暮らしのことば

断熱・耐震リフォーム 埼玉県川越市 その①

埼玉県川越市|安井様|2015年
リノベーション・リフォーム

奥様:「見た目だけ良くしても生活の質を上げないと意味がないと思います。」記者:「まだまとめないでください。(笑)」

奥様:
住んでみて感じる事なんだけど、外気に影響されないからなのか、部屋が一旦暖まってしまうと夜に外気がひんやりしてもなかなか冷めない気がします。特に2階の部屋は結構暑くなって夕方に窓を開けてもなかなか温度が下がらない。朝方の冷気でも壁の中まで温度がなかなか下がらないです。その辺がどうなのかと思っています。

ご主人:
断熱は時間差で外の温度が伝わってくるから暑くなりにくいけど、冷めにくいということだよね。

塩原:
断熱とはそういうものですね。冬は逆に温まったのが外に逃げないのでずっと暖かいですよ。夏の昼間は窓を開けないように。熱を入れないようにしてください。

奥様:
ある程度出入りするのはしょうがないですよね。
でも、エアコンは常にエコ操作で30℃くらいの設定で十分涼しいです。今も29℃設定で快適ですね。(当日の川越は梅雨明け直後の真夏日(35℃)でした。)

ご主人:
何度か地震もあったけど、確かにゆれが少なくなった感じはするよ。
前に比べるとそんなにゆれを感じない。

記者:
躯体にも手を入れてるんですか?

ご主人:
リビングを広くするに当たりいくつか柱を抜いたりしたので、梁を入れたりしたね。

奥様:
リボーンさんとしては断熱と耐震の改修を目標としてたみたいですが、私の希望としては当初は一般的なリフォームでした。でもやっぱり断熱と耐震は確かにやってよかったと思います。
それをやらないとリフォームの意味もないと思うし、見た目だけ良くしても生活の質を上げないと意味がないと思います。

記者:
奥さんすみません。
徐々にお話伺いますんで、まだまとめないでください。(一同爆笑)

【記者感想】
奥さんのトークパワーに圧倒されてしまい、5回目の取材にして超短縮版になってしまうところでした。
最後に何とかペースを取り戻すことができていよいよインタビュー開始です。
とはいえすでにまとめの言葉いただいておりますが...
高断熱の住宅はその性質上外気温の影響を受けにくいのが特徴です。引き渡し後二カ月が経過し初めての夏を迎えたこのタイミングで今までとちがう室温の変化に戸惑っている様子でしたが、早く高断熱住宅特有の室温コントロールに慣れていただきたいと思います。

川越の自宅から200㎞離れた長野のRebornにリフォームを依頼した理由

記者:
今回のリフォームでは、一階をバリアフリー、水周りの設備交換、断熱改修、耐震改修を行い、一階、二階ともに窓はすべて断熱サッシに交換。あと、外壁は断熱工事をされたということですが、なぜ200km離れた業者のRebornにリフォームを依頼されることになったんですか?地元や他の業者は検討しなかったんですか?
また、塩原設計士とはいつからの付き合いですか?

奥様:
13年前に長野県の信濃町に別荘を建てました。そこの現場監督をしたのが塩原さんで、それ以来の付き合いです。
私たちがここ(自宅)を建てた30~40年前は、家づくりに施主の意見が入る余地はあまりなくて、大工さんが考えた図面どおりに家が建っていく感じだったのが、別荘を建てたときは自分たちの意見や要望をかなり入れてもらえたので、とても満足しました。そんな経緯があったので今回も塩原さんにお願いしました。
他の業者は検討しませんでしたね。

記者:
別荘を建てた時とは会社も立場も違いますけど。

奥様:
塩原さんから送られてきたニュースレターで以前の会社がなくなったこと、個人事務所を立ち上げ現在のRebornに落ち着いた経緯が説明されていました。
今の状態とこれまでの仕事を継続してやっていく意思表示がしっかりされていたので安心してお任せできました。
本人が今までのお客さんへの連絡を怠らなかったのが、今の仕事にも繋がっているということだと思いますよ。

記者:
塩原設計士と出会ったのが十数年前ということですが、当時の印象は?

