ある意味24時間換気!とにかく寒かった建て替え前の家
記者:
敷地面積が大きいですけど、家を建てるにあたって土地を購入されたんですか?
ご主人:
いえ、もともと親父の建てた実家があった土地です。
もともとの家の周りは畑だったんですけど、周りが建物でガチガチに固まって水はけがわるくなってきて敷地の奥が水浸しになってました。
私たちが住んでいた部屋は車庫の上で見た目はハイカラだけど断熱がされてなくてとても寒く部屋の中で水が氷るくらいでした。
奥様:
すっごい寒かったです。
ご主人:
戸が閉まってるはずなのに、なぜか入り口の戸がガタガタ音がしたり、洗濯物が揺れてたりする家でしたよ。
奥様:
いろんなところに隙間があって外が見えてたね。
記者:
ある意味24時間換気ですね(笑)
奥様:
お風呂も換気扇が外れて穴開いてて…露天風呂みたいでしたよ。
ご主人:
冬は脱衣所でファンヒーター炊いて風呂場の戸も開けっ放しで暖めながらじゃないと入れなかったね。
奥様:
そんな状態だったから元の建物は全部壊して、盛り土で高くして水はけを良くしてからこの家を建てました。
ご主人:
親父が建てた家は、なるべく手をかけないように直せるところは直して、自分の代になったらでかく建て直すことを最初から考えてましたね。
風呂場のタイルとかもはがれたら自分で張ったりして、お金をかけないように維持してました。
奥様:
がんばって貯めたね。
記者:
貯めて貯めてから思い切って新築したわけですね。
ご主人:
思い切った。
奥様:
私が嫁に来る前から自分で建て直すっていう気持ちがあったみたいで、部屋に来た時に「夢の丸太小屋」みたいな雑誌が何冊かあったんです。だから、こういう家を建てたい、ログハウスに住みたいって夢がずっとあったみたいで、そのためにお金をかけずに少しずつ直すというのを徹底していて…
私はお勝手を直してほしい、水回りを直してほしいっていう希望はあったんだけど、「今はとにかく我慢してくれ」と言われてました。
ご主人:
親が健在なうちに建て直すことは、慣れ親しんだ家を壊さなくちゃならないし、工事中の仮住まいも負担をかけることになります。親としては新しい家に住みたいという希望もなかったので、父親が亡くなって一周忌が終わってから家づくりを本格的に考え始めました。
【記者感想】
hirabayashi_img古い住宅ではある程度の隙間風は仕方ないとはいえ、家のお風呂が露天風呂状態はすごいですね。
ご主人の積年の想いに我慢と共働きでしっかり応え続けた奥さんの素晴らしさを感じました。
夫婦仲良しだからこそ理想の家が建てられたというのがとても良くわかりました。
以前の家がどんな状態で、どんな暮らしぶりだったかをもう少し掘り下げて聞いてみます。
ヘンテコな間取りの以前の家は、寒空のトイレが一苦労!
記者:
では、奥さん。結婚してこの家が建つまで何年かかったんですか?
奥様:
17年くらいです。
記者:
では、17年我慢の日々でしたね。最初に住んでいた駐車場の上の部屋は結婚して住むようになったんですか?
