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イメージやアイデアを形にするお仕事、ってか、もはや趣味。

2024.06.29|住まいの点検・メンテナンス
塩原真貴

OB宅20年点検@伊那市-

相変わらずの雨男っぷりの日曜日の朝。

しずしずと降る時雨。

標高900mちょっと肌寒い。

Hさん夫婦とは7年ぶりの再会で、登山話に花が咲きました^^

当時勤めていた長野ログハウス建築設計という会社の、およそ金字塔ともいえるH邸は、

「やってんなぁ~(ニヤリ)」

と思わせる小細工アイテムがあちらこちらに散りばめられた、暮らすほどに、時間が経つごとに味わいが増す高断熱・高気密ログハウスなのです。(Ua=0.42あたりだと思います)

玄関ドアはガデリウス社のスウェーデンドア(通称スウェドア)で、チーク材はローズウッドのような変色で、銅板のキックガードは十円玉のような色に変色して誠に美しいではないか。

アクセントにカルチャードブリック(セラミック製の擬レンガ)は当時の流行で、ログハウスといえばレンガや石でデコるのが一般的。

現代でも流行ってるアイアン製のポーチライトがデかっ! 黄色いガラスがアクセントになってますねぇ~(‘ω’)ノ

広いプライベートガーデンも丁寧にきれいに整備され、20年の時をHさんはどんな風に過ごしてきたのか想像できました。

植物と共にいきている、植物に囲まれて生活するとなぜ人間は落ち着きを覚えるのでしょうか。

こういう環境で生活してる人って、コンクリートジャングルの中でセカセカ暮らしている人とは圧倒的に価値観が異なるのだろうな。

普段は私も「建物のまわりに植物を近づけないで!シロアリくるから!」などと吹聴して回ってるんですが、もうそう言うのはやめようかとも思う。自分の意思で、自分の感性で生きるのがやっぱ一番いいよね♪

リビングの上は圧巻。先日の戸隠神社奥社への参道を思い起こさせる丸太の存在感!

当時私は30歳前後で、イケイケの現場監督として、社内建築士の書いた実施図面を様々にアレンジ。

工事中のここでHさん夫婦と膝を突き合わして深夜まで打ち合わせを重ねたっけ。

例えばトイレにペンダントライトをただつけるのはツマラナイということでどっかから変木を拾ってきて、皮をむいて空中梁を飛ばしてみたり、

洗面に飛び出したその変木の木口にまたブラケットライトをつけてみたり。

こんなん図面に絶対出てこないからね。ほとんどが現場アイデア。思い付き。

なんでも木でつくったもんです。

なんかさー、ちょっとごちゃごちゃっとしてるのがまたイイんだよねー( ^)o(^ )

ケヤキのブ厚い天板に、陶器の洗面器。

伊吹物産社(「伊吹エッセンス」で検索したところまだあるではないか!)真鍮製の水栓金具で、どうやってももうポタ漏れがあるそう。だからといって交換するんじゃなくて、バケツを置いてそのポタポタ水滴も花に水やるとか楽しんじゃってるからね、このお宅(笑)

玄関先には埋め込みニッチというんですか?

縦長の飾り棚+しっくいアール左官巻き込みでデコレーション。

仕込まれた間接照明は「ランプが爆発しちゃって、そのまま。まあ、そのままでいいっす」とのこと。

その下には当時の塩原ブームアイテムの一環品で、現場の端材を利用した雑貨ラックが。

最近でこそあまり現場工作はしなくなったけど、当時私は1日奉公で、なにかお客が喜びそうなことを企み、勝手に押し付けるルーチンがありましたのだよ。

ああ、これもどっかから拾ってきたものだぞ、たしか。アーチ状丸太をつかった垂れ壁。

別に意味はないんだけど室内空間のアクセント。

リビングの続きに小上がりの畳コーナーがありまして、丸窓(その向こうは普通の引き違い窓)や曲線袖壁をもつ床の間、そしてよく見ると竹棒をつかった自在鉤。古民家の囲炉裏にあるやつね。

これらも現場でのアレンジ、というか奥さんの思い付きを形にする係であったわけです。

階段も丸太から切り出して、踏板や手すりの細い丸太も1パーツごと手作り。

この階段のヒナ段式側板、現場に納品するとき4,5人いたはず。重かったな~

いやはや、途方もなく手仕事づくしですなぁ。よくやってたわほんと。

吹抜けの手すりもオリジナル発案で初製作だったもの。

細い丸太を二つに割るのめちゃくちゃめんどくさそ~。

よくログ加工チームもわがままを聞いてくれて加工してくれたな、ほんと。

あれからお互い20年という時間が経ったワケだけど、子供たちも大きくなって手が離れ、趣味や好きなことがやれる時間が持てて、あの頃の思い出話に花が咲き、点検しに行ったというよりはほぼ雑談しに行ったって感じに。

こういうひと時がたまらなく嬉しくありがたく。

注文住宅の設計や現場管理を一人でやりたくなっちゃう原因がこのあたりにありそう。

こういうアイデアスケッチが毎回打ち合わせの冒頭で奥さんの懐からでてくる。

それにご主人(私の1歳年下)と私が肉付けし、時には「やっぱむりだわ~、これは。」などと。

Hさんご主人は、この家づくりののち、3Dプリンターを駆使した「アイデアを素早くカタチにする製品設計会社」の社長となり、変態的にご活躍です。

 

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