暮らしのことば

高性能で使い勝手のよい間取り。希望にぴったりだった規格プラン

小布施町|東福寺様|2019年
新築

性能、価格、間取り、設計者との相性。全てが気に入って

「いずれはマイホームを」とのんびりと構えていたものの、気が付いたら家づくりのタイミングが迫っていたという東福寺さんご夫妻。住宅会社と土地探しを同時に始め、予算との兼ね合いもあり、当初から規格住宅を考えていたそうです。情報過多なインターネットで迷いが生じつつも、たどり着いたのがRebornの規格プランでした。そんな東福寺さんご夫妻の家づくりをご紹介します。

性能、価格、間取り、設計者との相性。全てが気に入って

きっかけはブログ。塩原さんの職人らしさも決め手に

「Rebornの35坪規格プランの6帖和室がよかったんです。ほかのメーカーにも和室付きの規格プランはあるのですが、多くが4.5帖で、6帖があっても押入れがなかったり。でも、Rebornのプランは床の間まであったのがよかったですね。今は本来の床の間の使い方とは違って、荷物を置いていますけど(笑)」

こう話す東福寺さんご夫妻。おふたりとも穏やかな雰囲気ながら、ユーモアにも富んでいて笑いが絶えず、息ぴったりの掛け合いが印象的です。家の中をのびのびと走り回る5歳の長男と3歳の次男、ふたりの子どもたちとのやりとりもクスリと笑ってしまうシーンばかり。今回はRebornの1年点検に同行した取材でしたが、久しぶりに再会したという塩原さんに子どもたちがすっかり懐いていることからも、良好な関係が築かれていることが伝わってきました。

東福寺邸があるのは、長年景観を大切にしたまちづくりに取り組んできた小布施町。町独自の家づくり・町並みづくりの指針を定め、個人宅であっても建築物の外観デザインは周辺環境との調和に配慮する必要があるとされています。

そんな小布施町の新興住宅地に新居を建てた東福寺さんご夫妻。夫の正明さんの仕事の関係で、以前は諏訪市の社宅で暮らし、家賃が安かったこともあって家づくりは切羽詰まって考えてはいなかったそう。しかし、次男の育休中だった妻のひとみさんの復帰時期が迫ると同時に、正明さんの長野市への異動や住宅補助の期限も間近に控えていることに気付き、急遽「長野市近郊に自分たちの拠点をつくろう」と家づくりを考えるようになったといいます。

ひとみさん:
「本当は家づくりは2~3年後と考えていたんですが、『ヤバイ、ヤバイ』と急に慌てだしました(笑)」

正明さん:
「会社の許可なく単身赴任になると、住宅補助が難しいんです。ただ、社宅は古かったので結露がひどくて、物置の壁一面がカビたり、お風呂場のカビにも悩まされていたり。子どもが小さいので、家をつくるならそういう苦労がない家がいいねという話になりました」

こうして2018年末、突如、土地探しと家づくりを同時進行で開始したご夫妻。毎週末、住宅展示場や見学会を“巡りまくった”といいます。しかし断熱性や耐震性を重視することや、大まかな間取りと予算は決めていたものの、インターネットの過多な情報により、調べれば調べるほど何がよいのかわからなくなったとか。さらに、3月にはひとみさんが仕事復帰に備えてひと足先に小布施町の実家に戻り、ご夫妻は別居生活となったことから、ますます住宅会社探しが難しくなったそう。
そんな迷走スパイラルを断ち切ってくれたきっかけが、以前にも「暮らしのことば」でその名があがっていた”のり”さんという管理人のブログです。Reborn&坂田木材で家づくりをした”のり”さんのブログに、ご夫妻それぞれでたどり着いたとか。

ひとみさん:
「『こんなブログあるよ』ってお互いに見つけて、調べていくとRebornのホームページに『断熱職人』とあったり、塩原さんのブログで耐震等級についても詳しく書かれてあって。さらに規格住宅があることもわかって塩原さんに電話をしたら、ちょうど規格プランの完成見学会があるといわれて夫がGO! でした(笑)」