奥様:
良い青年でしたよ。
仕事に生きがいをもって楽しんでる、仕事一筋の生活を送ってる感じでしたね。
なんていうのかな、仕事に迷いなし、仕事にまい進、仕事が楽しい感じが周りの仲間も含めて伝わってきました。
それでいて誠意のある対応だったので人に信用される人だと思います。
打ち合わせしていても、こちらの話はちゃんと聞いてくれて的確に対応してくれました。

記者:
他のお客様も「良いことは良い、悪いことは悪い」とはっきり言ってくれると言いますね。

奥様:
別荘のベランダを広げたいという話になっても「ここまでは無理」「これが限界」とダメなものははっきりダメといってくれるので良かったです。
でも植木を切りたくないと言ったらその部分だけよけてくれたり柔軟な対応もしてもらえました。
そんなことで、冬は別荘の雪下ろしを楽しんでますよ。(笑)

ご主人:
雪下ろしといえば、別荘の屋根から雪庇が落ちてベランダが壊れてしまったので新しく雪割をつけてもらってね。

奥様:
最初に雪割が可能な屋根の形と判断していたのがうまく働かなくてベランダ破損してしまったのを、自分のミスとして認めて新たな雪割を設置する費用を折半でどうですかと言ってくれました。全面的にお客様の言う通りでなくて、ミスを認めつつより良い解決方法を費用も含めて提案してくれるのがありがたかったです。

ご主人:
はっきり提案することは提案してくれるからね。
他の家の雪割は載せただけのものが多いけど、うちのは屋根を切って室内の暖かい空気を抜いて溶かす形のものを提案してくれた。あの雪割つけてからちゃんと雪が落ちるね。
他にも電熱線を仕込んだりするものもあったんだけど、費用面のことも考えて提案してくれたよ。

【記者感想】
13年前の塩原設計士の姿を見ることができました。当然若くそして痩せていますね。
それにしても200㎞の距離を問題にしないほどの信頼を得るというのはどういうことなんでしょうか?
インターネットの仕事ではありません。設計士が打ち合わせをし現場監督や職人が毎日のようにやってくる実際に人間が動くリフォームの現場です。
今更ながらニュースレターの存在の大きさ、印刷物の力、そして信頼される仕事というものについて考えさせられました。

老後を安心して快適に暮らすために。最初は興味が無かった断熱・耐震リフォームを決断!

記者:
今回のリフォームの経緯は?なぜリフォームを?

奥様:
リフォームのきっかけは、老後を自立して生きられるように。あと10年を考えたときに快適な環境がほしいというのがありました。
最初は雨風しのげて住めればいいくらいの気持ちでリフォームする気は無かったんですよ。でも、詐欺で大金をなくすような事件なんかを見て、今手元にあるまとまったお金を老後の事も考えてどうやって使おうか?一番良い使い方は何かを考えました。
その結果、歳をとって気力体力がなくなってきた時に、冬は寒く夏は暑くてうるさい住みづらい家を少しでも居心地の良い環境にしたい、リフォームしてもいいかなと思うようになり塩原さんに相談しました。
最初は断熱や耐震は頭になかったんですけど「とにかく老後の10年を快適に過ごしたい」と塩原さんに相談をしたときに「冬寒くて、夏暑いのを解消するための断熱」や「耐震」の話があって、それに生活する中での要望を伝えて何とかこの形にもっていきました。
金額的にはヒーヒー言いましたけどね。

記者:
では、予算として考えていた金額よりはオーバーしてしまったと?

奥様:
最初に伝えた予算を元に塩原さんが作ってきたプランが気に入らなくて私の要望をすべて伝えて打ち合わせをしていったら「それでは厳しいです…」となって最終的には当初の金額を百万円以上を超えましたね。あと、仮住まいの費用も家賃が2か月分、それに敷金礼金手数料、保険料なんかをあわせて40万円くらいかかりました。

ご主人:
隣の空き家に住めたから良かったね。離れてたら大変だったよ。

【記者感想】
老後を自立して生きる。頼もしい言葉です。
歳をとって弱ってきたときのために今のうちに快適な生活環境を整備する。とても有効なお金の使い方だと思いますが、そのためには小さな家が新築できるくらいのお金がかかってしまうことも現実として受け止めなければいけません。古い家に住む高齢者のだれもが実行できるものではないでしょう。
猛暑日には我慢強いお年寄りが熱中症で死亡してしまうニュースなども多く聞かれます。断熱リフォームがもう少し身近なものになれば、そういった不幸な出来事が減らせるかもしれませんね。

記者:
工事期間中、職人さんたちがこの家に寝泊まりしていたと聞きましたが。

ご主人:
面白いよね。職人さんが二階に泊まってね。

奥様:
職人さんたちは風呂も水道もないトイレしかない家だったから大変だったね。お風呂は近くのスーパー銭湯に通ってもらって、3部屋あるから一人一部屋ずつ泊まってもらってね。

ご主人:
サッシは全部交換だったから窓なしで過ごしたりして「おい、俺の部屋早く窓つけてくれ」なんて言ってね。(笑)

奥様:
工事の期間中は天候が見方してくれて寝られないような事にはならなかったみたいです。

記者:
結局どのくらいの期間職人さんたちは泊まってたんですか?

