暮らしのことば

規格プランでどこまでできる? 基本のプランに楽しみやこだわりをプラス

千曲市|春原様|2020年
新築

完成見学会も参考に。こだわりの詰まった愛着ある住まい

Rebornの家づくりですっかりおなじみとなった規格プラン。自由設計よりも価格を抑えられるのにデザインの自由度もあり、オリジナリティが出せるところも魅力です。31坪規格プランで家づくりをかなえた春原邸は、通常の規格よりも少しだけリビングを広げたりと、空間づくりにもこだわりました。そんな春原さんご家族の家づくりをご紹介します。

完成見学会も参考に。こだわりの詰まった愛着ある住まい

基本プランにアレンジを加え、自分たちにとっての快適な空間づくり

住宅と田畑が混在する千曲市ののどかな市道を進むと、見えてきたのは、漆喰と無垢の板壁が印象的な外観。Rebornの規格プランでも、外壁の素材の一部が異なるだけで、これまで取材をした住まいとはまた違った印象になります。

周囲を田畑が広がる春原邸

建物東側、1階の外壁の一部がウェスタンレッドシダーの板張りに

迎えてくれたのは、春原宏樹さん・綾さんご夫妻。その家のように漆喰と木の温かさが似合う穏やかな雰囲気で、なんと前月には第二子の次女・栞ちゃんが誕生したばかりだというのに、取材を受けていただいたことからもおおらかさ、人柄のよさが伝わります。
まずは1歳半の長女・紬ちゃんとともに、ひと通り、家の中を案内してもらいました。

玄関を開けると、ホールには造作の玄関収納。玄関ドアと合わせたレッドシーダーの板を縦張りにすることでストライプのスタイリッシュな印象にもなり、空間全体の統一感も漂います。

「見学会で見た家のなかには玄関収納の板を横張りにして遊び心を表現した住まいもあって迷ったのですが、私たちは玄関ドアと統一させました。結果的にいいなと思っています」(綾さん)

玄関ホールから続くLDKは、すっきり広々とした印象です。これは、リビングを広くするために通常の規格プランよりも20cmほどキッチンカウンターの位置をずらしているから。そのため、規格プランはフラット対面式で奥行が90cmの流し台なのに対し、春原邸は壁付のキッチンにし、奥行が65cmと少し狭まっているそうですが、実際にキッチンに入ると狭さは感じません。

「規格プランは柱の位置なども決まっているので、間取りの大きさは変えられないと思っていましたが、聞いてみたら『できますよ』と言ってもらえて、わずかですがリビングが広くなりました」(宏樹さん)

キッチンカウンター自体も飾りニッチなどは設けていないシンプルなタイプで、ダイニングの照明は一般的なペンダントライトではなく天井直付けのシーリングライトにしているため、余計に広くすっきりとした印象を抱きます。

「照明関係は全部施主支給で、いろいろなメーカーやデザインがあるなかでどれを選んでいいのか迷いましたが、塩原さんにもアドバイスをもらいながら選びました。ダイニングの照明は天井直付けだと暗くなるかも、と言われたものの、空間がすっきりするからうちはこれでいこうと。結果的に暗くなく、調光ができる照明を選んだので明るさを変えられるのもよかったです」(宏樹さん)

ダイニングのシーリングライトはRebornの施工事例でも少なく迷ったそうですが、結果的に正解だったそう

キッチン壁面のタイルは綾さんの希望。

「どうしてもタイルを貼りたくて、サンプルを取り寄せて色や形を考えました。使いやすく、汚れも目立たなくていいですね」(綾さん)

また、こだわったのがキッチン収納のアイアンの金物。シンプルな見た目にするために宏樹さんがDIYで塗装をしたそうです。

「マットの黒地にしてもらい、全体的に白とグレーとアイアンのマット感を合わせた雰囲気にしました」(綾さん)

キッチンの調味料置き場も、もともとDIYが好きな宏樹さんのお手製です。SNSで見かけ、自分で作れるのではないかと材料を揃えてチャレンジしたのだとか。手作りとは思えないほどの出来栄えで、宏樹さんの手先の器用さが伺えます。

