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独自視点で見学会会場を見渡してみる

2023.05.06|見学会
塩原真貴

4/29,30,5/1 3か月分しゃべり続けました(*´з`)

(須坂市上町・完成見学会)

前回の見学会は1月下旬でしたから3か月ぶりの開催。

ようやく、ようやく、普通に開催できるようになった感があります。

3日間で18組がご来場。初対面の方も半分くらいでしたが、ここ数年の建築費高騰の影響はこれからかなり深刻化しそうな雰囲気です。

といいますのも、坪単価100万の壁は依然として厚く、確かに存在しているようで、

性能の高いモノ、自然素材でたしかなモノ、長期にわたって愛着をもって使えるモノ

それらイイモノは分かるが、やはり収入はさほど上がっておらず・・・

つまり物価の上昇に賃金が追い付かず状態であることを耳で感じた見学会となりました。

我々設計者・技術者としてはお客さんのため、社会のためにイイモノを残したいですし、

そのために様々な勉強をし、仕事の幅を広げ、挑戦もしてゆくわけですが、

あまり現実とかけ離れた金額設定にするわけにもいかないと思うのです。

資本主義の世の中は適度な競争がないと機能しないのは分かりますが、過当になれば企業は宣伝広告費・販売促進費はあがり続けやがて疲弊します。

—果たして賃金はあがるのか?

私も経営者の一人ですから、スタッフの賃金をあげねばあげねばと常に考えています。

ただ、さすれば当然建物に価格転嫁しなくてはならないわけで、ますます家は高くなります。

我々工務店がつくる住宅は、けっこうな割合を人件費が占めておりますので、果たしてどのくらい高くなってしまうのか、それは顧客に受け入れてもらえるのか?

積算作業をしながら悶々とする日々がここ数か月続いています。

 

4帖の玄関。こじんまりした下駄箱あり。

4帖の玄関。こじんまりした下駄箱あり。

あまりシリアスになると体に毒ですから、見学会会場の写真を張り付けながら、塩原的視点で解説を加えていきたいと思います。(見学会期間中に解説用動画も撮影しました。またいずれYouTubeでアップされることでしょう)

今回のこの家、31坪規格PLANではあるのですが、建築主のAさんは登山がご趣味ということで(まだ登山に誘われたことはございません。今度誘ってね。平日希望ですが・・・汗)、「玄関に土間収納をぜひに」というリクエストがありました。

「規格PLANなのでそれはちょっと・・・」

と普通の営業マン(設計士)だったらバッサリなんでしょうが、

”そんなこと優しい優しいシオハラさんは言うはずない”、という目に見えないプレッシャーというか熱い視線を受けまして・・・。1回だけならとアレンジしてみました。

この家のメイン注目点の一つだったんですが、あいにくRebornの見学会用グッズで埋まてしまいバックヤード状態です(笑)

昨今は「シューズクローク」などと呼ばれる玄関に付属の納戸的物入ですが、このお宅では玄関ホールを横長に4帖とり、あえて隠すことなく可動する棚板を並べまくります。

すこしでも広く感じるようにと勾配天井とし、さらに間接照明の採用。ちょっとお金かけてます¥

玄関ドアの内側って、けっこう穴場なんですが、この家では、最高級チーク材の凸凹パネルを。

さりげなくおそろいの木製FIX窓、それにロック部分にスマートロック(スマートフォンで開閉する)も付属させてます。

ただでさえ重い断熱木製ドアなのですが、過去一番重かったか。

積み込みの際、そして現場に降ろす際、わたしは2回もこのドアを運びました。

体感的におそらく100kgは余裕で超えてるww。たぶん140kgくらい。

2人でウンウン言いながら運ぶんですが、もう限界すれすれって感じ。

一人あたり70kg~うん、妥当なところだと思います。自分の体重分しか持てませんから普通の人は。

あ、ばらしちゃったww

そしてこの玄関ホールにあるパネルヒーターがけっこうお気に入り◎

製造元のPS(ピーエス)って会社のセレクト用カラーサンプルに「ネコヤナギ」とある色。

ほんのり緑の若草色なんですが、このネーミングセンスには感心させられる。

ほかの色には「ウスザクラ」や「クジャク」なんてのがある。

「ラビットグレー」とか「ニゲラ」なんてのもある。

バードウオッチングか登山とか散歩が好きな方がネーミングしてるんでしょうね、きっと。

気になって「ネコヤナギ」をウィキペディアで深堀りしてみた。なんだか分らんがホッとするww

Rebornの家は全棟無垢のフローリングですが、一番人気はやっぱりナラ。

1年前からフローリングは国産材化へシフトしておりまして、北海道産の乱尺巾広(W=12cm)のナラが7割ほど採用されてます。フローリングはそう簡単には変えられませんから、一生ものだと思ってこれまでもつくづく良いものを探してきました。30年近くこの業界にいるんですが、ようやく巡り合えたような気がしています。