ご主人:
私がもともと住んでいた部屋です。
奥様:
そこに合流した形です。
ご主人:
前の家は冬の夜中のトイレが大変だったね。
奥様:
階段を下りて玄関を横切って母屋の奥まで歩いて行って…冬の夜中に目が覚めてトイレに行くのは大変でしたよ。(笑)
記者:
それは想像するだけで大変さが伝わってきますね。(笑)
ご主人:
前の家はヘンテコな間取りだったんです。
親父は計画性がなくて、最初に建てた家は敷地の前の方に、敷地の奥には物置があって、自分が高校生の時に建て替えるかって話になった時に前の家は床を剥がして車庫に、奥の物置ももったいないからと壊さずにいたら、建て替えた家がとてもヘンテコな間取りになったんです。
その後、車庫として使ってた家はシロアリにやられて取り壊すことになり、そこに新しい車庫を建てたらその上に私が住む部屋を作ることになって…それも1千万かかったんですよ。
そのローンは私が払ったんですけど…
記者:
で、ご主人が引き継いでからリセットしたと。
ご主人:
建物は全部壊してまっさらにした!(笑)何にも残ってないけど石が4つくらい残ったね。昔の家の基礎で使っていた石だけど、今は玄関アプローチに埋まってるよ。それだけは残したね。
【記者感想】
トイレのエピソードは壮絶ですね。しかも一日限りのことではなく日々の生活の一部と考えると気が遠くなります。
ヘンテコ間取りと過去の遺産を全て壊して敷地をまっさらにしたと話してくださったご主人の晴れやかな表情は忘れられません。それほどすっきりしたんでしょうね。
以前の基礎が埋め込まれたアプローチ
いつかはログハウスに…ご主人の長年の夢はいつしか夫婦共通の夢に
記者:
ご主人は駐車場の上に住んでいる時から「いつかはログハウスに住みたい」という気持ちを持っていたとのことですが、それは結婚前からですか?
ご主人:
そう
記者:
そこに合流された奥様は、その夢を共有し一緒の夢になったということですか?
奥様:
そうそう。そういう夢を持ってる人なんだと知って。
「俺は本当は会社勤めじゃなくて山小屋の親父になりたかった」と言ってて(笑)
ご主人:
親父が山好きで、その影響で気さくな山小屋の親父にあこがれてたときもあったけど…夢だったんだけどね。もうないよ。
記者:
とはいえ、17年間我慢の日々だったと思いますけど。辛くはなかったですか?
奥様:
我慢…台所のフローリングがはがれて転びそうになったりとかはありましたね。
とにかく寒かったです。ブルーヒーターをつけて、こたつに入って、ダウンを着てないといられない状態でしたね。(笑)
記者:
実際、結婚前後は気持ちも盛り上がって、ご主人の夢に私もと同調する気持ちは分かりますけど、いざ結婚して寒い家で何年か過ごして「あれ、いつまでこの生活?」みたいな迷いや後悔みたいなものはなかったんですか?
奥様:
普段の生活は辛かったけど、この人面白い人なんで楽しかったんです!
趣味が同じスポーツ観戦だったり、冬はスキー、夏はアウトドアでキャンプ、長い休みは旅行だったり…色々なところに連れていってくれて面白かった。
同じ会社で休みも生活の時間も一緒だから、今でも二人でいろいろなとことに行ってますよ。
見た目どうとかは別にして、そりゃかっこいい人の方がいいけど…家のこともいろいろやってくれたし。私は気楽で居心地よかったですよ。
ご主人:
割と気楽な性格だからね。
奥様:
何とかなるさみたいな。
記者:
では、「辛くて辛くて」みたいな感じではなかったと。
奥様:
「なんでこんなとこに嫁に来たんだろう」みたいな気持ちになったことはなかったですね。子どもが生まれ、仕事を続け、親の介護で大変な時もあったけど、でも、だから今があるのかな?幸せですよ。
こんな良い家も建ててもらって。
ご主人:
共同作業だね。母ちゃんが仕事を辞めなかったおかげでお金がたまって、お互いの夢を実現するためには働かざる得なくなって、ずっと辞めずに働いてきてくれたおかげで建てられたと思うよ。
【記者感想】
結婚して17年間我慢してきたという奥様ですが悲壮感や恨み節は全く聞かれず、ログハウスを建てることを夫婦共通の夢として共に歩んできたお二人。そこにはご主人の奥様孝行がバッチリ効いていたようで、本当に仲睦まじい様子をうかがうことができました。
お互いを思いやる気持ちを持ち続けて夢をかなえたお二人の話を聞き、家を建てるベストなタイミングというのもそれぞれだなぁと感じました。
夫婦長年の夢「ログハウス」
お二人の旅行の思い出
夢のログハウスは将来の生活も視野に入れた間取りに
記者:
ログハウスで良かったんですか?
