このところ異常ともいえる寒波が続いています。暑い日は。「異常気象」とか、「地球温暖化の影響か!?」などとコメント付きでニュースになりますが、とっても寒い日は、「〇〇ぶりに最低気温を更新し・・」とか、「観測史上最低の・・・」と表現されます。寒い方については、異常、という言葉は使わないようですね。なんでだろ?
あまりにも順調だった、今回の改修工事。「あれぇ~、大概予期せぬことがこの辺で起きるんだけどなぁ」と思っていたら、最後の工事である、薪ストーブの設置時に、それは起きました。薪ストーブの背面に設けた、床下からの外気導入のための給気口パイプ。あらかじめ長めにパイプを仕込んでおいたのですが、このパイプが床下地面にくっついちゃってる・・・。
薪ストーブ&レンガ炉台造作担当の小野沢さんから、「ぱ、パイプがぁ~!」という連絡が入りました。連絡を受けた当初、床下に潜って切ればいいや、なんて思っていましたが、床下は大変狭く、実際のところ潜れません。このスリムな塩原でさえ(笑)
さて、どうする??お客さんに黙っておこうか?なんてことは決して思いません!
パイプの奥、約40cmをカットしたい!そんな作戦に役立ったのが、これ!
電気ドリルまたはインパクトドライバーに取り付ける、延長用のアタッチメントです。
そしてこいつに設備屋さんがよく持っている、塩ビの排水管を、内側からカットするインサイドカッターなるものを購入。
この写真は、お互いにくっつけた状態です。
ちょっと高かったけど、あの狭~い床下を、よく教育した子供を使って潜らせるくらいなら安いもんです(笑)!
これをインパクトドライバーに装着。
インパクトの先端にはLEDランプがついていているので、サイコーです!
いや~、良かった~♪
本音は、うまく行くかどうかの賭けでしたが、一発でぐるり、塩ビ管を切り取ることが出来ました。
そんなこんなで、無事すべての工事が完了!
12/9に、取り扱い説明や無垢なら材フローリングのメンテナンス方法などをお伝えをして、お引渡しを終えました。
この日は、今年初めての積雪に。
外は相当冷えていましたが、家の中ではお子さんたち、裸足でした・・・。
玄関ホールです。造作の下駄箱に飾り部分を設けました。左は、PSの温水パネルヒーターです。コートかけにもなっています。
玄関は土間風になっていて、障子を挟んで、10帖の客間に続いています。和風のテイストでまとめています。L字型に式台を設置しています。式台の下部は、お掃除が大変なので、あえてタイルで蹴込みを作って、靴やサンダルなど物が置けないようにしました。
以前は畳敷きの居間でした。天井は旧来のまま。パインの板壁とし、薪ストーブを設置しました。シーリングファン付の照明器具は、施主支給品。絵を描くことが趣味のお母様の絵などが飾られています。
右の本棚の最下段には、薪の2次ストック用のワゴンがあります。
改修工事前の居間の様子です。
ふすまで区切られた10帖の和室でした。これはこれで立派なのですが、床・外壁共に無断熱材でしたので、冬は相当寒い部屋でした。
お母さんは、木曽は南木曽の特産品である「ねこ」を着ていました。とても具合がいいそうです。私も噂には聞いていましたが、身軽で、なかなかいいものだと思います。辰野町に住む、お母さんのお姉さんが、わざわざ南木曽に買いに行ってくれ、厳選してくれたそうです。
キッチンは対面式になりました。冷蔵庫の奥には、さらにパントリー(食品庫)があります。
対面壁を利用しての収納ももちろん造作しました。
こたつが無いと落ち着かないそうですが、パネルヒーターもあるので、ヒーターは最弱で良いそうです。
対面式のキッチンは、家電や食器類がすっきり収納できます。ゴミ箱スペースもしっかり計画されています。システムキッチンはタカラ製。奥さまには何度となくショールームに行っていただき、決定したものです。タカラのキッチンはちょっと高いけど、一生使える、結果的にコストパフォーマンスのいい商品だと思います。
しおはら住宅デザイン設計のグリーンラック顔負けの、施主DIY薪ラックです。建築廃材をうまく使用しており、なかなか良くできています。
床がオーバーハングしていて空間になっていた部分は、ランバーテック社の杉に防腐剤を注入したデッキ材を用いて、外気を遮断しています。外の空間が、床下として扱われます。
以前はこうなっていました。
放射温度計で、いろいろなところの温度を測ってみました。
外気温-3℃でしたが、床や天井・外壁は18℃前後で安定しています。サッシのガラスは14℃程度。高断熱の新築住宅と変わらない断熱性能を、家全体で確保できたようです。
唯一寒かったのが、猫ちゃん用の出入り口。
樹脂サッシの下部に、プラスチックでできた専用部材を取り付けました。気密性がなく、外気が入ってきてしまいます。まぁ、大事な猫ちゃん専用連絡通路ですから、仕方ありません。
これ、参創ハウテックで9000円ほどで購入しましたが、結構優れもので、ロックが出来るのはもちろん、外からのみモード、内からのみモード、内外両方からモードと、開閉パターンが設定できます!!
