
軽井沢のおとなり、御代田町O邸Q1.0住宅、新築工事です。
9月上旬の建て方・上棟から3か月経ちました。
大工工事がほぼ終了。足場も撤去され、ある種独特の外観がその姿を現しました。

約1年の設計期間でしたが、外観デザインを決めるのに半年以上かかりました。
片流れ、フラット、切妻、軒ゼロ・・・etc.
方位も難しい敷地でしたし、できるだけ立ち木も伐採しない方針で、森の中に佇む黒基調のシンプルな形状に落ち着きました。
建物の形状は凸凹がなく、東西に長い長方形のシンプルなもの。
窓の位置、大きさ、配列にも相当な時間をかけました。
外壁はいつもの宮崎県産・飫肥(おび)杉_無塗装品に、キシラデコール・ジェットブラックを施主DIYプレ塗装。
冬の晴れた日にはご覧のように立木の影が壁に打ちしだされます。
風にゆれる落葉樹の幹の陰が黒壁にゆらゆらと。

東西は軒ゼロとして、塗装の劣化ムラをできるだけ均一にしようという試みです。
2階の天井高さを低く抑え、できるだけノッポな印象にしないよう努めました。

玄関は北面に。
持出しひさしを1m程出して極力シンプルに。
主な出入り口は南のデッキテラスからという考えです。

壁の端っこにコーナー窓や、妻壁の頂部に台形FIXを配するなど、少し外観にアクセントを加えています。
巨大FIX窓はミラーガラスではありません。森の中の家ということがお分かりいただけるだろうか。

一瞬心霊写真かとドキッとしましたが、電力メーターBOXです。
それにしても昨今は外壁が板張りの家が多くなりました。
私の建築人生はログハウスから始まっておりますのでなんの抵抗もないのですが、こういう環境で窯業系サイディングはありえないってもんでしょう。
問題はキツツキによる穴明け問題ですが、今のところ被害は受けていません。

それにしてもやっぱり軽井沢エリアは寒い。
長野市内より5℃ほどは外気温が低く、このエリアへの移住者や2拠点生活希望者はUa=0.3以下の高断熱住宅が必須です。
このお宅もそうですが、日射条件のいいエリアで、冬は落葉するようでしたらぜひ南には高性能なガラス入りの大開口を設けてパッシブな開口部設計がよいと思います。
日中のベース暖房は温水パネルヒーターで、陽が沈んだらすかさず薪ストーブを着火。
大開口窓はやはり熱が逃げますので、その分を薪エネルギーで補うのがよかろうと思います。
立ち木を伐らないのであれば太陽光発電パネルは発電効率が著しく落ちますので、太陽光パネルの代わりに自然エネルギーを利用する薪ストーブを、ね。

家の中にはさんさんと陽が入って、大空間のリビングはやはりUa=0.25程度にしておきたい。
切妻屋根の頂部は薄暗くなりがちなので、やはり天井は白い仕上げで、小さくてもいいのでFIX窓がやっぱり
効果的。
夏は軽井沢とはいえけっこう暑いので、冷房設備はやっぱり必須。
この家ではHR-Cという冷水輻射式のパネルラジエーター(暖房運転ももちろんできます)が採用されています。

2階の個室もあえて吹抜け空間とつないじゃって、場合によってはFIXガラスやカーテン・ロールスクリーンなんかで仕切るのもよいのではないだろうか。

なんか面白い空間が出来上がったものです。
これからいよいよ施主DIYしっくい左官が始まります。
室内とはいえ冬の室内は極寒ですから、仮設エアコン設置完了。これで準備は整いました。