予算を踏まえると、当初から規格住宅での家づくりを考えていたというご夫妻。間取りも「素人が考えるよりプロが考えたもののほうが理にかなっている」と感じていたそうです。
こうして正明さんが参加した見学会が、以前に「暮らしのことば」でもご紹介した松本市波田の菊池邸。間取りや性能も気に入りましたし、案内をしてくれた塩原さんがまったく営業らしくなく、職人然とした感じもよかったそう。

正明さん:
「耐熱や耐震など、なにを尋ねても詳しく答えが返ってきたんですよね」

ブログなどで情報を得ていたこともあり、すっかりRebornの規格プランにも塩原さんの知識にも納得した正明さん。では、見学会に参加しなかったひとみさんの反応は…?

知識に納得。機能性を理解しながらの選択

ひとみさん:
「見学会から帰ってきた夫に『どうだった?』と聞いたら『木だった』『なんか暖かかった』『よかった』みたいな(笑)。そんな感想でしたが、じゃあRebornで決めようと。建てたい家のイメージは一致していましたし、いろいろなハウスメーカーも見てきたなかでいいというならいいんだろうなと思いました」

なんと、実物を見ていないのにRebornに決めたというひとみさん。ご夫妻の普段からの意思疎通が図られていたからでしょうし、塩原さんのマニアックともいえるブログも参考になっていたのでしょう。

正明さん:
「たしかに、あのブログにかなりの情報が載っているので、あれがなかったら家づくりの結果はちょっと変わっていたかもしれません。業者向け、関係者向けの内容だよね(笑)」

ひとみさん:
「ほかのハウスメーカーのホームページには断熱の考え方などはあまり載っていませんが、塩原さんのブログには基礎や家のつくり方がどこよりも詳しく書いてありました。ただ、一般の人はそういうことは興味がないのかもしれませんけど(笑)」

その後、今度はひとみさんも一緒にRebornの見学会に参加したそう。

ひとみさん:
「実際に見てみると、夫が話していた『白い壁』『きれい』という感想がわかりました(笑)。でもやはり、ほかのハウスメーカーの印象とはだいぶ違っていて、自然に近いというか、時間が経ってもいい感じに変化していくんだろうと感じましたね」

また冒頭の通り、35坪プランの6帖和室も決め手になりましたし、このときに初めて塩原さんに会ったひとみさんにとっては、塩原さんの人柄もしっくり来たのだそう。

ひとみさん:
「よくも悪くも包み隠さずに話してくれて、毒も吐くんだなと。それが信頼できたのかな。細かい話ですが、換気システムで迷っていて、今の主流は全て自動の第一種換気という頭でいたら『これから一生、月一回掃除できるんです?』と聞かれて。できないなら第三種換気がいいといわれました。両方の換気システムのメリットを教えてもらったうえで、きちんと自分たちにとっての選択ができましたね」

さらに、契約時にはひとみさんのご両親も同行したそうですが、そこでRebornのよさを知った父が塩原さんのブログの愛読者となり、ひとみさん以上に塩原さんに対する信頼感が高まったとか。

ひとみさん:
「『あの人なら大丈夫。絶対間違いない』といわれました(笑)」

こう話すひとみさん自身も、ますます塩原さんの知識に納得したというエピソードがあります。それは、ひとみさんがグラスウールについて塩原さんと話をしたときのこと。

ひとみさん:
「断熱材のグラスウールはネット上だと叩かれているけど、叩かれ続けても残っているのだから、グラスウールも頑張っているんだよねと塩原さんに話したら、塩原さんがRebornでグラスウールを使うメリットをちゃんと説明してくれて、なるほどって」