隙間には、いちおうモジャモジャ(モヘヤ)がついているのですが、これが抵抗になって、ちょい空き状態で止まってしまいます。この辺り、課題ですよ~参創さん!(っていってもアメリカ製みたい・・・)
帰りがけにカメラを向けると、最高の笑顔をいただきました。
「おじちゃん、またねぇ~」って。
彼が、この家を、数十年後継いでくれることでしょう。
先日、郵便でチョコが届きました。
最高のクリスマスプレゼントです。
家宝にさせていただきます!
お盆明けからスタートした、小川村の断熱改修リフォーム。作業進捗に合わせたHPの更新を心がけていましたが、前回から1カ月も間が空いてしまいました。いつもご覧いただいている方、申し訳ありませんでした。従ってこの写真も約1カ月程前のもの・・・。外壁の塗装(キシラデコールのウォールナット色2回塗り)が終了しました。
このお宅は、これまでの40年間、たびたび増改築を繰り返してきました。大規模なものでカウントすると、今回で5回目。ここに暮らす施主に聞いたわけではありませんが、先人の残した仕事のすべてを見ることができるような、床壁天井ともすべてを直した工事だったので、読み取れました。
今回の「ばっちり断熱リフォーム」は、家全体に手を入れました。現行の次世代省エネ基準を上回る断熱仕様で、床・壁・天井にみっちり隙間なく断熱材で包み込みました。窓も、全箇所をアルゴンガス入りLOW-Eペアガラス+樹脂サッシに交換。また、これまで使用していた太陽熱集熱給湯システム(サンジュニア製熱交換タンク)はそのまま活かし、エコジョーズ給湯器と連結しました。
暖房には、灯油を熱源とした温水パネルヒーター全館暖房とし、さらに薪ストーブを設置。地元産の間伐材を薪として使用します。換気も第3種セントラル式で、パイプファンは中止とします。
断熱性UP・UP!+自然エネルギーの積極利用、というリフォームは、これからの見本になるであろうと思います。
また、大工+建具屋、という造作家具も随所に配され、インテリア性、効率のよい収納性も、ぐんとアップします。
これだけのボリュームのリフォームですが、金銭的にはどうなのでしょうか?
建物の寿命、という時間軸も関わるので、一概にはいえませんが、しおはら住宅デザイン設計の方針としては、同規模・同内容の工事をもし新築で建てたらいくらになるか?という観点で判断します。
・改修後の建物寿命が30年以上見込めること。
・基礎や躯体などの構造主要部が、震度6強程度の地震に耐えうるものであり、建物が倒壊しないこと。
・そして、解体し、同規模の新築をした場合に想定される建築工事費の1/2以下の費用で出来ること。
この3点を判断の軸としています。
そして、生活してゆく上で最も大事な、ランニングコスト。
これまで、「着込んでガマン!」、の部屋ごとファンヒーター局所暖房だった生活空間から、全室20℃前後の春のようなのびのび室内空間をつくるのですから、相当断熱性能を上げないと、これまで以上の灯油消費量になってしまいます。
確かにガマンをしなくて快適なのだが、お財布にやさしくない、これでは困ります。
これ、実は、次世代省エネ基準クリア程度の断熱性能では、ありがちな話です。かといって特にリフォームの場合、なかなか断熱材を厚くできない・・・。イニシャルコストもそこまでかけられない・・・。
私は、そんな時、薪ストーブが活躍できる!と考えています。特に間伐材を安く入手し、良く乾いた薪を使っていただくことがポイントです。主暖房で薪ストーブを使うのはもちろんOKなのですが、トイレやキッチンなど、薪ストーブから遠い箇所はどうしても寒く感じます。また、常時薪ストーブを使用できる家庭も少ないでしょう。
全館温水パネルヒーター+薪ストーブ(薪を安価に入手)で、積極的に薪ストーブを使用する、これが現段階での一つの、断熱リフォームにおいて目指すべきスタイルだと思っています。
先日、薪ストーブが設置され、試し焚きが行われました。
寒くない空間で、炎を見ると、みな、笑顔になります。わくわくします。
10月5日から解体してしまった水廻り。住んでいるお母さんには長らくご迷惑をおかけしておりました。工事も終盤に突入!
