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築150年の古民家断熱改修

2013.06.03

この春、長野市信州新町で、築150年という古民家の断熱改修をお手伝いしました。 知り合いの工務店社長が、工事を計画する段階で、「どうしたらいいか?」相談に来られました。どのような考え方で進めるかを、現地で調査しました。 かつては養蚕に使われていたという、良く目にする2階です。今はただの物置として使われています。 ある程度建物も歪んでいますし、間仕切り壁もほとんどないので、耐震上はかなり心配です。     このたび、この2階に若夫婦世帯を迎えるというのが動機の一つです。 窓は木製で、結露なんか絶対にしないほど隙間だらけ。       そしてもう一つ、こちらの居間。 数年前にクロスを張るなどの模様替えリフォームをしていますが、天井高が2.1mとかなり低く、思い切ってここを吹き抜けにしたい!どうしてもしたい!という熱い想いを伝えられました。     外観です。どこにでもあるような古い民家です。南側には大きな窓がびっしりと並び、耐震上も問題がありますが、シングルガラスなので、冬は光熱費がものすごい。 サッシの交換と耐震上有効な壁が必要です。   予算のことも当然ありますが、2階に断熱された部屋を3部屋とることが最優先となりました。 また、暗く圧迫感のある居間を耐震性を確保しながら、どう吹抜け空間とするかが大問題となりました。 これまでの経験を踏まえ、設計面・構造面でアドバイスさせていただきました。 以下、設計主旨を説明する手書きスケッチです。 最終的に大工さんへの指示書にもなったそうで、現場監督さんに好評でした。                     居間の天井を撤去した様子です。   構造用の梁もすべて撤去します。一気に明るくなります。       これはこれでいい雰囲気ですが、1階の梁下で1.9m程なので、やはり撤去ですね。         2階の床組です。既存の床はほとんどあてになりませんので、ツーバイフォー工法的に、床組を構成します。         外周の柱と、1階に柱がある梁の上だけが頼りです。ここを支持点にします。防音と暖房の効きを考慮し、1階と2階の境の床にも断熱材を入れました。         粗床合板の上に、あらためて壁を構成していきます。つまりは2重の外壁になります。要所要所で既存の柱と緊結し、一体性をもたせています。 2階のこれまでの大空間の中に、もう一つあらたに箱をつくる感覚です。     外周に面する壁には、当然断熱材を充填します。高性能グラスウール16k を100mm厚。 問題は窓の周辺です。         地震の際に有効である構造用合板を全面に貼ります。防湿層を兼ねています。 天井もツーバイフォー工法の応用です。金物固定とし、箱状になることを意識しています。     吹抜けに面する廊下です。           最終的にはこのように仕上がりました。           クロスで仕上がった2階の部屋です。 どうですか? 変わりましたね~。       吹抜けのある居間もご覧の通り。 まったく違った家になりました。         外観もずいぶん変わりました。 サッシも交換され、壁も増えました。         お施主さんにもずいぶん喜んでもらえたそうです。 リフォームをする際は、断熱性・耐震性の向上ができるビッグチャンスです。 行き当たりばったりではなく、綿密な調査と、工法や手順まで明確にされた計画が非常に大事になってきます。  

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