奥様:
ログハウスで良かったです。
丸太で積んでいくのはイマイチだと思いましたけど、「ポスト&ビーム」はいいなと思いました。
塩原:
すんなりいいねと?反対する方もいるかと思いますが。
ご主人:
ログハウス嫌なんて人いるの?何が嫌なの?
奥様:
木とか丸太の感じが自然を感じて癒されますよ。
記者:
普通がいいとか、かわいいのがいいとかいう人もいますね。
ご主人:
この家の間取り考えたのは母ちゃんだからね。
おおざっぱな書き方を教えてあげたら、自分でイメージして描いて塩原さんにお願いしてたよ。
奥様:
広さとか使い勝手とか考えてね。
ご主人:
息子が友達や彼女を連れてきたときにチェックできるように、階段の場所もリビングを通って二階に上がるように考えたりね。
奥様:
どんな女連れてきたかとかね(笑)
ご主人:
間取りで言うとこだわったのは一階の寝室とトイレだね。
いままでトイレが遠かったからすぐに行ける場所にして、年取ってからの事を考えて寝室は二階じゃなくて一階に作って…自分たちの生活はすべて一階で済むようになってるよ。
奥様:
私は平屋生活なんで二階はノータッチだから楽ですよ。掃除も二階は男二人に任せてて。二階には上がらない、息子の部屋がどうなってるかも知らない。(笑)
ご主人:
息子の部屋はすごいことになってるよ。(笑)
記者:
では、奥さんの生活は一階で完結していると。
奥様:
はい!もう快適!平屋生活。ほんとに。
記者:
散らかってるのが見えないとストレスも溜まらなくていいですね。見えると「カー!」となりますよね。
将来的に息子さんがお嫁さんと一緒に住みたいと言って来たらどうします。
奥様:
住みたいと思えば住めばいいし、二人で暮らしたいと思えばそうすればいい。後で入りたければ入ればいいし。何でもいいです。自由です。
記者:
どれでも許容できることがすごいですね。
ご主人:
一応、そういうことも考えて作りましたよ。私たちは下だけで十分暮らしていけるからね。
記者:
これだけ余裕のある暮らしはなかなかないですよね。
土地を残してくれたお父さんに感謝ですね。
ご主人:
そうですね。
【記者感想】
広い敷地ならではの大きな家で、ご夫婦の将来だけでなく息子さんの将来まで受け入れられる余裕がすごいです。
間取りは隅々まで奥様のこだわりが詰まっていて、しっかりと生活をイメージされてのことと感じました。
さすがに17年じっくり考えてきた結果ということでしょう。
ポスト&ビーム
リビング階段と奥様
高断熱高気密の家は快適そのもの
記者:
以前の家がとても寒かったとのことですが、現在の家の暖かさについてはいかがですか?
ご主人:
この家の断熱はいいですよ。冬も感じるんですけど夏も外から入ってくるとひんやり涼しくて快適です。
真夏でエアコン入れてなくても27℃~28℃くらいにしかならないね。でも一回温まると逆に冷めにくくていけないですけど(笑)
奥様:
私は冬の暖かさが一番感じますね。よくお客さんに「床暖入れてる?」なんて聞かれることがあります。
こたつが無くても全然過ごしていられるし…
記者:
では暖房器具は何をお使いで?
ご主人:
パネルヒーターだけです。他の暖房器具は何も使ってないです。
石油ストーブはいざというときのために一台だけ残してますけど。
奥様:
全然寒くなく着替えもできます。
ご主人:
前の家の時は、朝着替える時に一大決心して「さぁ!」って感じで気合い入れてからじゃないとダメでした。それもファンヒーターの前で。(笑)
今は全然、どこにいても暖かいですよ。
リビングで寛ぐときはテレビの前の絨毯の上でゴロゴロするんだけど、夏でも冬でも全然変わらない状態ですよ。
記者:
そんなに暖かいんですね。
床まで暖かいってのはどうしてですか?