そのグラスウールを使う魅力とは。
・ガラス繊維を綿状に固めた無機材のため、近年多く採用されている有機材の薄いプラスチックボードに比べて経年劣化しづらい。
・不燃材なので火災時は延焼防止の効果を発揮し、猛烈な発煙や有毒ガスも発生しないので、非難時の安全確保にも有効。
・安価で入手しやすく、施工が簡単で応用もしやすい。

という点があげられるそうですが、その分、正しく丁寧な施工が必要なのだとか。その煩わしさに加え、プラスチックボードに比べて「グラスウールは時代遅れ」という固定観念があることで、使われる機会が減っているようです。

ひとみさん:
「性能面はこちらがこだわる以上に塩原さんがこだわっているので、もはや間取りについてはあまりこだわらなくなっていましたね。塩原さんに投げ続け、人任せの家ができました(笑)」

規格プランなのにアレンジできるなんて!

施工会社と同時進行で探していたのが、土地です。正明さんの「妻の実家近くのほうがご両親に頼れるよ」という後押しもあって小布施町で探すことに。インターネットで探し、町内の新興住宅地で目星をつけた土地にRebornの規格プランの図面をのせてみたところ、びったりだったとか。

ひとみさん:
「『土地までいいと思える住宅会社が見つかったら、そこが一番。百点満点をめざしているといつまで経っても買えないよ』と別のハウスメーカーの人にいわれたことがあって(笑)。本当にちょうどいいサイズの土地でしたし、建てたいと思う住宅会社も見つけたし。タイミング的に今なんだろうと思いましたね」

こうして土地も決め、規格プランでの設計を進めたご夫妻。ほぼ規格通りが希望だったそうで、むしろ規格プランでも自由に素材を選べたり変更できることに驚いたのだとか。

正明さん:
「塩原さんにいろいろな提案をされたり、『ここはどうしますか?』と聞かれて『選べるんですか?』と」

ひとみさん:
「規格プランだから何も変更できないものだと思っていたので、むしろ聞かれて困りました(笑)。ほかの会社はプランを変更すると追加費用がかかり、そんなに融通が効きませんから」

東福寺邸ならではのアレンジポイント

ということで、規格プランのなかでも東福寺邸らしさが見られる部分をご紹介します。

まずは、正明さんが「こだわりが詰まっています」という玄関。上がり框をL字にしたことで框が長くなった分、複数人で座りながら靴を履け、宅配や急な来客時に玄関ドアを開ける際も靴を履かずに開けられて楽なのだとか。

▲L字の玄関框により、家族が横並びで座って靴を履ける広さに

▲このように靴を履かずに玄関ドアを開けられる

玄関収納は造作で、靴だけでなく、傘や掃除道具、防災グッズなども収納可能。子どもの服や幼稚園バッグなどもかけられるため、非常に使い勝手がよく役立っているそうです。

▲玄関収納により、上着やバッグの着脱が玄関ホールでできるように

▲傘の収納にも便利

玄関ホールのニッチはご夫妻の希望。Rebornの施工事例を参考に依頼したそうですが、玄関収納の幅もあったため、塩原さんは悩んだ末にパネルヒーターを縦に設置してニッチを設けたのだとか。黄色のパネルヒーターが玄関を明るい雰囲気にしてくれます。

▲フック付きのパネルヒーターなので洋服の乾燥などにも便利

▲玄関収納の手すりは塩原さんのアイデア

そして、6帖の和室の建具も塩原さんの頭を悩ませたところです。ひとみさんの「可愛くしてください」という要望により、木を生かした引き戸になりました。

ちなみに、ご夫妻が6帖の広さの和室にこだわったのは、いずれどちらかの両親が同居することになったときに、居住空間として使うことを考えたからだとか。実際、施工中には千曲川が決壊した2019年の台風19号があり、小布施町もかなりの被害を受けてひとみさんの実家近くも浸水したことから、今後、ひとみさんのご両親が水害に襲われた場合はこちらに避難すると話しているのだとか。