以前のアパート暮らしの時に自作したものを、高さを調整して作り直した調味料置き場

キッチン脇、LDK一角の作業机の壁面のパンチングボードとコルクボードも宏樹さん作

さらに、リビングに併設された4.5帖の空間は、従来の和室から管理のしやすい洋室に変更。収納とパソコンなどの作業ができる書斎を兼ねています。

「書斎スペースをつくりたかったので洋室にしました。今後、畳の空間がほしくなればシート畳を敷けばよいかと思っていましたし、実際に利便性も洋室のほうがよく、金額も和室より洋室のほうが費用も抑えられました」(宏樹さん)

この空間でひときわ目を引くのが、壁に設置された宏樹さんの趣味のロードバイクです。壁にかけることでショップのディスプレーのようにもなり、省スペース化にもなっています。

「どうしてもバイクを室内保管したかったので、最初からこの壁に設置すること考え、下地を入れて補強してもらっています」(宏樹さん)

バイク背面のアクセント壁も宏樹さんの希望。

「Rebornの施工事例や完成見学会で壁面のアクセントを見て、棚を自由に付けられるところもいいなと思ってお願いしました。リビングのテレビボード背面のアクセント壁と揃えています」(宏樹さん)

テレビボード背面のアクセントは、以前に「暮らしのことば」でもご紹介した菊池邸の完成見学会を参考に

現在は子どもたちの着替えや昼寝スペースとしても活用中

リビングの奥、浴室の洗面脱衣所は、規格プランでは洗面台の横にパネルヒーターがつきますが、塩原さんの提案で、バスタオルウォーマーとしても使えるタイプのパネルヒーターに交換。金額が少しプラスにはなったものの、冬場の入浴時にほんのり暖かくカラっと乾いたバスタオルが使えるので心地よいそう。「導入してよかった」とご夫妻は話します。
床は大判のPタイルを使用。当初はクッションフロアにする予定でしたが、ふわふわした素材のために床が沈んだり、家具の踏み跡が生じやすいため、硬さのあるPタイルに工事途中で変更してもらったとか。浴室掃除担当の宏樹さんいわく「Pタイルにしたことで掃除がしやすくなった」そう。

タオルウォーマーとしても活用している緑のパネルヒーターは脱衣所のアクセントにも

浴室の棚は水が溜まらないようにメッシュ素材にしたり、照明は天井埋め込み型のLEDライトにし、天井面の凹凸をなくしたことで、より掃除がしやすくなっています。

浴室のLED天井埋め込み型ライト

なお、照明選びは完成見学会も参考にしながら選んでいったそう。

「工事がはじまってからも何回か見学会に行きましたが、そのなかで『今日は重点的に照明を見よう』などと目的を持って見に行っていました」(宏樹さん)

トイレや階段の組み木のような照明は、こちらも以前に「暮らしのことば」でもご紹介した 南澤邸の見学会で見かけて気に入ったものだといいます。

「見学会で見ていなければたどり着いていなかった照明です。可愛くて気に入っています。室内が白壁なので、照明が当たって影が映る感じが好きですね」(綾さん)

階段の壁を生かしたディスプレーは漆喰の白壁に映える

さらに、ロボット掃除機のルンバを階段下に収納しているのもポイントです。当初はテレビボードの下に設置しようと考えていたそうですが、塩原さんからのアドバイスもあり、より目につかない階段下ですっきりと収納できるようになりました。

階段下、デッドスペースになりがちな空間をルンバ基地に(右下)

1階の床板は人気のナラ材

2階の間取りは基本的に規格プランのまま。寝室は普段は使っておらず、子供室の空間に布団を敷いて家族4人で寝ています。将来的には子供室に間仕切りを設け、ふたりの娘たちのために4.5帖ずつの個室にする予定です。

その際は夫婦で寝室を利用し、ゆくゆくは白壁にプロジェクターを投影して寝室をシアタールームのようにも活用したいのだとか。なんと素敵な発想でしょう!