ご主人:
床にも分厚い断熱材(床にも壁にも密度の違う120㎜厚)が入ってるからね。
記者:
家全体が暖まってるから、壁も床も暖かいということですね。
塩原:
パネルヒーターは空気を暖めているわけではなく、床とか壁とか天井など室内の面を暖める暖房です。
ご主人:
ファンヒーターはファンの音がしますよね。石油ストーブは匂いがしますよね。
パネルヒーターは何にも音がしないし匂いもしない。点火の手間もいらないし一日中暖かい。
朝起きて寒い部屋に行ってストーブつけなきゃいけないなんてこともない。とにかく快適ですね。
記者:
パネルヒーターやめて別の暖房って考えたら何があります?
もっと良い暖房って何だと思いますか?
ご主人:
無いですね。本当に良い提案してもらったと思ってます。
記者:
床暖はどうですか?
ご主人:
姉が建てた家に床暖房をいれたんですけど、循環用の温水のボイラーが燃料食うってことで結局使わなくなってファンヒーター使ってますよ。
記者:
パネルヒーターも温水を循環しているという点では一緒ですよね?
ご主人:
そうだけど、ウチの場合は全部電気温水器でやってるから灯油を買ったりすることはないですね。
塩原:
ウェルエコ(電気蓄熱温水器)を使用しています。
ご主人:
ガスも灯油も、電気以外のエネルギーを使いたくないと考えてオール電化にしました。
奥様:
昔の家だと、灯油代で何万もかかり、それ以外にガス代、電気代とかかっていたのですごかったです。
ご主人:
各部屋にファンヒーターがあって、親父は温度感覚がなくなってきたのか知らないけど、真夏より暑い部屋で真っ赤な顔していましたよ。
とてもじゃないけど一緒にいられなかったです。(笑)
記者:
そうすると燃料代をトータルで考えると暖房のためのお金は減りました?
奥様:
減った減った!灯油代がすごかったですから。
ご主人:
200リットルのタンクを冬に二回入れてましたよ。
しかも寒い思いしてポリタンクに入れ替えてね。
奥様:
今は太陽光発電のパネルが乗ってるから売電もできるし。
記者:
プラスもあるわけですね。
パネルヒーターは家全体で何個設置してありますか?
すべて常時稼働させてるんですか?
奥様:
トイレの小さいのまで入れたら10台ですね。
ご主人:
客間や使わない部屋はほとんど動かしてないし、自分たちの寝室や子どもの部屋もほとんど使ってないですね。
常時使っているのは脱衣所、トイレ、玄関、階段下、ダイニング、リビングの6~7台ですね。
寝室とか入れてると逆に暑くて寝られないくらい。
記者:
暑いと寝られないですよね。わかります。(笑)
【記者感想】
隙間風のふく家から、現代のしかも高断熱高気密の家に移ったら、過ごしやすさの違いは相当大きいと想像できます。
とはいえ、手間いらずで家中どこでも暖かく、夏でも冬でもリビングの過ごし方が変わらないというのは驚きます。
歳をとってからの生活を想像すると、本当に楽だろうなと思います。
実際に住んでいるお宅にお邪魔して「えっ!」とビックリ
記者:
ログハウス建てたいと思って、塩原設計士の以前の職場に依頼された経緯はどんな感じだったんでしょうか?