奥様:
大工さんが一ヶ月くらい、後はいろんな職人さんが入れ替わりで泊まってたので全部で二ヶ月くらいですね。
入れ替わりの時はやっぱりシーツは交換しなくちゃいけないから、そのたびに全部洗って用意したりして。簡易旅館のおかみさんみたいでしたよ。(笑)

塩原:
職人さんたちもお施主さんの家に泊まるなんてあまり経験ないと思いますよ。

奥様:
でも、大工さん職人さんたちも家から離れて自分の職場に寝泊りするのはきつかったでしょうね。
夜中に起きてもトイレしかないし、暑くても水浴びもできないし、冷蔵庫につめたいものもないし大変だったでしょうね。
仕事中は朝昼晩食事や飲み物を用意しましたけど、生活面では大変だったと思います。
よく頑張ってくれましたね。

塩原:
現場監督のクボタさんは「こんな最高の環境ない、何ヶ月でもいたい」と言ってましたよ。(一同爆笑)

ご主人:
違法駐車させるわけにいかないから駐車場も5台分借りたね。

奥様:
私たちは人間が古いから、いまの人達みたいにすべてお任せ、問題があったらそちらで解決してくださいって感じにはいかないから、食事はどうするとなれば「出します」、車置くところは「借りておきます」というのを普通の感覚でやりましたけどリフォームをお願いするのも大変だな、しんどいなと思いました。でも、やってみたら自分でもこの歳にして何とかやりきったと思いましたよ。

ご主人:
近所の人でもリフォームした人は「二度とやりたくない」と言ってるね。

【記者感想】
今回もリフォームにおける施主の苦労話をうかがえました。
ただし、今回はパワフルなお施主さんが食事や寝泊まりの事を能動的に当たり前の事として捉えられていたのがよく分かったのであまり申し訳ない雰囲気にはなりませんでした。
それよりも、そういったお施主さんの対応がその後の家づくりにおいてよい方向に作用したことがとても興味深い展開でした。
詳しくは続きをご覧ください。

無理を言っても「母ちゃんの言う事だからしょうがねぇか」という感じで…

記者:
あけてみて初めて分かった事など、想定外のトラブルや、追加工事などはありましたか?

ご主人:
水周りなんかは腐ってたりしたけど、ある程度予想通り、計算どおりって感じだね。
何十年も住んでたら水周りはしょうがないよね。

奥様:
逆に現場で提案してくれることがありました。
「ここはこういうのも可能だけどどうする?」なんて聞かれることがあって、そうすると私は「そうしてくれるとイイな」なんて感覚で答えられましたね。

ご主人:
あそこの棚(家電棚)なんかもそうじゃないの?
現場でこうしてああしてなんてやってたじゃない。

奥様:
あそこは最初から家電棚ということで図面にあったんだけど、裏との兼ね合いで深さはどうするか?というやり取りがありました。
家電棚という使い方ですけど、年代物の電子レンジを置くためにかなり深くしないといけなくて…

ご主人:
何十年前に買ったやつだ?(一同笑)

奥様:
これが置けるようにするために結構な深さが必要。でも深くすると裏が狭くなって通りづらいから、少しでも広くしてとお願いしました。
そういうのも大工さんが「ここをこうすることもできるよ」なんて提案してくれるから「じゃあそうしてください」ってお願いすると、言った手前しょうがないみたいな感じで困りながらも渋々やってくれました。
そういうやり取りをしながら、より快適にしたいというこちらの要望を聞いてもらえましたよ。
よそでも「こういう風にしたらどうですか」と言うと「いいですけど図面と違いますよ」と言われると言ってました。
変更すればお客さんは喜んでくれるんですけど、予算もあることなので難しい部分もあるんでしょうね。

