぱいです。
記者:
他には無いようですね。 では、「無いよ」と伝えておきます。
記者:
では逆に住んでみて特に良かったな~と思うポイントを教えてください。
ご主人:奥様:
ここ(リビング)がイイですね。結局みんないつもここにいるんですよ。区切りをなくしたことで居心地のいいスペースになりました。玄関からドアが無くても大丈夫ってことだったので、必要以上にドアを付けずに開放的なスペースになりました。各々の部屋にこもって過ごすのは嫌なので、あえて子供たちの部屋も大きくしませんでした。
リビング階段を椅子にしたり、机にしたり、こども達をかわしてテレビを見るポイントだったり、色々な用途で役立ってます。 あと、手すりや壁をなくし隙間を開けることで階段があっても部屋が広く感じられます。
ご主人:
あとはウッドデッキですね。リビングからしょっちゅう外に出て座ったり、ここでビールを飲むのが最高です。なので私は寝るとき以外二階で過ごすことがほとんどないです。
【記者感想】
木が割れたり、膨らんだり縮んだりというもの無垢の材料だからこその特徴ですね。
時間とともにいい具合に落ち着くと思われます。
収納についても、打ち合わせでしっかり話し合った結果不満は無いとのことでしたので羨ましい限りです。
電話の上のコルクボードはアイディア賞ですね。結局絶対必要になりますから。
生活することをしっかり考えて要望はもれなく伝えること
記者:
これから家を建てようとしている人へ何かアドバイスや、妥協していい、だめなポイントなどありましたらお願いします。
ご主人:
普段使う部分については、生活することを考えてしっかり話し合うこと、要望はもれなく伝えて家づくりに臨んでほしい。
こういう風に作ってほしい、ここにはこれが欲しいというポイントをはっきり伝える。
大事なことをしっかり伝えることですね。
あと、私の家もそんなに大きくないですけど、そんなに大きな家はいらないということを伝えたい。大きく作っても、もてあますことがあると思います。
記者:
奥さんも掃除大変ですもんね。
奥様:
うちはコンセント一つで全部回れるんですよ。
1階もひとつ、二階も一つですべての部屋が掃除できるのがとても掃除しやすくていいです。
ご主人:
コンセントの高さもポイントで、挿しやすい高さにつけてもらいました。
掃除しやすいように真ん中につけてもらいました。
記者:
掃除の導線がしっかり考えられてますね。
ご主人:
普段の生活の導線をどうするかをしっかり考えましたね。台所から洗面所まで近いところがいいとか、最初物干しを2階にもっていこうとしたんですけど、塩原さんに「1階に洗濯機あるのに2階に物干しがあるなんてめんどくさいから1階のが絶対いいよ」と言われ、その通りと思い導線が長くならないように考え直しました。
記者:
ウチも二階の物干しあまり使ってないですね。そういったこともアドバイスしてもらえるのはうれしいですね。
ご主人:
あと、寝室や子供部屋も広くないですけど、狭い方がいいかなと。狭い方がこもらなくていいんじゃないかと思ってます。
記者:
自分だけの快適空間にならないようにですね。リビングの方が快適みたいな。
奥様:
子ども部屋にも収納を造ってもらったので、あえて家具を置かなくても今の大きさでちょうどいいと思ってます。
ご主人:
何処の家でもそうでしょうけど、収納があることが重要と考えました。
奥様:
子ども部屋も一緒にしなかったのは、後で分けた場合に収納どうしようっていうのがあって。あえて分けてよかったと思ってます。
ご主人:
建て始める前に5~6回打ち合わせをしました。
そこに時間をかけたことで、その時にしっかり話し合い、要望を伝えて、間取りやコンセントの配置、照明なんかにしても、塩原さんからは「ここはこうした方が良い」「ここはこんなにいらない」とかアドバイスをもらったりして。そこら辺の話をじっくり詰めたから、今不自由を感じずに住めているんだと思います。
本当にそこに時間をかけました。
家の間取りは決めても細かいところはお任せになってしまうと、あとから不自由を感じてしまうんじゃないかと思います。
棚やテレビ台なんかにしても、置きたいものや目的に合わせて設計してもらったことで、ちょうど良いものができました。たとえば兜やひな人形など実物の寸法を測ったうえで、それに合うように作ってもらいました。あとからでは難しい要望も、最初に時間を割いて話を聞いてもらったことが大きかったと感じています。
記者:
妥協せず最初に細かいところまで伝えることが重要ということですね。
ご主人:奥様:
分からないことは塩原さんに聞けば、良いようにやってもらえます。
大体こうしておけば大丈夫だよってのを教えてくれました。
神棚やマガジンラック、酒棚、本棚なんてのは、打ち合わせの時に要望を言えばその場でササササッと書いてくれたのが本当にわかりやすく面白かったです。
ご主人:
家建てると決めたのが12月くらい。その後、話し合いを繰り返しイラストなんかで詳細を詰め、実際の図面になりました。
記者:
分かりやすいですね。平面図だけだとイメージしづらいですからね。
聞いた要望をその場で絵にするってのは、ハウスメーカーなどではしないでしょうからね。
ご主人:
(一覧をみながら)こんな感じでどこにどれだけ費用が掛かるのか、その辺も分かるようになってます。
ご主人:
県産材の助成金をもらうために信州の木をたくさんつかってます。
適用させるために本当に色々細かいこともありましたが50万円の補助金をもらえてよかったです。実際に国内の材は高いし建材として優れているかと言えばそうでもないようですが…
【記者感想】
妥協せず、実際の生活を想像しながら要望をもれなく伝えること。これに尽きる訳ですね。
置きたいものや目的に合わせて設計してもらえるのも設計士に依頼するメリット。無駄なく、自分たちにとって本当に暮らしやすい家をつくる事が可能になるということですね。
家は買うものじゃなく建てるものだと思うんです。
記者:
Rebornは、ハウスメーカーのように宣伝広告にお金をかけるわけでもなく、堅実な仕事をしてその評価で広がっていくことがメインになりますが、実際に設計士に依頼して分離発注で家を建てた立場として、他人にそれをおすすめできますか?