寝室にはウォークインクローゼットを併設

白壁を生かし、将来はシアタールームにも

なお、2階の床材はちょっと珍しい西南桜を使用。ほんのりとピンクがかったやさしい色合いで、これまた今まで見た規格プランの家とは一風変わった雰囲気です。どうやら坂田木材の在庫にフローリング用の西南桜が1フロア分あったことから、提案を受けて手頃な価格で導入できたのだとか。硬すぎず柔らかすぎないバランスのとれた床材で、「すごくさらさらで気持ちがいい」と綾さん。

この2階ホールはベビー服の室内干しの洗濯空間としても利用しています。

「外にも洗濯物を干しますが、赤ちゃんの服は大人用と分けて夕方に洗濯をするので、2階のホールにかけておくと翌朝には乾いているので重宝しています」(綾さん)

階段上のフリースペースは現在、収納に

それにしても、2階からの眺めのよいこと! 視界を遮るものがないため、遠くの山々まで見渡せます。というのも、実は春原邸、宏樹さんの実家のすぐ近くに位置し、この土地は実家が所有する広い畑の一部を宅地へと農地転用したもので、それゆえに周囲に田畑が広がり、見晴らしがよいのです。

そこで、改めて春原邸の家づくりに至った経緯を教えていただきました。

実家をどうするか。兄弟が話し合うきっかけとなったRebornの見学会

三兄弟の末っ子として育った宏樹さん。30代前半で綾さんと結婚し、「住宅ローンを組むことを考えたら、年齢的にも早めに家を建てたほうがよいかな」と漠然と考えてはいたものの、「今すぐ建てたい」という気持ちはなかったそう。そうしたなか、入社以来、よく面倒を見てもらっていた会社の先輩がRebornで実家をリフォームし、家づくりの話を聞くなかで、千曲市の新築物件の完成見学会があると教えてもらったそう。

「先輩がリフォームしている工務店さんがうちの実家のすぐ近くで完成見学会をやるから行ってみれば、と聞いて、まだ家探しも何もしていませんでしたが、近いし行ってみようと軽い気持ちで出かけました」(宏樹さん)

綾さんは仕事だったため、宏樹さんがひとりで参加。そこで塩原さんに会い、住宅の性能の説明を受けつつ、宏樹さんが三兄弟の末っ子であることや、長男も次男も結婚して家を出ていること、兄たちはすでに持ち家があり、実家は築100年を超えているような古い家で両親がふたりで暮らしていることなどを話したと言います。

「そうしたら塩原さんから『実家はどうするの? 兄弟で考えたほうがいいよ』 とアドバイスされたんです。それが家づくりをちゃんと考えるようになったはじまりでした」(宏樹さん)

1年点検で訪れた塩原さんと春原さんご夫妻

そこで、宏樹さんは兄ふたりに「実家をどうするか」と相談を持ちかけると同時に、塩原さんに依頼をして実家のインスペクションを実施。二世帯住宅にできるのか、新築のほうがよいのかを審査してもらいました。

もしかしたら江戸時代に建てたのではないか、と宏樹さんがいうほど趣のある実家は、結果的に、塩原さんの見立てによると「リフォームをすると膨大な金額がかかるため、このまま残し、夫婦の家は新築で考えたほうがよいのではないか」という結論に。そこで、兄ふたりの了承も得て、宏樹さんの実家が所有する畑の一部を分筆し、農地転用することになったのです。

こちらはインスペクション…ではなく1年点検で床下に潜る塩原さん

そこで気になるのが綾さんのこと。まず、夫の実家近くに家を建てる不安はなかったのでしょうか。

「抵抗がないわけではなかったですが、土地代がゼロになるならいいかな、という気持ちでしたし、いいご両親で、子どもの面倒をよく見てもらっていたり、時には預けることもできて、結果的にはよかったですね」(綾さん)

今は家で子どもたちと過ごしているなかで、宏樹さんのご両親と顔を合わせて会話をすることが気晴らしにもなっているそう。

綾さんの実家自体も車で10分ほどの距離だそうですが、「自分の実家も近いのに、うちの実家のすぐ近くに建てることを決断してくれたのがありがたいし、よかった」と宏樹さんも話します。

では、Reborn以外の住宅会社も検討したのでしょうか。

「住宅公園に行ったり、ハウスメーカーや工務店で何社か話を聞きました。ただ、実家が古くて寒いことが当たり前だった分、なんとなく今の住宅の性能はどれも同じように大体暖かいというイメージがあったんです。でも、Rebornの見学会でもらった冊子で断熱や家の性能には差があって、それが大事なんだと勉強になり、カタログで断熱性能を示している会社を選ぶようにはしていました」(宏樹さん)

そうしたなかで、例えば、デザインが評判の住宅会社では担当者に断熱について質問しても回答がふんわりしていたりと、手応えが得られるような反応が見えなかったそう。

「塩原さんに聞いたら30分くらい講義がはじまるところなんですけどね(笑)」(綾さん)