18帖のLDK一角にはパソコン作業や勉強、工作のほか、アイロンやミシンがけなどの家事もできる作業机があり、壁面は磁石が埋め込まれたマグネットボードになっています。Rebornでも多く採用されている仕様で、東福寺邸は見学した松本市波田の菊池邸を参考にしたそうです。

ひとみさん:
「子どもの園の行事と自分の予定、夫の出勤と、管理が難しいので、いろいろな資料をマグネットボードに貼って活用しています」

テレビボードは造作で、「市販のものを入れると浮いてしまう」と塩原さんにいわれたことから、絵に描いて希望のかたちを伝えたとか。おもちゃも収納できて便利だそうです。壁面のアクセントは塩原さんの提案です。

▲大容量のテレビボード。右のパネルヒーターのマグネットも活用

▲参考にした菊池邸にもあったアクセント

キッチンはひとみさんの要望で、ゴミ箱が収納できる高さで食器棚を造り付けてもらいました。

▲キッチン家電も置け、棚下にゴミ箱も収納可能な食器棚

▲キッチン一角のパントリーは規格通り

インターホンやボイラーのリモコン、スイッチ類は塩原さんの提案で、一カ所のニッチにまとめています。

▲壁に埋め込んだモニターニッチ

浴室の床材はLDKと統一し、洗面台の下は子どものものなどを収納できるように広い空間に。

▲洗面台の下を収納にせずに空いたスペースに

▲収納棚は規格のまま

トイレの床材は、無垢材だと汚れが気になることから、掃除がしやすいコルク材にし、2階のトイレも同様の仕様にしました。

▲1階のトイレ

▲2階のトイレ

階段を上った先の2階の廊下には、たくさんの絵本を収納できる造作の本棚を設置。第2リビングのような雰囲気で、日当たりもよいため、サンルームとしても使われています。

▲洗濯物も干せる第2リビングのような2階の廊下

ベランダは規格通りですが、ご夫妻はもう少し広いものを希望していたそう。しかし、塩原さんに、屋外での洗濯干しは花粉や天候に悩まされること、プライバシーの確保などの観点から「外で洗濯物を干す時代は終わった」といわれ、結果的にベランダは規格のままの大きさに。その分、1階のウッドデッキが広くなりました。

ひとみさん:
「ウッドデッキは敷地に限りもあるので不要だと伝えたんですが『いや、いるでしょ』と譲ってくれなかったですね(笑)。これでも床板を少し短くしてもらったんですが『洗濯物を干すなら広いほうがいい』って(笑)」

正明さん:
「でも、結果的に子どもたちもここで遊んでいるのでよかったかな」

▲ベランダはLDKの掃き出し窓の日除けにもなる

▲吊り下げ型の物干しを設けたウッドデッキ

2階の子ども部屋は、規格だと一間続きで将来的に必要に応じて2部屋に仕切りますが、いずれ間仕切り壁を設けるのであればと、当初から2部屋にしています。

▲間仕切り壁の一部は収納に。現在はおもちゃ置き場

▲子ども部屋にはそれぞれ窓が2つずつ

寝室は規格プラン通り。現在は1階の和室でほぼ全ての生活が完結しているそうで、寝室は使用していませんが、正明さんは夜勤がある仕事なので、将来的には活用していく予定だそう。併設のクローゼットも規格通りです。

▲遮光カーテンを備えた寝室。今後ベッドなどを用意していく予定

ところで、小布施といえば景観についても考慮しないといけません。設計の段階で一度役場の確認が必要なのです。Rebornの規格プランは外壁の西洋漆喰の色や切妻屋根の形状、建物の規模といった基準はクリアしていたものの、屋根の勾配は変更の必要があり、三寸から四寸勾配になりました。

ひとみさん:
「町内放送で毎日『家を建てる人は役場に来てください』と連絡が流れますが、この家も塩原さんがうまく直してくださって、ちゃんと小布施に合うかたちにしてもらいました」

