風船を膨らませて、そのまま冷蔵庫でしばらく冷やしてください。どうなると思いますか?そう、数分後には風船は縮んでいます。空気は冷えると収縮し、温まると膨張するものですね。
丁寧に施工された住宅は、当然隙間風が入らないように施工されています。壁に設けられたコンセントやスイッチの配線で、とかく隙間ができやすいところにも配慮します。
気密性を高めること(=いやな隙間風をなくすこと)は、冬暖かい家にすることの必要条件です。室内で温められ膨張した空気は、当然ながら気圧が高い状態で、屋外(気圧の低い場所)へ向かおうとします。
目では見えませんし、風も感じません。暖かい湿った空気は常に外へ出ようとしています。壁の中にその空気が大量に入って、外に出にくい構造にしてしまうと、最悪の壁内結露が起こります。床の巾木あたりが濡れている、フローリングやクロスがカビてきている、という症状が起きた場合は大抵壁の中はひどいことになっています。きのこが生えている場合もある程です。
適切に断熱気密された施工は、万が一壁の中に湿気を含んだ暖かい空気が入ってしまったとしても結露を発生させない仕組みをとっているはずです。
隙間は無いに越したことはありません。
しかし100%完全になくすことは無理で、私は床面積1m²あたり2cm²程度までは許容としています。
長野県で平均的な35坪(115m²)の家は家全体で、115×2=230cm²までが許されるということです。
230cm²を正方形に換算すると約15cm角の大きさになります。円形に換算すると直径17cmです。
釘穴などほんの小さな穴もあちこちにあるでしょうから「まったく隙間をつくらないぞ!」という意識で気密工事をしなくては達成されない数字だと思いませんか?
気密性能を計る手段として「気密測定」があります。気圧差を元にコンピューターを用いて建物全体にどのくらいの隙間が存在するか調査します。(測定費は5万円ほどかかります)また、簡易的な手法として、冬寒い日に、換気用の穴をテープで目張りして、キッチンのレンジフードを最強運転。外に出てゆく空気と同じだけ空気が室内に入ろうとしますから、線香を片手に持って家中あちこちを回っていきます。窓の周辺や床の巾木周辺に線香を近づけてみてください。気密の弱点となっているところがおおよそ特定できます。引き違い窓の障子召し合わせ部、断熱材が入っている外周の壁にあるコンセントやスイッチ、水や湯、排水などが床や壁に貫通している箇所も隠れて見えなくなる前に要チェックです。
また「床下や屋根裏空間と、壁内がつながっている」ことも断熱材が効かなくなる、陥りやすい落とし穴です。
「そんなことして時間ばっかりかけやがって!ダンネツなんてどうせ見えないんだからさっさと終わらせろ!」そんな風に言い合っている大工さんたちも目にしてきました。
そりゃあそうです、断熱材なんて壁をふさいでしまえば見えっこないですし、「とりあえず断熱材を詰め込んで、早く石膏ボード貼っちゃえばあとはカンケーない、丁寧にやっても雑にやってももらえるお金はおんなじさ!」そんなふうに大工さんたちが感じてしまっても不思議はないのです。