とはいえ、宏樹さんとしては最初からRebornがよいと思っていたので、結果的にはRebornと比較するために住宅会社を回っていたと話します。ただ、最初に見学したRebornの家はシンプルで木材がたくさん使われているという印象を抱いたそうですが、当時の宏樹さんはハウスメーカーが建てるようなサイディングのツートンカラーのデザインがよいと思っていたそうで、Rebornの家はピンと来ていなかったのだとか。

「いろいろと住宅会社を見るうちに、漆喰の壁や無垢の木の感じがいいなと思うようになりました。今はこういう家にしてよかったなと思っています」(宏樹さん)

また、見学会で初めて会った塩原さんは木の蝶ネクタイをつけた「チャーミングなおじさん」という印象だったそうですが、てっきり家の売り込みをされると思っていたら、実家の今後について考えたことがいいことなどを熱く語られ、「そこまで心配してくれるなら信頼できる人なのではないか」と感じたとも話します。

その後、綾さんもRebornの完成見学会に参加。規格プランの見学会では、2階の子供部屋の扉を緑と赤でカラフルにしている可愛さに惹かれ、施主の好みでアレンジできることに「センスが試されるな」と感じるとともに、新鮮さも覚えたのだとか。また、乾燥するエアコンの風があまり好きではない綾さんにとって、パネルヒーターによる暖房も魅力に感じたといいます。

小さな子どもにとっても安全性が高いパネルヒーター

とはいえ、ハウスメーカーに比べて企業規模の小さいRebornへの依頼に不安はなかったのでしょうか。

「職場の先輩が選んでいたこともありますし、塩原さんがブログで技術的にマニアックな話を書かれているのはなかなかできないことで、技術は確かだと感じていたので心配はありませんでした」(宏樹さん)

「実際に会って塩原さんと話すと、絶対に変な人ではないと感じましたし、他社の見学会では基本的に内装を見て『綺麗だね、格好いいね』という感想を抱くだけでしたけど、Rebornの見学会では断熱材が実際に飾られ、壁の断面のモデルもあって、内装だけではなく性能も重点的に説明してくれることもあって安心しました」(綾さん)

さらに、塩原さんのインスペクション後に資金計画の話にもなり、紹介してもらったFPの岩坂先生に相談すると、知識が豊富で、何を聞いてもわかりやすい返答で的確なアドバイスくれ、信頼できると感じたこともRebornでの家づくりの決め手になったそう。

「岩坂さんにキャッシュフローを作ってもらって予算的にも問題ないことがわかり、最終的にRebornにお願いしようと思いました」(宏樹さん)

家づくりにあたって重要な検討事項のひとつが資金計画ですが、必要な費用は非常に複雑で、自分たちだけで全体像を把握することはなかなか大変です。そこで、信頼できる専門家に相談できるという環境は、きっと大きな心の拠り所になったことでしょう。

シンプルで十分な間取り、完成までの期間が早く選択肢も広い規格プラン

そのうえで、契約前に塩原さんの話をじっくりと聞く機会を設けたというご夫妻。農地から宅地にする土地を見てもらい、どんな家が建つか、アパートの更新期限前に完成できるかなどを確認したそう。その時にRebornの規格プランの間取りを見て、シンプルで必要十分であり、使い勝手もよさそうだと感じたといいます。

「規格プランはすでにいろいろなところで建てられているので、構造や性能は間違いないと思いましたし、自由設計の家だと設計だけで3カ月はかかるので、アパートの更新に間に合わない。となると、規格プランをメインで考えることが決まりました」(宏樹さん)

ただ、何坪の規格にするかは最後まで迷ったそう。最終的に31坪に決めたのは、30坪プランでは書斎スペースを設けられず狭く感じたこと、35坪は広い分、掃除が大変だと判断したからです。

「最初は35坪を考えましたが、見学会で30坪プランの家を見て、ダイニングの広さやソファの位置を塩原さんがメジャーで測りながら説明してくれて、31坪で十分だと話しました」(綾さん)

とはいえ、当初は35坪で考えていたこともあり、従来の31坪プランよりもリビングをもう少し広くしたいという希望が生まれたことから、キッチンをやや狭めてリビングを広げる結論に至ったようです。