浴室を解体したら、土台と柱の一部がやられてた・・・。どうやら白ありではなく、黒アリにかじられた模様。
解体後、土間コンクリートを打った直後です。
解体前はこんな風でした。
冬は、いかにも寒そうですね。
ユニットバスの天井裏には、24時間換気扇=JBECK社のダッチマン11がつきます。
外壁にも当然、断熱材。高性能グラスウール100mm充填+防湿シート。
土間には、スタイロフォーム3種B断熱材を。これで明日のユニットバスを待ち受けます。
大工さんチームは、別の場所で天井下地の石膏ボードを貼っています。
外壁も塗装が始まりました。
今回はキシラデコール、ウォールナットです。塗装職人さんは、建築主であるOさんのご親戚の方です。
工事中ではありますが、お風呂はすぐに使えるよう、ボイラーを付けました。エコジョーズです。
明日にはお風呂に入れるようになります。
陽の入りが日に日に早まっていますが、仕上がってゆく愉しみを感じつつ、現場は夜7時ごろまで頑張っています!
宅建試験が終わりました。これでようやく少し余裕ができます。見積や設計をお待たせをしておりますお客様、申し訳ございません。明日からマキマキでいきますんで、お許しください。
久しぶりに小川村の断熱リフォーム改修現場のレポートです。
秋晴れの中、外壁が着々と仕上がっております。薪ストーブ用の煙突も見えます。
外壁の板には、キシラデコールの濃いこげ茶で塗装を控えています。
明日には千葉県は銚子市に出張という、応援大工のサイトウさんが、一人で黙々と木をいじっています。2週間程応援に来てもらっていました。
屋外の臨時キッチンです。現在、キッチンとお風呂を改修工事中のため、住んでいるお母さん、お風呂は近所の公衆浴場へ行ってもらっています。65歳以上は50円なんですって!小川村って、やさしいな~。
お母さん、しばらく勘弁してね!
キッチン・ダイニングゾーンでは解体が進んでいます。基本的に土壁なので、解体作業は結構タイヘンです。産廃は分別処理が原則なので、木舞竹と土を切り離す作業を大工さんがしてくれています。
Y電気さんは、ほこりもうもうの中、先行配線を実施中。
大工さんって、ほんと何でもやらなきゃいけない。分業ブンギョウになっている昨今ですが、現場の中心は、やはり大工でしょう。最近では日当が12000円とか15000円とかになっていますが、さまざまな作業を担当し、道具もたくさん揃えなくてはならないので、大工さんは18000円以上はもらってもらわねば、と感じています。
住みながら改修工事は、そこに暮らしが常にあるので、最小の負担になるようにしなくてはなりません。一般的には、アパートなどで仮住まいしてもらうようですが、今回は、部屋を仕上げながら移り住んでもらうジプシー方式をとっています。
廊下の天井には、24時間換気扇用のスパイラルダクトも配管されました。
いよいよ佳境です。朝晩はだいぶ冷え込んできました。あと2週間が勝負です!
