断熱リフォームの可能性Session7

お金があるならそっくりさん。納得するなら断熱職人。

断熱改修工事はたやすい工事ではありません。中身の見えない床下や壁の中、いざ解体してみないと分らない要素も多分に含みながらの工事スタートになります。住みながらに工事をすることが多いので、改修工事をするゾーン分けをして、 家具などを移動しながら順番に工事を行います。工事をする職人と、そこに暮らしている建築主のコミュニケーションや工程の管理、ほこりや騒音への配慮、ジャストタイミングでの資材搬入など、現場の運営はかなりの経験者でないと無理でしょう。
「新築はもうからないが、リフォームはもうかる」そん な同業者の声を聞くことがあります。 リフォーム工事の見積もりはそれなりに安全率を見ておかないと、何が起こるかわからない。ハウスメーカーや工務店側はお客さんにわからないように、見積書は一式工事の項目ばかりです。使用する部材や手間賃が、明細化され、設計費や現場管理費などがきちんと盛り込まれていることを確認してください。
建築主側からも、根拠のない値引き要請は控えるべきです。営業マンは、打ち合わせ前に、「00万円までは値引きできるが、それ以下ではだめ。なんとか粘って今日ハンコつかせてこい!」と上司に言われてあなたの元にやってくるでしょう。ビフォーアフターというTV番組の影響もあるかもしれません。見た目が劇的に変わるのをあなたは期待します。
契約を急ぐ営業マンが目の前にいます。そしてつい、「あと100万なんとかなりませんかねぇ?」なんてロに出したくなります。職人さんにも生活があります。家族がいます。あなたの根拠のない値引き要請は最終的に下請とよばれる職人さんにしわ寄せがいきます。断熱職人が行う断熱改修工事は、見栄えを良くするためだけのリフォームではありません。こ家族のライフスタイルや現状の建物についての不満点をますはお聞きします。その上で、床下や天井裏などに潜っての現状把握、 一部外壁を剥がしたり、既存建物の耐久性を判定したり、場合によっては地盤調査などを行います。それもみな着工後に「こんなはすじゃなかった」ということが起きないようにするためです。

リフォームではなく「改修」。プロセスにこだわりがあります。

綿密な調査後、既存の建物の問題点を洗い出し、地震にどのくらい耐えられるか、断熱工事をどんなふうにできるか、何を優先して工事すべきかをプロとして提案します。せっかく建物に触ることができるのですから、必要最低限の耐震改修は行うべきですし、見栄えを良くするだけのリフォーム工事であればだれでもできるだろう、というのが私の基本的スタンスです。

私が考える優先順位と、お客様が求める優先順位とかならずしも一致しません。ですから最初の見積書は「改修メニュー」という表題としています。そのメニューにはもちろんお客様が要望するキッチンやお風呂などの入れ替え工事も含まれています。この段階ではあくまでも経験値による概算でしか金額をお伝えしておりません。
この数あるメニューの中から、ご家族全員と顔を合わせながら、丁寧に説明を行います。新築のように工法に自由度がありませんし、耐震上取ってしまってはダメな壁や柱もたくさんあるのです。こうして優先順位を決定してゆきます。お金や時間の上限がある以上、ハンバーグとラーメンとカレーを一度に一気に食べることはできません。
そうしてだんだん改修工事の内容がはっきりしてきます。どういう手順で、どのくらいの時間がかかり、どの部分の工事にいくらぐらいかかっているのかをお施主様こ自身が把握できるようになります。
まさにこれが納得の断熱改修工事の大事なプロセスになります。

 

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