「規格でも意外とできることがいろいろあるんだなと思いました。だから、気になったことは塩原さんに遠慮なしに聞くのがいいですね。できるかわからないけど、リクエストがあれば聞くことが大事だと思いました」(宏樹さん)

設計後も完成見学会に参加したことがデザインの参考に

こうしてはじまった春原さんの家づくり。塩原さんの豊富な知識により、打ち合わせは楽しかったと宏樹さんは振り返ります。

「わからないことを聞けばわかりやすく解説してくれ、基礎の種類や構造、ダクトのない換気の方法、木の種類や特性など、いろいろと納得できて進められました」(宏樹さん)

また、照明に限らず、Rebornの完成見学会は大いに参考にしたのだそう。

「外壁の一部を板張りにしたのも、同じように一部分だけ外壁を変えている家を見ておしゃれだなと思い、アクセントにもなるかなと感じたから。値段も全面漆喰で仕上げるよりちょっと安くなるので、一石二鳥だと思いました」(宏樹さん)

「車で帰宅する時に道路から自分の家がよく見えて、自慢のようになってしまいますが、人の家とちょっと違っていいなと思っています」(綾さん)

屋根の色はかなり迷って緑色にしたそうですが、これは塩原さんが手がけた3軒のログハウスを参考にしたのだとか。それぞれ違う屋根の色だったため、実際に見に行ってどれがいいか選んだといいます。また、春原邸の近所に建つRebornが手がけた2軒の新築住宅も参考にしました。

「最終的に緑色にしたのは、直感的に可愛いと思ったから。木の幹と葉のようなイメージで、玄関のポストも屋根に合わせて緑色にしました」(綾さん)

キッチンのタイルもまた、もともと綾さんの希望でしたが、先述の南澤邸の見学会でグレーのタイルを見てイメージが湧いたと言います。

「打ち合わせの時からインスタグラムやピンタレストを見て、内装のイメージ写真を何枚か塩原さんに送りました」(綾さん)

こうして図面が完成し、2019年7月に着工。田畑だった土地の整地や擁壁工事、地盤改良などを経て基礎工事が10月中旬に完了。しかし、この建前の直前というタイミングで予想外の出来事に見舞われたのです。

台風のダメージも乗り越え、DIYで達成感と愛着を実感

2019年10月、長野県内に甚大な被害をもたらした台風19号(令和元年東日本台風)。春原さんご夫妻がまさに2階の天井を塗るDIY開始を予定していた日に台風が直撃し、DIYは延期。翌日、現場を訪れるとすでに水は引いていたものの、前日の夜には千曲川の支流の水があふれ、道路が冠水して家の基礎部分も水に浸かっていたそうです。直接的な水害は免れましたが、結果的に、土台や柱、梁、桁などが準備されていた加工場が被災したことで、全ての材料を加工し直すのに1カ月がかかりました。

「それによって建前が1カ月ほど延期しちゃって、その間、何もできない日があって長く感じました。でも、できるところからDIYをやりましたし、しょうがないな、って感じでした。逆に1カ月で済んでよかったのかなと感じます」(宏樹さん)

「新築の床上浸水なら切なかったですが、周りの被害が大きいなか、建てる前に基礎の段階でこの程度でおさまってよかったと思いました。今後の水害も怖いところではありますが、何十年に一度のことと割り切っています」(綾さん)

ちなみにDIYは「当初は私たちにできるか心配でしたが、それよりもウキウキが優っていた」と綾さん。そして、そのDIYによって、ふたりの団結力は強まったようです。

「長女が生まれたばかりの時期でしたが、Rebornの作業場で長女を車のトランクに寝かせて作業して、車の中で授乳したり。今振り返ると、すごいことしていましたね(笑)」(綾さん)

なお、余談ですが、台風当日に予定していた2階の天井の塗装は台風翌日に塗ったそう。ところが実はそれ、手違いによって2階の天井ではなく塗装不要の板だったとか。結果的に2階の天井はすでに板が貼られた状態で下から見上げながら塗ったそうです。

「首が死ぬかと思いました(笑)。色が薄かったので二度塗りしたのもいい思い出で、結果的にいい色になりました」(綾さん)

こうした前向きな姿勢もまた、家族の団結力や家への愛着につながっているのでしょう。

「DIYの知識はすごく身につきましたし、今後、何かあっても自分で直すこともできます。遊びに来た友人や知人に自分で塗装したと自慢したり。驚かれるのもうれしく、そのくらい愛着や達成感はあります」(宏樹さん)