奥様:
私が友達とランチに行ったお店がポスト&ビームのとても素敵なログハウスだったんです。
そこのお店の人にどこで建てたんですかって聞いたら以前の会社と教えてもらって…
ご主人:
それでインターネットで検索してホームページ見てみたら近々開催する展示会の情報があったんで、見に行って説明聞いてるうちにその気になってほかの会社は全く目に入らなくなったんです。
他のハウスメーカーとかはどこも見に行かなかったですよ。
記者:
本当ですか?(笑)
奥様:
大手のハウスメーカーとかは興味がなかったですね。
ご主人:
他の会社はカタログにあるような家しか建てられないんじゃないかと思っていて…
それで色々話をしたら二日後くらいに当時の社長から電話があって「すぐに伺います」なんて言って来ましたよ。
それで打ち合わせもしたんですけど、子どもの進学の時期と重なったので1年くらい保留にしたんです。
奥様:
お義父さんも亡くなったばかりで、一年の法事もしなくちゃいけない。
その時には家も残してないと…一周忌を住んでた家でやりたいというのがあって。
記者:
ほかの会社は全く視野に入っていなかったと。すごい話ですね。(笑)
奥様:
全然、住宅公園とかどこにも行かなかった。興味がなかったですね。
ご主人:
展示会の時に床の断熱材の厚さを実際に見せてもらったり、断熱の説明を詳しくされたんです。
記者:
これまでの生活で寒さが身に染みていた訳で、断熱性能の話はかなり興味を持たれたと?
ご主人:
断熱性能の話はすごく印象に残ってますね。
塩原:
当時も今もログハウスと高断熱高気密を合体させているところが無いです。
技術的に難しく、面倒くさいというのもあり勉強していない人はそこにいかない。
ログハウスと高断熱高気密は相性が悪いと言っている業者もあります。
奥様:
丸太を使ったログハウスで気密性を保ててるというのはすごいなと思いました。
北窓と南窓を変えているということも説明がありましたけど、それにもびっくりしました。
ご主人:
モデルハウスは見に行ってないですけど、その会社が建てた家はそこらじゅう何度も見に行きましたよ。
奥様:
実際住んでらっしゃる穂高有明のお宅にもお邪魔したんですけど、冬でもスリッパも履かずにそのままいられることを体験しました。
森の中で雪に埋もれた家なのに、全然寒くなくて「えっ!」とビックリしました。そこの家もパネルヒーターでしたね。
記者:
色々実際の現場を見て心が決まった感じですね。
【記者感想】
お父様が亡くなって、いよいよ本格的になった平林さんの家づくり。
とはいえいくつもの会社を検討…ということはなく気に入った一社だけに絞る流れがすごい話だと感じました。
それだけログハウス+高断熱高気密のインパクトが大きかったのだと思います。
このまますんなり完成・引き渡しまでいけば良かったのですが…
次の打ち合わせの前にイラストが封書で送られてきました
記者:
塩原設計士とはいつから?そして第一印象は?率直な意見をお願いします。
ご主人:
普通。特に何も感じなかった。
奥様:
息子が野球やってたので、野球の話をした覚えがありますね。
最初から今と同じような感じでお話できて、しゃべりやすい雰囲気はありました。
ご主人:
うんうん、タメ口だもんね。(笑)
記者:
ホームページだけだと人となりや雰囲気が伝わるわけではないので、率直なご意見は非常にありがたいんです。
特にビジュアルが優れている訳ではないですし、営業マン的なセールストークがうまい訳でもないので、第一印象でどう思われたか、率直なご意見を掲載することが結構重要かなと思っているんです。
完成した家に対する評価や感想というのも重要ではあるんですけど、そこに至るまでのお施主さんと塩原設計士との関係性を表現するというのが、この「お客様の声」を作っていく中での裏テーマだったりします。
奥様:
気楽になんでも言えましたよ。
ご主人:
堅苦しい話にはならなかったよ。方言丸出しで話できたしね。
塩原:
気軽に言ってもらえないと始まらないというのが設計の本質なんです。
押し付ける設計の人もいるけど…
ご主人:
提案というのはそれほどなかったね。その代わりにこっちがポロッと言ったことやおおざっぱな方眼紙の絵が、立体的に想像できる絵になったのが早かったというのが印象に残ってるね。
記者:
要望を具体的に見える化するのが早かったということですね。
ご主人:
打ち合わせと打ち合わせの間に立体的な絵が封書で届いたりしてね。次の時にそれを見ながらさらに進んだ打ち合わせができたのが良かったです。
打ち合わせの前に絵を見たから言いたいことが色々言えましたね。
記者:
次回打ち合わせの時にゼロスタートじゃなくて助走しててもらう感じですね。
塩原:
ご夫婦で話してもらわないといけないから、その時に見せたら意見なんて出てこないです。
記者:
ポリシーは別にして設計の仕事の進めやすさとしては、設計士が考えて提案したものに「ハイハイ」言ってもらう方が楽ではないですか?