記者:
ガッチリ予算内で進めていくと後々後悔する事も多いですね。

奥様:
そうなんですよね。
どうしてもかかってしまうお金はしょうがないですけど、そのあたりの兼ね合いですね。
リフォームなんだから住みよくしなくちゃしょうがない、ただあまりお金がかかってしまっても困りますから予算の範囲内でやらないと、というのもありますね。
こっちは専門家じゃないから職人さんが提案してくれるのがどうやってできるか分からないけど、図面を見て分かる部分、例えば私たちが車椅子の生活になったときのことも考えて間口を70cmから90cmの幅に変更してもらったりしました。

記者:
図面の段階だとなかなか気がつかないですよ、普通。
それに気がつくのはすごいですね。

奥様:
私の主張としては老後をどう過ごすか?老後の生活、車椅子でちゃんと移動できる間口が重要と考えて工事中に現場で色々言わせてもらいました。
遠くに引っ越してて出来上がってからだとどうにもならないけど、工事中に現場に立ち会ったりご飯出したりして色々見ながらだと言いやすいから「ここはどういうふうになるの?」と聞くようにしました。そうすると「こうだよ」「ああだよ」なんて答えがきて、その時には言わないんですけど、夜にじっくり考えてから次の日に「ここはやっぱりこういうふうにして」なんてお願いすると「言い出したら聞かない」とか「一晩寝ると考えがコロっと変わるからな」なんて言われたりしました。
現場では大工さんと私で譲り合わない攻防が色々ありましたけど、可能な限りこちらの要望を聞いてもらえましたよ。(笑)
何となく良い雰囲気な時を見計らって言うようにしましたね。

ご主人:
お互い機嫌の良いときを狙ってな。それはやっぱり人間だよね。
食べるもんいっぱい食べてもらって、わがまま聞いてもらってな。

奥様:
キッチンの対面にしても、高さが一定じゃなくなるから最初は途中までしか開いてなかったんですけど、現場で私が主張して高さが変わってもいいから端まで広げてもらいました。開放感がだいぶ違いますからね。
ドアのことやカウンターのことなど細かいところは最後の仕上げの段階で主張して変えてもらったおかげで思い通りの家になりました。
ご飯食べさせる側の強みで有無を言わせず主張しましたから、最後になって手間隙かけさせてしまったので本人たちもくたびれて返事もしないでいましたけど。(笑)

塩原:
でも、仲良しになりましたよね?

奥様:
お互いに言いたい事を言いあえる仲になりました。
「一晩ねると考え変わっちゃうからな、母ちゃんは!」なんてよく言われたんだけど「そうだねアハハ」なんて返したりして、そういった細かい部分のやりとりが遠慮せずに言える良い関係が築けたと思います。やっぱりご飯作ってくれる人っていうのは…

記者:
母ちゃんですね。(笑)

奥様:
だからそういう関係だからこそ、こちらが多少無理を言っても「母ちゃんの言う事だからしょうがねぇか」という感じだったんじゃないかと…
お互いに深く入りすぎたかもしれないですけど…(笑)

記者:
それがあからさまに態度に出るってのがすごい関係性ですね。(笑)
そうすると妥協したなと思うポイントはないですか?

奥様:
そうですね。
私の希望は全部叶えてくれたと思います。
現場監督のクボタさんにも「私にとっては100%だよ」と言いました。

記者:
そんな事あまりないですよ。

奥様:
塩原さんも言ってましたけど、同じ釜の飯を食った仲間だからね。
そういう部分では二ヶ月の間に人間関係ができあがりましたね。
こっちも要望はしっかり伝えられて、職人さんたちもしょうがねぇなと思いながらも答えてくれて。
お好きなようにどうぞという感じじゃなくて「ああじゃない」「こうじゃない」と希望を伝えてそれに応えてくれたので棚の位置や間口の広さ、家としての使い勝手の部分では自分の要望は全てかないました。希望通りの家になりました。
水回りの設備なんかで言うと、お金をかければもっと良いものになったんでしょうけど…妥協したといえばそういう部分ですね。
あえて不満があるとしたらお金をかければもう少し良い設備になったと思いますけど、私にはこれで十分と自分で納得させました。

【記者感想】
職人さんと奥さんの関係性がよくわかるエピソードでした。
とはいえ奥さんの言葉は今現在の生活環境の改善に加えて老後の生活まで具体的に考えての要望ですから、それは遠慮なんてしていられない本気の叫びです。でもそこでギスギスした雰囲気にならないのは「同じ釜の飯を食う仲間」「ある意味家族」の関係性があったからということが職人さんの言葉からよくわかりますね。
そんな経緯もあったからこそ奥さんから「100%の出来」という最高の評価をしてもらえたんだと思います。

