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耐震と防寒

2016.11.29|間取り・設計・デザイン
塩原真貴

さぁさ! 今年もあと1か月でっせ、おとっつあん! さびぃな~ あせるよな~ 眠いな~ ・・・そんな日々が続いております

ガラス屋根を待つ、上田市Kさま邸。ちょっと覗いてまいりました^^  

玄関ポーチの軒裏はカラマツの無垢板。

今時の玄関ドアは高さが2.3mあるって知ってました? なんと大きいことか!

そんな玄関ドアの高さとそろえてカラマツちゃんが貼られております。

洋風のかわゆいデザインであるK様邸はまっチャンが良く似合います(#^^#)

なぜでしょうか?

軒裏を板張りにすると、ぐぐぐっとかっこいい木の家に大変身(‘ω’)ノ

そういえば、先週は雪が降りましたね。

長野市北部の三才(そう、あの三才になったら記念撮影をする三才駅の近所)では、瓦やさんが、屋根に積もった雪を懸命に除雪をしていました。

寒風吹き荒れる中、大汗をかきながら、雪かき→ほうきでシュッシュッ→瓦桟取り付け→瓦材の荷揚げをしていました。

頭が下がります。

辺りはリンゴ畑だらけ。

フジリンゴの甘い香りがプンプンと漂い、これぞリンゴの家!って感じです。

ブドウの家に対してリンゴの家。どういう意味だか分かりますか?

家の中はまだ昼間なのに真っ暗(´・ω・`)

それもそのはず、 屋根の下地を終えた大工さんは、筋交いや金物を柱や梁に取り付けた後、 構造用面材と呼ばれるボードを家の外周にぐるりと貼り付け終えたところでした。

窓が取りつく場所はあとでくりぬく手順をとったようです。 寒風を防ぎ(防寒)、構造をいち早く安定させるウラワザです(笑)

ホールダウン金物がとりついた通し柱の下端。

基礎からぶっといボルトを出しておき、専用の金物を使って柱に添えて取り付けます。

これはどんな役割があるのでしょうか?

巨大地震がくると、木造の家は横方向に揺れます。それに呼応して建物が「しなり」ます。

そうあの鉛筆をフニャりと揺らすが如くです。

そうすると、こういった建物角の柱が、抜けようとするんです、ものすごい力で。

この柱が土台から抜けて、再び土台の上に着地できれば事なきを得るのですが、元の場所に着地できなければ・・・( ;∀;)

家全体が傾くどころではなく、場合によっては倒壊、全壊、ぺっしゃんこ<(_ _)>

できるだけ揺れないようにするために、筋交いやご覧のような耐力面材を壁にまず張ります。

このお宅では大建工業のダイライトMSを採用。

超有名建材ですが、

・燃えない

・シロアリが食べない

・壁の中の湿気をけっこう通す

・メジャーで流通量も多いためコスト優位性がある

・寸法が安定している

そんな特徴があります。

デメリットは角や端は割れやすいということ。木でできているのではなく、どちらかというとタイルに近い建材です。 

このダイライトに限らず、耐力面材には各メーカーから発売されています。

そしてその施工方法も各社ビミョーに異なります。

釘の長さやピッチ。継ぎ目の隙間の開け方・寸法etc.

施工要領通りに止めつけてあるのかを確認してゆきます。

前述でも触れましたが、木造の家はクネクネ揺れるところに大きな魅力があります。

木の”しなる”という特徴、そして鉄の”曲がる”という特徴を活かすところに、木造住宅のすごさが潜んでいるのです。

最近は制振ダンパーとか、防振ゴムなどが開発され、木造住宅でも取り入れられることがありますが、そもそも木造軸組み工法の家は全身が制振ダンパーのようなのです。 

今後、こう地震が多く発生する時代になってきたわけですから、耐震等級3はマストになってゆくと思われます。

建築基準法で定められている基準の1.5倍が等級3になるわけですが、間取り検討の時からすでに意識していないと等級3はなかなか難しいと感じています。

地震に強い、とにかく安心を得たい建物とするのであれば、プラン検討に入る前に、必ず設計者、あるいは営業担当者に「耐震等級を3にしてください」と伝えてください。

間取りの検討が進んで、ほぼほぼになった頃に言われてもけっこう困ります。

かといっていちいち間取りの検討・打ち合わせをする際に、構造計算のパソコンをその場に持ち込んでチェックしながら、なんて気の遠くなるような時間が必要。

間取りの検討は、注文住宅の核となる、お客さんが最も期待するところだけに、「コーゾー、コーゾー」だけで却下を繰り返すような打ち合わせを誰も望んではいません。

やはりそこは、ある程度構造設計に精通し、かつデザインや使い勝手にも理解があり、「このくらいは大丈夫そうだ」というモノサシをもった建築士に委ねるしかないのではないか。 

最近は、テレビでも木造住宅の構造について、一般の人に解説をするような番組もあるようです。

来週建て方を迎えるKさんから 「我が家の柱の直下率(ちょっかりつ)は何%なんですか?」 というご質問をいただきました。

さらに「壁の直下率は?」、「耐力壁の直下率は?」 という質問を受けると、 「ついにこーゆー時代がきたぞ!」 と塩原は、ただでさえでかい鼻の孔を、さらに大きくして歓喜するのです(・ω・)ノ

「あ、そこの柱はとっちゃだめです」なんて打ち合わせの時は言ってますが、まさに直下率を意識した判断なんですね、実は。

打合せ時は、経験に基づいて瞬間的にそのあたりを判断しているわけですが、 建築って、多分に感覚的なところがあり、

「あ、なんかこの壁ないと不安定っぽいな」

「見るからになんかバランス悪い恰好だ」

そうしたバランス感覚みたいなものがすごく重要だと思っています。

だから小さいころから積み木やジェンガで遊ぶのは、建築士を目指す人には必須です(笑)

パッと見て、安定しているか不安定か、そうした判断をする能力、さらに1、2階の平面図と立面図だけで3Dの構造が頭の中でイメージできる能力が必要なのかもしれません。

けっこうエスパーに感じるかもしれませんが、毎日毎日設計をしていると、そんなふうになれちゃうから人間って不思議。

実務的にはコンピューターに頼って計算をしてもらい、判定をしてもらいます。最終的には数字がもっとも頼りになるからです。

リボーン、オリジナル防寒着を作りました。

モデルは私ではありませんがなにか?(笑)

「耐震と断熱」

これまではそういうキャッチコピーでやってきた「りぼーん」ですが、今後は、 「耐震と防寒」 に改めてゆきたいと思います。

「ブドウの家ではなくリンゴの家」、のヒントはこのあたりに隠れています。

りぼーんの防寒着、欲しい人がいたら、お申し出ください。 有料ですが優良です(笑) オヤジ~(‘◇’)ゞ

2017.11.29 りぼーんしおはら (毒度3)  

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