要望を出してもらうための材料をあえて出し、ああでもないこうでもないという時間を積み重ねるのはどうなんですか?
塩原:
結果的に満足してもらえる家を建てるためには、絶対に遠回りしてもらう必要があります。
遠回りをあえてさせることがお客さんのためでもあり、自分のためでもあります。
平林さんのお宅の場合、むしろ遠回りをしていないほうです。というのも二人とも勉強熱心だからケンカもなくスッと形になったという感じです。
ご主人:
もともとの考え方がまとまっていたというのがありますね。
全然勉強せずに家を建てる人と違って、ある程度自分の理想とイメージができあがっていたんでブレることはなかったです。
塩原:
珍しいですよ。家に対してずっと関心があったというのが大きかったと思います。
奥様:
夢だったもんね、ずっと。赤い屋根がいいね…とか
ご主人:
山小屋はだいたい赤い屋根だから、それをイメージしてね。
以前の会社の建物は緑の屋根が多かったけど、最初から赤で決めてたしね。
奥様:
木をいっぱい使ってくれてね。
奥様:
こちらの要望はみんな聞いてくれました。工事中でもコンセントの位置変更や家具の出幅とか臨機応変に対応してくれましたね。そういうのも言いやすかったです。
記者:
平林さん宅はスムーズに進行したということで要望も聞きやすかったという事ですけど、お施主さんによっては工程が押してるのにそれでも要望が出てきたりした場合にどういう対応をしてるんですか?
塩原:
言いやすいというのもありますけど、こっちもはっきり言うようにしてます。
あまり曖昧な言い方をしないようにはしてますけど…「そんな言い方ないじゃないですか」「傷つく」なんて言われたこともあります。
人によりますけどあまり距離をおかないように気を付けてます。
ご主人:
フットワークも軽くて、何度も来てくれましたよ。
二人とも仕事をしてるから平日は打ち合わせといっても夜になるんだけど、逆にこっちが心配になって「寝てるかい?」「家建つ前に倒れないでくれよ」なんて言ってました。(笑)
【記者感想】
平林さんの家づくりと少し脱線した感はありますが、話しやすさは大事、こちらからもはっきりしたことを言う。夫婦でしっかり話し合いをしてもらうためにあえて遠回りをさせる。打ち合わせの前に資料を送ることが大切など家づくりにおいてとても重要なポイントがいくか分かりました。
ついに完成した夢のログハウス。しかし晴れやかな気持ちになれなかった
記者:
以前の会社が倒産した時に平林さん宅はどういう状態だったんですか?