それにしてもDIYの苦労はなかったのでしょうか。

「塩原さんのブログを見ていると、朝から塗っていたり、仕事帰りに塗っているお施主さんがいたので、できるかなとは思っていましたし、Rebornでリフォームをした先輩はひとりで塗っていて腱鞘炎になったと聞いていましたが、ふたりとも実家が近かったので子どもを預けてDIYができたので、苦労も半分で楽しかったですね」(宏樹さん)

「時間があればもう一回やってもいいかなと思います(笑)」(綾さん)

特にマスキングテープが大変だといわれていましたが、宏樹さんは「これが仕上がりに直結するんだ」と思うとマスキングが非常に楽しく、几帳面になったとか。また、宏樹さんの仕事中は、育休中の綾さんが作業を進めたことも助かったと宏樹さんは話します。

「子どもが生まれたばかりだったので一人でやる覚悟もしていましたが、結構やってくれました」(宏樹さん)

「私自身が楽しくて、やりたい気持ちが優っていました。当時はマスキングテープを貼る夢まで見ました(笑)」(綾さん)

なお、DIYは約4カ月間、毎週末アパートから通って手がけましたが、その間は宏樹さんの実家で毎回食事をご馳走になったり、子どもの面倒を見てもらっていたそうで、綾さんはそれによって宏樹さんのご両親と打ち解けたそう。それもよかったと話します。

「両親にとっても、何人かいる孫のなかで、生後1カ月ほどの小さな頃から面倒を見ることが今までなかったので楽しかったようですね」(宏樹さん)

ちなみに、その間に塩原さんのブログも頻繁にチェックしていたそう。

「『Sさん、そろそろ塗装を始められますよ』とか『壁の色は決まりましたか』とか『スリッパを持ってきてください』と書かれたブログを見て急かされ、慌てて塩原さんに『何色にします』とラインをしたり(笑)。でも、ブログで断熱材が入っている様子や進捗などを知ることができるのでとても参考になりました」(宏樹さん)

今後も、砂利の玄関アプローチを芝生にしたりと、自分たちで手を加える予定だとか。カーポート部分もモルタルと枕木は業者が施工したものですが、その間に入れたレンガは自分たちで作ったそうです。

このように、すっかりDIYにハマった宏樹さん。「もし職業を変えられるチャンスがあるなら建築士になりたい」と感じているほどだと言います。

「もともと建築関係に興味があったようですが、今回、家を建てるにあたってその思いが強くなったようです。手先が器用で几帳面に取り組むので向いていると思いますが、今後は屋外に駐輪場を作ったり、ウッドデッキに滑り台を作る計画をしているので、1年以内にはやってほしいですね(笑)」(綾さん)

そのため、宏樹さんは会社の昼休み中には、仕事柄使うCADで少しずつ駐輪場の図面を描いているそう。

「こういうものが作れたらいいな、とか、仕事以外のことを考えるのが楽しいですね」(宏樹さん)

それゆえに、将来、子どもたちが建築士になりたいといったら歓迎とのこと。そんな話を聞いたら、塩原さんもうれしいのではないでしょうか。

ちなみに、分筆したとはいえ宏樹さんの実家にはまだまだ広大な田畑があり、将来的に農業は近くに住む次兄とともに引き継いでいくようになるそうです。

暮らしてわかる快適性。今後は賃貸住宅のQ1住宅化も?

では、1年暮らした率直な感想を教えていただきました。まずは「漆喰の壁に消臭効果があるような気がする」と綾さん。

「リビングでホットプレートを使って焼肉をやった時も、特に換気扇を回したりしていたわけではありませんが、翌日に匂いが残らなくて、漆喰のおかげなのかなと思いました」(綾さん)

断熱性能のよさは言わずもがな。

「冬は外がいくら寒くても朝起きたら室内は寒くないので、外に出てびっくりするくらい。帰宅すると暖かいので、住み心地はいいですね。以前に住んでいたアパートもそこまで寒いわけではなかったですが、エアコンをずっとつけていないといけなかったし、朝起きると窓にびっしりと滴るほどの結露がついていて、かき集めるとペットボトルいっぱいほどにもなりました。今は全くないのもすごく住みやすいですね」(宏樹さん)