今年の9月には生産者の方に会って工場見学、さらに実際にそびえたっている森に行くことを画策しています。

ちなみにこちらのお宅では、キッチンにもLD同材のナラを貼っています。

昨今ではPタイルとかCF(クッションフロア)のようなビニール素材の床を水廻りに採用するのがノーマル、スタンダードだと見学会来場者に語気強めにいわれました。

「もっと木の持つパワーを信じましょうよ」と軽くいなすのですが、果たして私の自宅キッチンはコルクタイルです(笑)

あー、いえ妻の命に従ったまででして・・・(*_*;

このお宅でも打合せ時にけっこう悩んでいましたね。最後は「MOKUTOを塗って信じよう!」となったんですが。

 

何年ぶりでしょうか。3年?

久しぶりにTOTOのユニットバスです。

このドアの脱衣側にタオル掛けが付いてるのイイよね~。

床の柔らかさとタイル調目地が賛否両論。真っ二つに割れるんですよねー。

ミラーなし、小タナなし、ジャグジーなし、窓なし。

清掃性を最重要視した感じで、これは最近の自然発生的トレンドです。

トイレの手洗い器に多くの人が反応。

といれたす」という通販でAさん買ってきた。

水道屋さん、若干額をぴくつかせてつけてみた。

「配線むき出しなのぉ~?」と約10人の方にいわれました。

「はい。むきだしですがなにか?」

と答えるしかないんですが、なにか?(笑)

自動水栓で直径20cmくらいの小型の手洗い器で探したみたいです。

評価のほどはこれからですが、周囲の壁に珪藻土をいっぱい塗ってありましたよー(^^)/

 

ここ数年使い続けたインテリア備品も今回一新。

インテリアの基点はやはりダイニングテーブルですが、そこに添えられるチェアー、ラグ、そしてグリーン。

無垢の木とマットなホワイト(しっくい)は、とんでもないことをやらなければ無難におさまります。

テーブルは1.6m×0.9mとちょっとゆったり広めな桂の無垢材2枚剥ぎ合わせ。

こういうのはイッピンモノでもあるので値段設定が難しいですね。

来場者の方に「いくらなら買うか?」というような質問をぶつけてみましたが、

やはり物価が低い日本なのか・・・、私が思っている金額の半値くらいが大半でした。

安いモノやサービスに慣れてしまった日本人の金銭感覚は、多くの手仕事職人を失うことになっていますよおとっつあん!

2階には丸テーブルと丸スツールを。

こいつを先ほどの玄関土間に置くのはどうか。

玄関を単に靴を履き替える場所、モノを仕舞っておくところ、という概念を変えようじゃないか。

フローリングは年中、常に触れるところ。

テーブルやいすもその次に多く触れるところなんだからサ、やっぱり無垢材=本当の木がイイよね。

スツールひっくり返してみたら、なんだろう・・・。母性本能なのかな?

涙目でこっちを見て抱っこしてほしいとアピールする幼児に見えないか!?

いかんいかん。

これじゃ完全に変態だと思われてしまう・・・。

こういう木のちっちゃい椅子って何かと便利で、一生、いや3代に渡って使えると思いません?

私が勝手につけた値段設定は税込み¥38,000!

これまた桂の座面に、タモの脚で出来ておりまして、なんだろ、超気持ちいい座りごこち♡

 

階段1段目のつま先が当たる板(=蹴込板[けこみいた])がないのは何だかわかりますよね?

8割の人が正解を答えてました。あやつの回遊動線です(笑)

これから日本の家にはアヤツがはびこるんでしょうね。

最近は新築計画の打合せ中に、ほとんどの方がアヤツの巣をどこにするか検討します。

「メカにすんなり」が若い建築主の頼もしい所。

スマートフォンを随所に活用した住宅に、すでに私は取り残されているのか?

かろうじて追いついているのか?

部屋間換気扇=エアパスファンもスイッチポッドなるON-OFFリモート化(Bluetoothにより)で運用するそうで、

もはやこの辺りの横文字が分かるかどうかのすれすれの昭和48年生まれの私ですが、この家をつくった棟梁の服部さんは今年68歳なんだどー!(^<^)

32歳の建築主のAさんは、DIYでこのドア用小窓をつくるために、服部大工に工具を借りてましたな。

これからの家づくりにおいて、施工者と建築主のよき関係とは、こういうことで良いのではないだろうか。

明治-大正-昭和 とゆる~く進化してきた木造住宅と、ここ10年で急激に我々の生活に入ってきたITハイテク機器。

それらがちょうど混ざり始めた令和。

上手にお互いが分離することなく混ざればおいしいカフェラテができるはず。

ローソンのアイスカフェラテ、お腹Pに度々なりますが、大好きです。

 

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