ご主人:
ギリギリ完成してました。多分最後に完成した家だと思います。
車庫もやることになってたけどそれは丁張の状態で終わりました。設計も終わって建築確認もとれてたんで大工さんに直接お願いして作ってもらいました。支払いも済んでたので車庫の分は丸々損失でしたね。
ご主人:
工期も8月引き渡しが11月になりましたし、他にもいろいろえらい目にあいましたよ。
暖房入れる時期になったんですけど温水器が入らなくて、パネルヒーターあるけど全然暖かくならないんですよ。(笑)
記者:
温水器なければ当然ですね。
ご主人:
それで、同じ型を使ってた塩原さんの自宅の温水器借りたりして過ごしてました。
お風呂も一カ月くらい入れなかったです。家が完成した~と思ったら次から次へと色んなことが起こって。
奥様:
業者さんから「支払いお済でなければこちらに回してください」とか電話がかかってきて…
記者:
建築会社から回収できない仕入れ先がお施主さんに直接払ってもらおうとしてたということですね。
ご主人:
「うちは全部支払い終わってますんで」と応じませんでしたけど。
奥様:
でもかわいそうだったね。
奥様:
県産材使用を条件にした補助金がもらえるはずだったんですけど、証明書がないと県の方でも補助金は出せないという事になって、木材の業者さんと話したら「証明書は出すから補助金を半分もらえないか」なんて言われたりして…でも結局、関わり合いになりたくなかったから断って補助金もあきらめました。
記者:
キツイお話ですね。
ご主人:
建築会社が倒産して、車庫は建たない、補助金はもらえない、さらにそのあとの東日本大震災であの春は気持ちが沈んだね。
奥様:
でもそんなことが続いても塩原さんを恨む気には全然なれなくて…
ご主人:
全然なかったね。
奥様:
逆にどうしてるか心配していていました。
そうしたらしばらくして塩原さんが顔出してくれて…
塩原:
こっそり様子を見に来たはずが見つかったんですよ。(笑)
ご主人:
行方不明になってないか、首つってんじゃないか、どうしてたかほんとに心配だったから引き留めて話しできてよかったよ。
塩原:
寸前でしたね。
「どうも」なんて挨拶できる状態でもなくて、完成したのかどうなのか確認したかっただけだったので…快く受け入れてもらえてありがたかったです。
会社の看板背負って仕事してたんで、受け入れてくれる人の方が少ないと思いますよ。
記者:
その時には、自分でやっていこうと思っていたんですか?
リボーン:結構時間が経っていたので、決意した後だと思います。
ご主人:
自分でやろうと思ってるんですって話をそこで聞いて、それじゃあこれから先も面倒見てもらえるねと安心しました。
【記者感想】
あまりに生々しいお話の数々に掲載をためらいましたが、平林さんにご了承いただけたこと、塩原設計士としてもこういった事態になった際に何が起こるのかを知ってもらいたいということもあり掲載しました。
長年の夢がかなったばかりなのに晴れやかな気持ちになれなかったことは、とても辛く悲しい思い出だと思います。しかし今現在満足して住まわれている現実を考えると少しだけ救われた気になります。
我が家はこだわりポイントだらけ
記者:
設計の段階と工事始まってからギャップを感じたことはないですか?
ご主人:
丁張したときに「こんなに小さいの?」なんて思いましたけどそれくらいです。
実際建ってみたら「でけー!!」って思いましたよ。(笑)
記者:
リボーン恒例の施主工事は何かありましたか?
ご主人:
ほとんど何もやってない。
もともとコンクリートの予定だったけどワンポイント加えたくて…玄関ポーチの石張ったくらいです。あれだけ張るのも3日かかりましたよ。
セメントや石が足りなくなって2回くらい買い出し行って大変でしたよ。(笑)
あと、車庫の電気配線と緑の壁塗りはやったね。
記者:
なんだかんだで色々やってますね。
家全体でこだわった部分は何ですか?
奥様:
吹き抜けが欲しかったのと、前の家がとても暗かったので明るい家にしたかったです。
ご主人:
今も照明ついてないですけど、屋根の天窓から入ってくるあかりで十分明るいです。
隣の家が迫ってるのであれこれ駆使してうまく光が入ってくるように配置してもらいました。
あと、東側にウッドデッキあるってのはいいです。
夏は南向きのデッキは暑くていられないですけど、東向きなら朝は日差しがあって気持ちいいしお昼過ぎに日陰になって最高ですよ。ほとんど一日中いられます。友達も南向きデッキに日よけつけちゃって意味ないですよ。
記者:
なるほど東向きデッキいいですね!