同じ築39年リフォーム済みの家でも、仮住まいの家と完成した我が家では大違い

奥様:
仮住まいの家が同じ築39年でリフォーム済みの家だったので間取りが今風だったり設備も全部新しいものだったんですけど、基本的な部分はそのままだったから建て付けがすごく悪くてギシギシいってました。そういう点で言うと、この家は土台からしっかりやり直してもらったので比較すると違いが良く分かりましたよ。

ご主人:
比較するのにちょうどよかったね。あっちはギギギって戸は閉まらないし。

奥様:
さっきも話しましたけど、地震が起きてもゆれが少ないのがはっきり分かるし、騒音も少ないし、とても住みやすくなりましたよ。

ご主人:
しっかりしてるなと思うね。
塩原さんの耐震シミュレーションが効いてるんだね。でっかいのきたらよく分かると思うな。

奥様:
断熱耐震をやらないんだったら私がやる意味はないですよ。
それなら他の業者さん選んでくださいって。塩原さんが言ってました。

記者:
そこまで言っちゃいましたか。(笑)

奥様:
基礎までしっかりやってくれてるので、結果的にはとても満足してます。
あと、最初の図面だと存在していた柱も但し書きとして「現場で見て変更が必要なら変更しましょう。」なんてあったのを変更してもらったり、現場監督のクボタさんも「この柱は無いほうがいいよね」なんていって可能性を探ってくれたおかげで開放感のある間取りになりました。
ユニットバスにしても、本来は柱がある都合上ずらさなければいけなかった部分を、住みやすさを考慮して柱をちょっと移動してくれたおかげで収まりがよくなり、他の部屋との関係が良い感じになりました。

記者:
図面では強度計算してると思いますが、柱をずらすことで再度計算しなおしたりするんですか?

奥様:
梁と柱の関係や図面の段階では分からない柱の状況も現場でみてOKと判断してくれたおかげで住みやすくなりました。
融通がこの家を住みやすくしてくれました。

ご主人:
基本設計はしているけど、現場であけて見なければ分からない部分があるんで、現場現場で判断してるんだよね。

【記者感想】
「断熱耐震をやらないんだったら私がやる意味ないので他でやってください。」...名言が出ましたね。
志を高く持つこと、理想に向かってひたむきに進むことは素晴らしいことです。誰もが最初はそんな気持ちで仕事に向かっていたはずです。でも日々の仕事に追われ、思い通りにならないことや納得いかない仕事を続けるうちにそんな感情は徐々に無くなり惰性や損得勘定で仕事に向き合うことになりがちだと思います。
なるべくニュートラルな視点でこの記事を書くように意識していますが、この言葉には参りました。
リフォームの本質を知り尽くしているからこそ言える言葉です。

どんな家に住みたいかということをしっかりイメージする事が重要

記者:
リフォームの優先順位としては、1=間取り、2=断熱、3=耐震、4=設備という感じですか?
世の中には設備だけを入れ替える、または新築のように見た目のキレイさをメインにするリフォームがあふれてますが、そういったリフォームを依頼すると安井さんのお宅のように100%満足することは少ないと思います。
リボーンのような本質をついたリフォームを行う会社に依頼することで、満足度の高いリフォームを実現できるお施主さんに増えてほしいわけなんですが、人にリフォームを勧めるとしたら何を重要視して何を妥協して良いのかを教えてください。

奥様:
見た目じゃなくて、基本を見直すというか、そういう視点で考えたほうが良いと思います。
家が暖かい、地震につよいとかいう家としての基本をしっかりさせてから、将来的なことも考えた住みやすさを考える事が大切ですね。

ご主人:
仮住まいの家がそうだね。
見た目はキレイだけど中に入るとギーギー言ってドアは閉まらないし、風が吹くとビュービュー音が聞こえるし…お金かけたのが無駄に感じてしまう。
うちは音は遮断されるし、暑くても午前中はエアコンかけないで済むし、地震が来てもゆれが少ないし、家としてしっかりしたと思うね。

