築60年程になる木造住宅をインスぺクションしてきました。
横文字なので、何となくかっこいい仕事のように受け止められがちですが、 地味で泥臭く、時にはかび臭い、とても根気のいる仕事です^^
現在の家主はこの家の3代目。
代々続いている一家としての歴史を感じさせ、いつも上手に片付けがなされ、丁寧な暮らしぶりが印象的なFさま邸です。
聞けば家族全員がA型なんだとか。
この実家から離れ、千葉県でずっと暮らしていたFさんご家族。
10年前、60歳になる直前に(千葉県で)ご主人が脳梗塞を発症。
定年退職後は、地元松本に戻りたいと考えていた矢先の出来事だったそうです。
この家には、老いた母親が一人で暮らしていたこともあり、発病を機に思い切って退職。
ご一家そろって松本に移住されたそうです。
お母様とは一緒にここで暮らすことができましたが、半年間の同居が叶ったものの、残念ながら他界。
ここで暮らすことになって約10年になる現在は、ご夫婦と次女の3人で暮らしています。
ご主人は昨年脳出血も発症。さらに糖尿病で人工透析も。
要介護5で、歩行器・車イスでの移動はできるものの、施設やデイサービスの利用をしながら、主に奥様が介護しながらの生活を続けています。
松本を中心に、けっこう大きな地震が5年前にありました。
3年前に市で行っている耐震診断を受け、その時の評点は0.25.
心配で心配でたまらない日々ではあったものの、介護のこともあり、水回りやバリアフリーなどのリフォームは繰り返してきたものの、 耐震や断熱といった、核心的なリフォームを見送り続けてきたそうです。
現在の住まいは無断熱で冬は非常につらく、 「田舎って寒いもんでしょ」と割り切って千葉から移り住んできたものの、 これから先の数十年、いつ来てもおかしくない牛伏寺断層地震におびえ、寒さに震えて生活することは耐えがたい。
そんな思いと共に、 「ここが一番好きな場所」、と、精神的にも、物理的にも、温熱的にも言えるような、 そんな住まいにしたい、そんな想いが積もって、リボーンにご連絡を承りました。
お風呂は数年前にリフォームして、とてもきれいで十分使用に耐えるように見えますが、リフォーム前よりも寒く、浴槽に貯めたお湯はあっという間に冷めてしまうとのこと。
誰かが入浴するたびに追い焚きボタンを押し、浴槽のお湯を沸かすそうです。
この先数十年も寒いお風呂に入りたくもないし、お風呂で重大な発病(心筋梗塞や脳梗塞など)が起こるリスクが高いこともご存じなのでしょう。
「最近リフォームしたばかり。でも新しいからといって、未練はない。暖かいお風呂、安全なお風呂を望んでいます」
そうきっぱりおっしゃった奥さんの決意をしっかり受け止めました。
この後、浴室の下をのぞき込むことになったのですが、床はやはり無断熱。
浴槽下や、洗い場の床は地面の上にあるも同然。
サッシも大きく、シングルガラス。せめて内窓付けてあげればよかったのに~( ゚Д゚)
はいはい、分かってる分かってる。 この姿が見たいんでしょ?(笑)
最近はちょっと進化して、膝アテを付けるようにしていますよ。
これは床下調査の必需品になりつつあります。
肘アテもあると匍匐前進はやりやすくなるとは思いますが、ちょっと動きにしなやかさがなくなるね。
いざ床下へ!
今回は思いのほか有効高さがあってびっくりしました。廻りの地面よりも、家の真下の方が地盤が低いのです。
そういうつくりだと、本来は雨水が溜まり湿気やすく危険なのですが、時期もあるのでしょうか、湿気た感じはあまりありません。
しかしながら土台や大引き、根太といった床を構成する部材はそれなりに60年すると傷んでいるところも散見され、 床を支える床束(ゆかつか)もおぼつかない感じではあります。
シロアリの被害は確認できませんでしたが、過去に駆除をした痕跡や、柱の根っこや土台の一部腐っている場所もあり、 耐震改修と同時にそうした劣化部位の取り換えの必要性があります。
そしてなんといっても、基礎がコンクリート造ではなく、ブロック積みだということ。
さらにブロック造の基礎と上部構造=つまり木造の骨組みが、ボルトなどで緊結されておらず、いわばポンとおいてあるだけなのです。
これには正直たまげました(@_@)
このつくりでもあの5年前の震度5強に耐えたのかっ!?(ソッチカイ)
現在はブロック造での住宅基礎は建築基準法で認めておらず、 そういう見方をしてしまうと、これだけで「危険な建物」となってしまいます。
今後、周期の長い横揺れの地震が来た時のことを想像すると、地震発生後すぐに倒壊する恐れがあり、避難する時間が確保できない恐れが多分にあります。
屋根裏の様子。
屋根は何年か前に野地板共に葺き替えたようですね。
こうしてみると、木造軸組み工法の家の作り方って、60年前と今とで全然変わってない・・・汗
いい意味で受け止めれば、合理性を探求した結果、洗練され尽くした工法であるともいえるが、 悪い意味で言えば、全然進歩できていない・・・。
まぁ、木そのものだけでつくる工法ですからそう変えられないんでしょうね。
木の姿・形は全く変わっていないでしょうから・・・。
踏み抜くといけませんので接近できませんでしたが、中央部にはオンベとかゴヘイと呼ぶお札がそっと取りついている様子が伺えました。
そこにはきっと、この家がいつ上棟したのか、そして棟梁の名前が記入されているはずです。
さて、 その棟梁の大工魂を引き継いで、かつ今の生活者のご希望・ご要望に沿って、再びこの家を蘇らせることが果たしてできるのか?
リボーンは造語ですが、Re(再び) Born(生まれる)の意です。
2016.11.12 Reborn 塩原(毒度1)
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