ご主人:
洗濯物を二階に干すのはめんどくさいから、洗濯機からすぐ干せるように脱衣所が物干し部屋になってます。4畳半くらいあるから広くていいですよ。
脱ぐ、洗う、干す、そして着る。全部一か所でできていいですよ。(笑)
記者:
それは使い勝手がよさそうですね。(笑)
ご主人:
収納もこだわりポイントで、最初はカウンターだったんですけど新しく収納家具を置くのが嫌だったんで途中でお願いして棚にして戸を付けて作り付けの家具にしてもらいました。
あと、ここのコンセント一つで差し替え無しで一階全部掃除できるのもポイントです。
記者:
配置は奥さんが考えたんですか?
奥様:
そうそう、使い勝手を考えてね。
【記者感想】
09丁張の時に「小さ!」と思うのはあるあるとして。
天窓や物干し部屋、作り付けの家具など実際に暮らすイメージをしっかり持つことが後悔のない家づくりの秘訣と改めて感じました。
東向きのウッドデッキは確かに言われる通り使い勝手が良さそうだと納得しました。
正直羨ましいです。
バイクガレージを自家塗装
天窓から差し込む光
巨大なタイヤの収納問題もオリジナルサイズの木製物置で解決!!
ご主人:
もともと自分のバイクを置いていたガレージに息子のバイクも置くことになり、ガレージに保管していたタイヤや工具を置く場所が無くなってしまったので物置が必要になったんです。
タイヤはランクル用で大きく、どうしようかと思って塩原さんに相談したら「木っとハレルヤ」のオリジナルサイズを作ってもらえることになって購入した感じです。
記者:
オリジナルサイズはホームページで大々的に告知していないので「サイズが合わないからやめよう」とならないように売りにしていくのがいいですね。
ご主人:
塩原さんに見に来てもらって配置やイメージ絵を描いてもらいました。
最初配置は反対側だったんですけど、使い勝手や隣との目隠しを兼ねて今の位置に決定しました。
塩原:
「木っとハレルヤ」はレベルフットでガッチリ固定されている訳ではないので、いざとなれば移動が可能なのがいいんです。
組立の時には手伝ってもらって一緒にやったんです。(笑)
ご主人:
嫌いじゃないけど疲れたよ。暑い日だったね。
場所はあそこで良かった。道を通るおっさんたちも興味ありそうに見ていくよ。
奥様:
家建ててる人もこだわっている人はこだわってるから、出来合いのものじゃなくて木の物置とかも人気出ると思う。
ご主人:
庭作る人に相談すると木じゃなくて既製品の物置になっちゃうんですよ。
あれに木を打ち付けるとか、全然イメージが違うんだよね。
塩原:大きな話でいうと、家づくりと外構を合体させて考えないといけないと考えてます。
色々難しい問題もあり、できそうでできないんですけど、現在は既製品を使うというのがベースになってるので、変えていきたいと思っています。
建物だけじゃなく、外構も含めて最後までかかわっていきたいと欲張ってますね。
記者:
家を建てることでいっぱいいっぱいになって「後で…」なんて考えていても結局やらない事も多いですよね。
ご主人:
うちの庭も最初にやってから結構変わってますよ。
もともと境まで全部芝だったんですけど、子どもが車を置くようになったら芝が枯れちゃって。生きてる芝はある程度移植して枕木調のコンクリートブロック敷いてバックで駐車できるようにしました。
記者:
それにしても綺麗に手入れされてますね。
常にこのコンディションを保ってるんですよね。
奥様:
毎朝出勤前に芝の中の雑草とか砂利の中に小さい雑草を見つけたらすぐとる。(笑)
ご主人:
家の周りをスプレーの除草剤を持ってシュッシュやってますよ。(笑)
【記者感想】
106坪の大きな敷地に統一された雰囲気のポスト&ビームのログハウス、車庫、そして木製物置がバランスよく配置され植栽の美しさとともに非常に目を引きます。
ログハウスにそれほど興味がなくても一目見て「カッコイイ」と素直に思える平林邸。
外から見ているだけでもワクワクします。