と、そんな時に、鍋内大工さんから「お風呂を解体したら、土台と柱の一部がアリに食われてるぅ~」との速報がありました。解体の最終部位で、ついに出てしまいました。
今朝の軽井沢は6℃台だったみたいですね。いよいよ冬の気配が漂いつつの秋ですが、皆様いかがお過ごしですか?私はおかげさまで、ここ小川村の住宅省エネ改修工事&グリーンラック製造に明け暮れています。そして来年の工事計画を水面下で進めつつ、食欲の秋、読書の秋、そして受験勉強の秋を満喫しております。
外壁が仕上がってきています。米杉(ウェスタンレッドシーダー)ざらざら板です。塗装はウォールナット色で、ダークなイメージになる予定です。
気候が良く、効率が上がっています。
この板を私は頻繁に採用しているのですが、上野住建さんからの仕入れ品がぴか一だと感じています。長さが4m程度ですが、仕入れ先によっては金額は変わらないのに、乱尺(らんじゃく)といって、長さが90cm~3m程度で、バラバラに入荷してしまうこともしばしばあります。それはそれで森林資源利用の観点からは仕方のないことかもしれませんが。
リビングはすっかり生まれ変わりました。もともとは和室だったので、欄間やふすまといった和のテイストが色濃く残っていますが、旧来からのデザインを残しつつ、いわば和洋折衷で、断熱性能を飛躍的に上げることが目的です。次世代省エネ基準は楽々クリアする断熱性能を持たせています。ふすまは工事の終盤で張り替えます。
ふすまを隔てた和室は、床・壁の改修工事を終え、ここに暮らしているお母さんの仮住まいの部屋になっています。
「床の間のある部屋で寝起きするなんて、まぁ~、贅沢だわ」とはお母様談。
お母さんの部屋は床が剥がされました。天井は屋根裏に別の箇所から入れますので、壊しません。外壁にも外張り断熱を施しましたので、内壁は壊しません。時間的に最短で復旧します。
お母さんから、お手製のにら煎餅をごちそうになりました。
もうこれは、1食分のボリュームがあります!1日4食になってしまった訳です。ま、いいでしょう(笑)
まだ手を付けていない茶の間で、職人さんらは休憩を取っています。あと1週間もすれば、ここも現場そのものに変わってしまいます。
ここは廊下の一部ですが、天井には300mmグラスウールがブローイングされています。信越ビーアイビーさんの工事です。こまめに現場に足を運んでくれて、丁寧な仕事をしてくれています。これで、寒い家には成り得ませんね。
内壁にはパインを主体に貼っています。大工さんの手間は食いますが、材料代は¥1200/㎡程度です。明るい板張りの部屋を求めるならば、コストパフォーマンスNo.1だと思います。
グラスウールやセルロースファイバーをブローイング(吹き込み)するには、このように専用機械を積み込んだトラックが必要です。
チップ状のグラスウールが圧送され、このホースの先から、勢いよく放出するのです。
今日で工事開始から45日。全体の50%程度進んだことになります。
これからいよいよ水廻りゾーンに進んでいきます。
お母さんは、「外の音が、まったく聞こえなくなった」と、おっしゃっていました。
住みながら省エネリフォームは、本当に奥が深いと感じます。想像や予測の精度が大変重要ですし、その場その状況に応じた、的確で効率のいい施工方法を編み出してゆかなければなりません。同時に今回の工事の履歴情報を蓄積してゆき、将来のリフォームにもつなげてゆく責任もあるのだぁ、と思いながら、この記事を書いています。
長野県をかすめた台風も、農作物などに大きな被害がなくて良かった!期待された、台風一過の晴天!ではありませんでしたが、小川村O様の現場も何事もなく一安心。鍋内大工さんは、台風が来ると知って、外部タイベックのままになっている壁に、胴縁を打ちつけてくれていました。ありがたし!
サッシがつきました。定番のシャノンウィンドウ、樹脂サッシです。もちろんLOW-Eガラスです。これまでのサッシと置き換えの部分がほとんどなので、特注寸法ばかりで、納期がかかりました。
サッシを取り付ける際にも一工夫があります。EPDMという発泡ゴム素材のパッキンを、あらかじめサッシのつばの部分に貼りつけた上で、サッシを取り付けます。日本住環境のリーチ33、という商品です。将来何十年にも渡って気密性を確保するためのものです。片面がシールになっています。
サッシを取り付ける大工さんにとっては余計なひと手間にも受け取れましょうが、気密性能や防水性能がアップし、お客さんのために、という気持ちでやってくれていると思います。
サッシを取り付けると、がぜんやることが増えます。室内も室外も壁を仕上げてゆくことができるからです。
個人的な評価ですが、樹脂サッシは国内メーカーでさまざま用意されていますが、やはりシャノンが、構造の堅牢さではぴか一だと思います。
玄関では、マルワ信濃土建の職人さんが、玄関タイル用の土間コンクリートを打つ準備をしています。防シロアリの消毒をし、さらに防蟻用スチレンボード断熱材を敷き並べている様子です。
室内では、信越ビーアイビーの高橋さんが、グラスウールを充填していました。てきぱきと無駄のない動きです。無駄が出ないよう、いちいち寸法を取りながら、正確にカッターで加工してゆきます。
間仕切り壁の気流止め、と呼ばれる重要な部分です。
床下からの空気がこの壁の中を通るようでは、室内は冷暖房の効きが悪く、壁の中で結露する可能性も高まります。防湿シートと気密テープで塞いでいますね。手間のかかる工事です。
これからフローリングを貼る、ということで、鍋内大工さんは玄関の框(かまち)を付けようとしています。
壁、床共に高性能グラスウール+防湿シートが貼られていて、色合いのためなのか、いかにも「これはあったかい家になるや~」と感じてしまいます。
今年はやけにカマキリを見ませんか?この方、放り出しても放り出しても、ここに戻ってきます。
カマキリの卵が木の枝の高い所にあると、その年は豪雪になる、と聞いたことがあります。今度の冬はどうなんでしょうか?
