ところで断熱材っていったい何でできているんでしょうか?
共通して言えることで、実のところよく理解できていないのが、「断熱材は動かない空気でできている」ということです。
みなさんがよく知っているのはグラスウール。あのピンク色や黄色い綿状のものですね。安くてキチンとした施工をすればきちんと性能が出せるいい素材なのに、”チクチクしていやだ” とか、”今さら古い!”、なんて言われて嫌われているようですが、最もコストパフオーマンスがよく、火災のときも有毒ガスが出ない・延焼を防ぐことができるという優れた特徴を持っています。
また、つぶれても元に戻るという復元性も優れた特徴です。素地はその名の通りガラスの繊維がその材料です。原料は主に空きビンをリサイクルして製造されています。あとは石油由来の発砲スチロールのようなものや、場合によっては梱包用のプチプチシート、なんて思いつく人もいるでしょう。ロックウール、セルローズファイバー、ポリスチレンフオーム、ウレタンフォーム吹き付け、天然の羊毛、木の繊維を板状に成形したものなどなど、非常にたくさんの種類のものが世に出ています。
そしてそれらはすべて、動かない空気を形作るいわば容器のようなものです。
グラスウールやロックウール、セルローズファイバーなどの繊維系と呼ばれる断熱材は、細い糸状のものが絡み合って、動かない空気を持ち運び可能としています。ポリスチレンフォームやウレタンフォームなど発泡系と呼ばれる断熱材は、そのボード状のマットに小さな空気カプセルが無数に閉じ込められています。そしてさまざまな厚みや固さ(密度)のバリエーションがあり、一見大きさも厚さも同じように見える発砲スチロールも、実は重さがまったく異なったりと、本当に多種多様です。
建物の部分部分で最適な工法が採用できるようラインナップされてることは私たち建築技術者にとって大変ありがたいことなのですが、同時に金額にも大きなばらつきがあり、最終的にはコストバランスにより断熱材を選定していくことが大切になってきます。
繊維系、発泡系ともにメリット・デメリットがあります。そのことの説明についてここではお伝えしきれませんが、結局はその断熱材の性能を100%引き出すことができるようそれぞれの施工方法を理解したうえで、丁寧に、妥協せすまじめに取り組むことが大事だと思っています。どのような断熱材を用いてもいいということです。