苦労したDIYと塗装の色決め

さて“ほぼ規格通り”で順調に進んだ東福寺邸ですが、やはりRebornといえばDIY。ご多分に漏れず、東福寺さんご夫妻を苦しめたようで…。

正明さん:
「規格プランの案内に『自分で色を塗るとマイナスいくら』と書いてあって。職人にお願いしたほうがいいか、くらいの気持ちでいたら、すでに自分たちでDIYをやる前提になっていました。やる、やらないの選択肢がなかったですね(笑)」

塗装は、ちょうどひとみさんが育休を終えて仕事復帰したタイミングで始まり、週末は子どもたちの面倒を見つつ、早朝に起きて壁や天井、床などを塗ったのだとか。当時、諏訪市で離れて暮らしていた正明さんも、休みのたびに小布施町に来ては手を動かしたといいます。

正明さん:
「両親や上司に、休日に現場に塗装に行くと話すと『何それ?』と(笑)」

ひとみさん:
「もう最終的にはきれいに塗ろうではなく、全て味があるということで(笑)。この世の終わりのようなスケジュールで、とにかく終わらせることに必死でした(笑)」

さらに、塗装の色も自分たちで決めるので苦労をしたとか。

ひとみさん:
「塩原さんは、換気や断熱などはすごく説明してくれるのに、塗装の段階になると急に突き放されて(笑)。『何色がいい?』と聞かれても、どういう色になるのか全然想像ができなくて、最終的には塩原さんに『塗ってから年数を重ねれば色が落ち着くよ』といわれて、じゃあ何色でもいいのかと(笑)」

終盤はお子さんが風邪を引いたことでひとみさんがDIYを離脱し、業者に依頼した部分もあるそう。それでもLDKなど、目に付く部分は自分たちで塗ったそうです。

正明さん:
「終わったときは達成感というか、義務感からの解放がすごかったですね(笑)。なんとか終わらせたぞ、みたいな」

ひとみさん:
「気付いたら途中で塩原さんのことを『塩原先生』って呼んでいましたもんね。『先生に怒られちゃう!』って(笑)。でも、塗りムラを見ると自分たちで塗ったんだなと、ふとよぎりますし、この脚立に上ったなぁという思い出も塗らないと一切ないですよね(笑)。だから、愛着は深まったかな。ただ、Reborn自体はすごくおすすめなのに、DIYで苦労した分、知り合いに勧めにくい(笑)。この覚悟が果たしてこの人たちにはあるかと考えると、下手に勧められません(笑)」

とはいえ、DIYで塩原さんに感謝していることも多いそう。年末に引き渡しとなり、塗装が終わらなかったご夫妻は年末年始にかけて“補習授業”のように塗装をしたそうですが、なんとRebornが年末年始休暇に入っている間に塗料が切れてしまったのだとか。

ひとみさん:
「塩原さんが休みだとわかっているのに連絡して、申し訳ないことに、ご実家に帰省する朝に届けてくださって。ほかのハウスメーカーの営業さんなら多分対応してくれませんよね。そもそも塗る作業もないと思いますけど(笑)」

正明さん:
「塩原さんにはめちゃくちゃ失礼なことをしました。でも、困ったことがあれば塩原さんに頼れる安心感はすごくありましたし、なんでも話せましたね」

ちなみに、DIYは陰ながらご近所さんも気にかけていたそうで、完成時は「ついにできたんだね!」と話しかけられたそう。

ひとみさん:
「知らぬ間に見守っていただき、塗装中も見知らぬ方から『塗っていて偉いね』と話しかけられたり。『職人じゃないのかい』とも驚かれました(笑)。二度とやりたくはないですけど、いい経験になりましたね。もう一回この家をつくれといわれたらちょっと嫌だけど、手伝いなら楽しくできると思います(笑)」