ご主人:
私はその方がいいと思います。
皆、言うことですが「家を買う」っていうじゃないですか?でも、家は買うものじゃなく建てるものだと思うんです。買うという発想だと、何処でどういう風に作られてて、誰がどう作っているのか分からないし見えないじゃないですか?
今回は、みなさん喜んで見せてくれるし、それぞれプロ根性があるから「いくらでも見てくれ」というものが見えてきました。
分離発注も、それほど施主の手間が増える訳じゃないし、逆に無駄な費用を抑えられるメリットもある。
実際住んでみて暖かいし、他のお宅で結露したとか寒いとかいう話を聞くと、大きな声じゃ言えないけど「ウチは良かった…」と心の中でつぶやいてます。見学会などで全く関係ない家に行った時、暖房のある部屋は確かに暖かかったけど、トイレに入ったらすごく寒かった。「ウチはトイレもあったかくて良かった…」とまたつぶやきました。
実際、塩原さんも「トイレでもどこでも暖かいよ」と言ってましたが、その通りでした。洗面所とトイレの間にボイラーがあるためだと思いますが、トイレも洗面所も暖房無しでも暖かいです。
記者:
また、しおはらマジック出ましたね。
奥様:
実際(主人は)お風呂が好きじゃないんですよ。(笑)
なんで?って聞くと「寒いからヤダ」って言うんですけど、この家に住んでからは、「ここは暖かいからいいや」って言って入ってます。
記者:
はははヒートショックとかありますもんね
ご主人:
そうそう、そういうのもありますからね。
家がまるごと暖かいですし、どこでどういう風にお金がかかったかも分かるし、誰が作ってるかも分かってるし、大きな会社で建てるよりもこちらの話がスムーズに通じてよかったんじゃないかと思います。ネームバリューとかを気にする人もいるんでしょうけど、ウチはそういうのは考えませんでしたね。
記者:
奥さんも大きな会社=安心感みたいなものはなかったですか?
奥様:
全然なかったですね。なんでだろう?
ご主人:
なかったよね。
結局、CMなんかのお金も含めて、ハウスメーカーに取られるんだろうなと思ってたので…
奥様:
何かもったいないなという感じでした。
モデルハウスに見学に行っても現実的じゃないので、無理だよなーと引いた目で見ちゃいましたね。
ご主人:
モデルハウスはすごいですね。
記者:
お城みたいですよね。
ご主人:
これすごいね、これほしいねと思っても、同じものを建てたらえらいことになるってのを聞くとちょっと…
奥様:
で、実際建てた人の家を見に行っても何か違うな~と思ってしまった。
結局ハウスメーカーの魅力を感じないで塩原さんが建てた友人の家を見たら「ああ!すごい」となりました。
記者:
身近にそういう人間がいたのは大きいですね。
奥様:
外観もかわいらしくて個性的なのが周りにも注目されてるみたいで…気になる存在みたいです。
ご主人:
ウチも結構目立ってるみたいだよ。(うれしそう)
記者:
本当に、いい意味で個性的でかわいいですよね。
ご主人:
しおはらさんの顔には似合わない家ですよね。
記者:
本当ですよね
奥様:
こんな繊細な仕事をするんだみたいな
記者:
本当ですよね。人は見かけによらないですね。
【記者感想】
まさにカタログから家を「買った」のではく、理想の家を「建てた」お施主さんのお言葉ですね。説得力が違います。
何処に価値を見出すのか?自分の家に必要なことは何なのか?といった本来家づくりにおいて当たり前に考えなければならない本質を、ご自身の家づくりの中から感じ取ったというところでしょうか?
今後は是非ともRebornの家の伝道師としてご活躍ください。お願いします。
塩原さんのところじゃなかったら建ててなかった。塩原さんに会えたから家を建てた。
ご主人:
塩原さんのところじゃなかったら建ててなかったです。
塩原さんに会ったから家を建てたというのもあります。
イイよと聞いていても、会って話を聞くまではどこかで半信半疑でしたが
塩原さんに会って話をさせてもらったことで一気にその気になりました。
記者:
情報を仕入れる所がHPだったりチラシしかない場合「本当に大丈夫なの?」と思うところから入ってしまう。その辺を払拭することが重要な問題なんですが、今回のはそのための企画でもあるわけです。
ご協力いただけるのはありがたいので、何とか気持ちを伝えられるようにしなければなと思っています。
ご主人:
希望される方は冬に見学に来てもらったらいいんですよ。
奥様:
散らかってなければ、住んでる家で良ければ是非どうぞ。
ご主人:
冬に来てもらったらわかると思います。
実際こんなに暖かいってのを知ってもらいたい気持ちがあります。
記者:
ありがとうございます。
【記者感想】
最後にすごい言葉をいただきました。
人間がする一生で一番大きな買い物を決断させてしまったんですね。
お施主様も好意で言ってくれてますので、見学ご希望の方は是非どうぞ。
ご連絡ください。