「エアコンの風ではないパネルヒーターの暖房がふんわか暖かくて気に入っています。風がないぶん寒さを感じず、室内が一定の温度なので赤ちゃんにとっても快適で、風呂上がりも苦労はありません」(綾さん)

寝相が悪くてすぐにかけ布団をはいでしまう子どもたちの就寝中も、寒くないので神経質に布団をかけ直すことがなくなったそう。

「子どもたちが音を出すことも気にしなくてよく、家にいる時間が楽しいですね。今はあまり出かけられず、家の中で遊ぶこと多いんですが、室内にいても窮屈さを感じません」(綾さん)

一方で、過去の「暮らしのことば」の規格プランのインタビューでも聞かれる通り、夏は階段の壁面に取り付けられたエアコンの冷気が1階まで降りてこないため、運用方法を試行錯誤中だそう。意外にも1階より2階が冷え、階段のホールに最も冷気が溜まるため、扇風機を階段の前に置いて下から上に吹き上げることで冷気を循環させたり、除湿モードで運転したりと、いろいろ試しているそうです。

ところで現在、Rebornは高断熱高気密の建築をアパートまで広げようと計画しています。そこで、不動産賃貸仲介サービス業者で働く綾さんに、実際の需要を聞いてみました。

「需要は絶対にあると思います。築年数が経った建物をフルリノベーションする場合、オーナーや大家さんにとっては初期投資が大きくなり、最初は躊躇されるかもしれませんが、家賃設定から何年ほどの目処で回収できるかという具体的な話を大家さんが納得できれば需要はあります」(綾さん)

そのため、オーナーへの説得材料として、実際にRebornで造った家を見学してもらい、高気密高断熱の性能を実体験してもらうのもひとつの手だと綾さん。今後、Rebornのアパートが普及すれば、入居者に実際の物件を見せてもらうのもアリだと話します。

「完成後にオーナーさんのための見学会をやるのもいいですね」(綾さん)

特にファミリー層や、少し余裕がある世帯、東京から寒冷地の長野へと転勤してきた人にとっては、予算があれば需要は多いと見込めるとのこと。「賃貸住宅は冬寒いのが当たり前」を払拭する、新たなQ1住宅の方向性にもなりそうです。

家づくりは専門家になんでも聞いてみること、頼ること

それでは、最後に恒例の、これから家を建てる方へのアドバイスを聞きました。

「僕も最初はデザイン重視でしたが、長く住む家だからこそきちんと勉強して住宅会社を選ぶのがよいと思います」(宏樹さん)

勉強の方法として、宏樹さんは主にインターネットを活用したそうで、以前の「暮らしのことば」でも名前が挙がった“のりさん”というReborn&坂田木材で家づくりをした管理人のブログも参考にしたのだとか。

「いろいろな段階を踏んで検討されている様子がわかるブログで、断熱性を表す数値がどういう意味とか調べたりしました。妻が仕事で見学会に行けない分、説得材料のためにも勉強しておいたほうがよかったです」(宏樹さん)

「塩原さんが『新築10年目でリノベーションする物件を見に行きます』と言っていたことがあって、結局、新築を建てたけど寒くて住めないとなると悲しいので、デザインだけで決めないほうがいいですよね。住宅ローンもひとりで勉強しても限界があるので、思い切って専門家に頼ることも大事だと思います」(綾さん)

今は住宅ローンがネックで家を建てない若い世代が増えていることも尋ねてみると…。

「最近、20代半ばで結婚した後輩からどこで家を建てたか聞かれ、『アパート暮らしで家賃を払い続けるなら住宅を建てたほうがいいかな』と話していたのですが、信頼できる専門家に出会うことも大事だと思いました。住宅ローンを組むとなると大きい金額なので、的確なアドバイスで後押ししてくれる専門家がいると若い人も楽になるのかな」(宏樹さん)

ご夫妻にとって、いかに岩坂さんの存在も大きかったかがわかります。それでは、今後Rebornで建てる方へのアドバイスも聞きました。

「とにかく、気になったことは何でも塩原さんに聞いてみること。的確に返答してくれます。それと、規格プランといえど自分たちで決めるところが結構あるので、見学会や施工事例を多く見てチェックしておくのもいいですね。DIYをこなせる人にはおすすめで、夫婦の協力が大切なので、ある程度の根気と夫婦仲のよさも必要です」(宏樹さん)