▲施主支給の照明なども必死で選んだそう

▲階段の照明は荷物運びに邪魔にならないように薄いタイプに

使い勝手がよく冬も暖か。日々にはひと工夫も

では、実際に暮らし始めて1年経った現在の住み心地はいかがでしょうか。

ひとみさん:
「使い勝手は全部いいですよ。今は和室で家族全員が寝ているので、1階で完結するのが楽です。仕事から帰宅して、バタバタしながらご飯を作っている間に子どもたちは騒いでいますが、2階に行かれるとストレス三昧ですけど、和室やリビングの目の届く範囲で遊んでいるのがいいですね」

また、子どもたちが靴下も履かずに過ごしているのが、今まででは考えられないのだとか。ひとみさんの実家は冬場、雑巾が家の中で凍るほど寒かったのに対し、現在はパネルヒーターを時々稼働する程度で冬は十分だそうです。おかげで、風呂上がりも暖かくて楽なのだそう。浴室からリビングまで、子どもたちは裸で颯爽と走り抜けているといいます。アパート暮らしで悩んでいた結露も全くなく、むしろ乾燥対策が必要なほどだとか。

一方で、想定外だった立地上の難点も。隣地のほうが土地の高さがある分、ちょうど玄関ホールの窓を通して隣家の2階からLDKが見えてしまうそうで、浴室から裸で出てくる様子が丸見えになってしまうのだとか。これは玄関ホールとLDKの間にカーテンを設置することで対策をしました。

また、もうひとつの難点が、トイレのドア。開き戸にしましたが、実際に使ってみると、子どもたちが思いっきり開閉することで指を挟んでしまったり、浴室と近いこともあるため、ドアの開閉が空間を邪魔しないスライド式の引き戸のほうが便利だったといいます。

ひとみさん:
「浴室はスライドにしたので、トイレもスライドドアだとより生活はしやすかったかな。歳をとってからも楽だったかもしれません」

一方、正明さんは無事、数カ月前に諏訪市から長野市へと転勤になり、同居を始めたそうですが、そんな正明さんが用途として困っているのが、キッチンカウンターのニッチ。

正明さん:
「塩原さんが『調味料置き場にはするな』と遺言を残していったんですけど、じゃ、何を置くんだよ! と(笑)。可愛くていいのですが、正解がわかりません(笑)」

なお、夏場の冷房は階段部分に設けたエアコン1台のみですが、階段とLDKの間に空気の壁ができて1階に涼しい空気が降りて来づらいため、扇風機で送風して空気循環を図っているとか。生活に困るほどの暑さにはならないそうですが、それでも現在は季節ものなどを飾っている階段上のスペースを吹き抜けにすると、空気の流れもよくなったのではないかと感じているとのこと。Rebornの規格プランを考えている読者の方はぜひご参考に。

▲回り階段の上の壁に設置されたエアコン

▲階段上の空間を吹き抜けにすると空気循環が図れるかも…? とご夫妻

塩原さんのブログを家づくりの参考に

最後に、これからRebornで家を建てる方へのアドバイスを伺いました。

ひとみさん:
「規格住宅は自分たちの意向は反映できないと思っていたのですが、家具や建具まで案外リクエストを聞いてもらえるので、早めに考えておくことがおすすめです」

また、おふたりが口を揃えて勧めるのが、塩原さんのブログ。

正明さん:
「ブログを見ておくと、自分のなかで納得感が出ますね。こういう理由でこうなっているのかとか、DIYの最中も職人さんたちと顔を合わせて『今ここをやっています』と聞くと、ブログで見たなと理解できました」

ひとみさん:
「ほかのハウスメーカーは、揉め事を避けるためにも職人さんが施主と喋ってはいけないところもあるらしくて、必要最低限の会話しかないそうですが、Rebornの職人さんは話も面白くて、ブログにそういう情報も書いてあって、いろいろとブログから伝わってくるのがいいですね」