奥様:
人それぞれの住み方、思いというのがあると思います。
私は東から入る朝日が入るようにしたいと思いました。
以前の家は東面が水周りでふさがっていて、あまり日が入ってこなかったので、新しい家ではどうしても居間に朝日を入れたくて吐き出しの窓にして欲しいと希望を伝えました。
夏場は日が高いからあまり入ってこないですけど、冬になるとリビングまでしっかり日が届いてかなり暖かいんじゃないかと思います。
最初の案だと朝日をさえぎる位置にキッチンが配置されてましたけど、それだとリビングまで朝日が届かないのでキッチンの位置を移動しました。そうしたら以前の玄関がつかえなくなったので必然的に玄関の場所も移動しました。

塩原さんの主張は断熱と耐震でしたけど、私の主張は「朝日の入る家」だったのでこの間取りができました。
そこに住む人の思い、どんな家に住みたいかということをしっかりイメージする事が重要と思います。

【記者感想】
自分が住みたい家をしっかりイメージする。それはとても大切なことです。
見た目や設備だけを新しくしても家自体の基本がしっかりしていなければリフォームする意味がない。
家としての基本をしっかり見直しつつお施主さんの希望を叶える。
そんな本質をついたリフォームが広がるといいなと思います。

外で雨降ってるのが分からない

記者:
ご主人は?何かご要望はありませんでしたか?

ご主人:
ん?
俺は特になかったね。

記者:
では、奥さんのやりたいように「ああ、いいよ」という感じですか?

奥様:
お好きにどうぞ。全面的にお任せって感じだね。
だって最初から、近所の人にも「俺は何も不自由してない」「何も困ってない」ってずっと言ってましたね。
「夏暑いのも、冬寒いのも全然困ってない」って。(笑)

記者:
希望のない状態から家が完成して「これはいいな」と思うポイントは何ですか?

ご主人:
やっぱり静かだね。
本当に窓閉めるとパタッと音がしなくなる。これは感じたね。
あとは工事中でエアコンが入ってない状態でも、外が暑くても中に入るとひんやりしたのを感じたね。
こんなに変わるんだって、それはすぐに感じたね。

記者:
冬の寒さよりも夏の暑さのほうが?

ご主人:
俺は暑さより寒さには強いからね。
寒くないと寝られないから、冬でも自分の部屋は暖房入れたことないよ。
風呂は絶対暖まらないし。(笑)
寒くないと寝られないから冬でもパンツ一枚だし、暑くて足出してるくらい。電気毛布使うと暑くて寝られないね。
あと、家の外観的に重量感がでたね。
家って言うのはドシっとしたもののイメージが強いから重量感を感じるね。

奥様:
建てる前は何も不自由してなかったというけれど、建ててみたらまぁ満足している感じでしょうね。

ご主人:
少なくとも良くなってると日々の生活で感じてるよ。
本当に二階で寝てても音は全然しなくて、そよ風を入れようと思うとうるさくて仕方ない。
あとは断熱材で温度差がこれだけあるかと驚いている。
外から入ってくるとヒヤッとするくらい。

奥様:
40年近く前に立てた昔の家は、やっぱり寒かったと思う。今はサッシだけになってしまったけど二重サッシで断熱と防音が実現している。
耐震と断熱を対策したことで防音もかなえられた。

ご主人:
寝室の枕元がベランダなんで、今までは雨音がバタバタ聞こえてきたのが今は全然聞こえない。
「あ、雨降ってたんだ」と後で気がつくぐらい。
外を走るオートバイの音や裏の駐車場のエンジン音なんかも全然気にならなくなったから本当に静かになったと思う。

【記者感想】
ご主人は昭和のお父さんという感じで、どっしり構えて奥さんの希望をしっかり尊重していられるようでした。
夏の暑さも冬の寒さも何も困っていなかったということでしたが、インタビュアーの私自身が住居に対する要求が非常に少ない「住めば都体質」なので共感できる部分が大きいのですが、リフォームしたいという妻の願いを「お前の好きなようにすればいいよ」と言える器の大きさに憧れます。

※その②へ続く

安井様
埼玉県川越市 安井様
家族構成ご主人様、奥様、犬1匹
家の仕様木造軸組工法
竣工2015年
補助金省エネ住宅ポイント(45万ポイント)
断熱平天井部 ニューダンブロー300mm吹き込み
下屋天井勾配部 高性能グラスウール140mm
壁 付加断熱 高性能グラスウール105mm
床 高性能グラスウール 50+90mm
家のスペックサッシ:シャノン樹脂サッシ LOW-Eペア アルゴンガス入り
換気:セントラルダクト方式

リフォーム内容:
1階バリアフリー改修、断熱改修、水回り回収、耐震改修、1、2階サッシ取替
その他39
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