「塩原さんの説明は専門的なので、夫は理解していても私はついていけないところがありましたが、素直に『わからない』と伝えると言葉を変えて説明してもらえました。わからないまま進んで不安のないようにしたほうがよいと思います」(綾さん)

そんな、ご夫妻が何より希望するのが、「暮らしのことば」のインタビューでもたびたび話題にのぼる「施主のOB会」。

「コロナが収束したら、各自5000円までくらいの予算での持ち寄りでRebornの事務所に集まるようなOB会をやれたら楽しいなと思います。塩原さんに各お施主さんへの呼びかけだけしてもらえたら、実際の連絡の取りまとめはこちらでやりますの(笑)」(綾さん)

「濃厚な会になると思いますが、面白そうですよね」(宏樹さん)

具体的な企画提案から本気度が伝わってきます。いよいよ念願のOB会、初開催なるか…!? その際はぜひ開催レポートがお届けできたら楽しそうです。

自分たちの希望を規格プランに盛り込み、さまざまなこだわりをかたちにした春原さんご夫妻。まだまだ続いていくDIYで、これからの暮らしもさらに心地よく、豊かに彩られていくことでしょう。

記者感想

規格プランといっても、素材のセレクトやデザイン次第で雰囲気がガラッと変わり、印象が異なることを実感した春原邸の取材。外観の一部に板張りを選んでいる点も新鮮でした。また、規格住宅は、塩原さんのこれまでの経験をもとに、多くの人に対して使いやすいプランで設計されていることを考えると、理想にかなう間取りで土地にも合えば、快適で居心地のよいQ1住宅が自由設計よりも求めやすい価格で手に入る魅力も改めて感じました。
とくに驚いたのが、リビングを少し広げたりと、多少であれば空間の大きさも変更できること。自由度が思っていた以上に高く、「とにかく気になったことは何でも塩原さんに聞いてみることが大切」という宏樹さんのアドバイスがよくわかりました。完成見学会で実際の規格を体験できるからこそ暮らしの様子も想像しやすく、「もっとこうしたい」という希望が生まれるのも規格プランならではで、大手メーカーではなかなか融通がきかないところもありますが、実現できるのもRebornだからこそでしょう。

くわえて、興味深かったのが、Q1住宅がアパートまで広がる話です。今後は高気密高断熱の性能をアパート暮らしで体験した住み手が、将来的にQ1住宅の家づくりを考えるきっかけになるかもしれません。「賃貸住宅が実家より暖かい」「アパートのような快適な家を造りたい」なんてこともあるのではないでしょうか。
さらにマクロな視点で見ると、地球温暖化や環境問題の観点から、エネルギー消費の多い住宅や賃貸住宅の高断熱化・省エネ化も求められるようになると考えると、これからは賃貸住宅も高断熱高気密・高度省エネで選ぶ時代になるかもしれません。となると、アパートの性能向上の加速にRebornが一役買ったりと、新たな方向性も考えられます。

ともあれ、規格プランのアレンジで心地よい住まいを手に入れた春原さんご家族。穏やかな笑顔が日々の快適性を物語っているようでした。OB会の実現にも期待しています!

春原様
千曲市 春原様
家族構成夫・妻・長女・次女
敷地面積228.81㎡
建築面積59.42㎡
床面積1階:56.31㎡ 2階:46.37㎡
延床面積102.68㎡(31.11坪)
竣工2020年
断熱平天井:吹込みグラスウール18K t=300㎜ ※下屋部分共  
外壁:HGW16K t=105㎜充填+100㎜外張り[KMブラケット]
床:HGW 16K 245㎜(140+105)  
基礎/土間:押出法ポリスチレンフォーム3種b 外100㎜/内50㎜
家のスペックドア:高断熱型玄関ドア  ガデリウス Reborn-eZドア 外#02 内#02 自然塗料DIY塗装
窓:樹脂サッシ(エクセルシャノン・トリプルシャノン) 外ホワイト/内ホワイト LOW-E三層ガラス アルゴンガス入り 樹脂スペーサー
換気:第三種セントラル換気 日本住環境 ルフロ400+ダクト配管φ100㎜ DCモーター
暖房:PS温水パネルヒーター暖房システム9台 FF式灯油式ボイラー(室内設置)  
冷房:階段に壁掛けエアコン2.8K1台
一覧へ戻る