どうやらひとみさん、父だけでなくご本人も塩原さんのブログファンだそう。

「すごく読んでいましたし、塩原さんのスケジュールすら気にしていました。なんか試験があるようだから、あまり聞かないほうがいいかな、とか、頼み事があるときはとりあえずブログを見て、塩原さんがどんな状況か確認していました(笑)」

だからこそ、塩原さんの動きがよくわかり、休んでいるのか心配になったそう。

ひとみさん:
「点検などのメンテナンスも全て塩原さんがやってくれているので、塩原さんがいなくなったら、うちのメンテナンスはどうなるんだろうって(笑)。だから、塩原さんには健康でいてほしいですね」

こうした取材中も、1年点検で訪れていた塩原さんは着々と作業を進め、天井裏や床下をのぞいたり、水回りを確認したり。興味津々でついて回る子どもたちが実に楽しそう。今後、3年、5年、10年点検…と、まだまだ長いお付き合いとなるご家族のためにも、塩原さん、これからも健康管理に気をつけながら、無理なく頑張らないといけませんね。

記者感想

「暮らしのことば」はお施主さんにざっくばらんに家づくりの感想を語っていただくのですが、毎度取材のたびに感じることが、お施主さんと塩原さんとの厚い信頼関係です。まず、今回はRebornの1年点検に同行しての取材でしたが、塩原さんが近くにいても東福寺さんご夫妻は遠慮なく塩原さんの人柄をありのままに語っていましたし、塩原さんは塩原さんで取材に聞き耳を立てることなく点検に取り組んでいて、お互いに信頼を寄せていることが感じられました。塩原さんの後をついて回る子どもたちの様子からも、気の置けない間柄であることがわかりましたし、ご夫妻の年末年始に塗料がなくなってしまったエピソードも、きっと塩原さんを頼りにしていいたからこそ、無理を承知でお願いできたのでしょう。
そして、グラスウールについて言及したり、換気システムの話をしたりと、東福寺さんご夫妻が塩原さんのブログを読み込んでいたことも伝わってきました。マニアックなブログだからこそ読者を選びそうですが、東福寺さんはもちろん、どのお施主さんもその内容に納得したからこそ、安心して塩原さんに家づくりを任せているのでしょう。特に東福寺邸は「規格プランそのまんま」とのご夫妻の言葉からも、丸ごとRebornの家づくりに納得し、気に入っている様子が感じ取れます。
それにしても、同じ規格プランでも、完成した住まいも家づくりも十人十色。おかげで、毎回「暮らしのことば」もかなりの文章量になってしまいます。ここまで読んでいただいた読者の方は、さぞかし情報豊富でディープな塩原さんのブログに読み慣れているファンの方なのでは。少しでも、皆さんの家づくりの参考になれば幸いです。最後でお読みいただき、今回もありがとうございました!

ライター:合同会社ch. 島田浩美

写真:FRAME 金井真一

東福寺様
小布施町 東福寺様
家族構成夫・妻・長男・次男
敷地面積216.67㎡
建築面積65.40㎡
床面積1階:62.10㎡ 2階:52.17㎡
延床面積114.27㎡(34.62坪)
竣工2019年
断熱床: 高性能グラスウール16K 140㎜+付加断熱105㎜=合計245㎜
壁: 高性能グラスウール16K 105㎜+付加断熱100㎜=合計205㎜
天井:グラスウールブローイング18K 300㎜
家のスペックサッシ:シャノンウィンドーⅡs 樹脂枠 アルゴンガス入りLOW-Eトリプルガラス 樹脂スペーサー
換気:第3種セントラルダクト方式 日本住環境社ルフロ400
暖房:PS温水パネルヒーター暖房システム9台 FF式灯油式ボイラー(室内設置 )
冷房:壁掛けルームエアコン2.8K 1台(2階階段室)
屋根:ディプロマット
外壁:西洋しっくい左官仕上げ
内壁:ドイツしっくいローラー塗装(DIY)
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