
福島県と聞くと雪深い寒冷地だと思ってませんか?
いわき市は太平洋側なので、この日の外気温は15℃。
さすがハワイアン施設があるだけあって、本当の寒冷地で暮らす人にとっては、まるで春のよう。
2011.3月の震災時に震度6強を2回くらい、翌2012年、建物に損傷がないかどうか点検に伺った以来ですから12年ぶり。
そう、前職工務店のログハウスメーカーで建てたポスト&ビーム工法の住宅です。
どうすか、このログすじかい!
すじかい金物と呼ばれる専用の金物がとりついていないので、実は構造計算に耐力壁として算入できないんですが、
巨大地震の際はヒジョーに突っ張ったんではないでしょうか。
屋内吹抜け部の石膏ボードは多少ずれた傷跡がのこっています。
やはり吹抜けは構造の弱点になるのだな、そうだな、やっぱり。
築25年点検ということは、お互いの関係性も25年以上経っているわけで、ほんとうに人生はあっという間にすぎてゆくものでありますなぁ。
先祖代々続くこの土地はある意味、山肌に建っています。
地形的に谷筋を埋めたところにあって土砂災害の危険性があるわけですが、一方自然に水が集まってくるところでもあるわけで、公共水道を引かず、自然水をろ過して生活用水としています。
サルも降りてくるようで、ワナが仕掛けられていました。
山間部は動物との知恵比べ。毎日が闘いです。
暖房は必然といえば必然ですが薪ストーブ。
ゆえにいたるところに薪が積まれ乾かしています。
ん?
パワ―コンディショナー?
ということは太陽光発電もある?
建ててすぐに載せたというからかなり黎明期のソーラーパネル。シャープ製でした。
屋根は当時まだアスベストが入っているコロニアル(薄型スレート)。割れ欠けも多くありません。
これだけ載っているのに3KW前後だとか。昔はパネル一枚あたりの発電量が少なかったんですよ。
いまではパネル1枚で400Wくらい発電するものもありますが、当時は100Wちょっとだったんではないでしょうか。
いただけないのは小屋裏で散見される漏水跡。
屋根材を貫通する形で架台がビス固定されているので、防水シートに穴があき、ジワリ、あるいはポタポタと雨水もれがありました。

ログハウスの最大恐怖の弱点は丸太の腐れです。
パッと見分からなくても腐っているところがあり、打診棒でいたるところをたたいて感触で発見します。
腐っている木部には腐朽菌がいるので、ひとまずは削り取ることが肝要です。
そのうえで防腐剤が入った塗料を塗るとか、ホウ酸塩で消毒する、という処置をする方法がとられます。
あまりにも腐朽がひどい場合は、大胆にカットしたり、時に柱や土台を入れ替えることもあります。
早期発見がまずは大切なことになるわけですが、なかなか一般の方は発見できないだろーなー。
ここも見た目は白い菌類がみえるので発見しやすそうではあるけれど、触れないところは気づけない。
もう根本からカットしたほうがいいかもしれないレベルになってしまってました。

いっぽう家の中はとても健全で、やはり建物は外部から、特に屋根の状態が非常に大事です。
「屋根が良ければなんとかなる」
最近インスペクションをしていて感じていることです。
できるだけ屋根はシンプルな形状が望ましいわけで、屋根材のうえからビスでグゥーとビスをもむなんてもてのほかですぞ。
腰壁の石タイルをけっこう立ち上げて、そのうえはヒバを張った浴室。
25年経ってもかなりいい状態でした。
私の自宅もレッドシーダーを張っていますが、換気扇の吸込み口付近はしばしばカビ取り剤を塗布していますが、その他の部位は誠にきれいな状態を保っています。
施主のKさんはログハウスオーナーのお手本のような方で、この家も骨組み・屋根下地のあとをすべてDIYで自力で大工工事を完結させました。
ピザ窯ももちろん自家製。とにかく自分で何事もトライして、自分でできないところだけプロを呼んでどんどん前にすすめちゃう。
ひとりの男の、いや人間がもつパワーが、いかに大きなものであるのかを感じます。
それはそうと、もうそろそろ長野駅前・殺傷事件の犯人をつかまえてもらわねば。
あ、いかん。
「私が捕まえる」と言わねばならないのだな。