今回も無垢のフローリングを貼ります。
ナラ無垢、オイル仕上げ。
坪14500円程度しますが、いつまでも飽きずに、気持ちのいい床に仕上がります。
本日最新の写真です。
実はこのホームページ、建築主であるOさんへの状況報告も兼ねています。
また関係業者さんたちも進捗状況を確認できるというメリットもあります。
ちなみに、上の写真の部屋、前はこんな感じでした。雰囲気ももちろん変わりましたが、断熱性能、つまり省エネ性能も飛躍的に良くなっています。
こちらも本日最新のものです。
巾2.6m、高さ2.2mという巨大なサッシがどうにか取りつきました。
ナラフローリングも貼り終わり、養生されています。
従前はこんな広縁が・・・・
玄関ホールに生まれ変わろうとしています。
熱くもなく、寒くもない、食べ物豊富でバリエーション豊かな秋!ああ、この時期ってサイコ~!
くどいようですが、省エネ住宅リフォームは春か秋がいいんです!
秋分の日、おみこしを担ぐ子供たちのわっしょい掛け声と、笛の音を聞きながらの書き込みです。小川村で工事が行われている、築40年の高断熱省エネリフォームも、おおよそ1/3まで進捗しました。佳境はこれからですが、この段階がとても重要です。いずれリフォームを考えている方は、よ~く見ておいてください。一般的な”みてくれ”リフォームとは全く異なります。
前回、床に断熱材を充填しましたが、構造用合板=粗床(あらゆか)を貼りました。これで作業性がぐんと良くなります。
数日後に、こことは別の部屋の解体作業に取り掛かりますので、荷物を移動しました。ブルーシートを被せてあります。
次の解体場所はこの部屋です。荷物を移動しました。この部屋は昭和50年代に増築をした部分です。4面ある壁面のうち、3面が外気にさらされています。また平屋(2階がない)なので、部屋をサイコロと見立てると、6面あるうち5面が外気にさらされているという、非常に苛酷な環境にあります。一方では、この部屋、南東に位置しているため、採光の面で、最も条件がいいともいえます。
早速解体が始まりました。
畳を剥ぎ取り、天井材を落とします。
天井・壁共にパーティクルボード基材にプリントシートが貼ってあるものでした。
奥の床の間は、お施主様いわく、「大工さんに勝手につくられちゃった」らしい。
袋入りの断熱材が壁や天井に入っていましたが、床下からの空気がこの壁を通っていたらしく、黒く変色していたり、ネズミのフンが大量に断熱材のなかに残っていました。
また、増築前にはこの断熱材箇所は引き戸になっていたらしく、鴨居より上は土壁でした。
翌日、この部屋は、こんなすっきり状態になっていました。このように懐のせまい天井裏は、なかなか断熱リフォーム作業が出来ないので、やはり天井を一度はぎ取る必要があります。
ここまで戻らなければ、きちんとした断熱工事は出来ません。
一方屋根の上では、薪ストーブ用の煙突の形が出来ていました。この屋根は瓦もどきの金属製ですが、その下には、旧来からの屋根もあり、重ね葺きしてありました。屋根勾配が2寸と、とても緩いので、丸い筒の煙突では漏水の危険もあるので、あえて角型の立ち上がりをつくり、その上に筒状煙突を取り付ける予定です。
この工事の計画時に構造計算を行いました。やはり南面に壁が不足していて、全体のバランスが悪く、このあたりが大地震時は危険区域です。一部柱を追加したり、壁を増設するなどの耐震補強を同時に施してゆきます。
外壁にも高性能グラスウールを充填しています。
床下から壁の中に空気の通り道がないこと、これが非常に大切です。
煙突部分、2階から天井方向を見ると、このようになりました。
煙突が通る部分は、不燃材である石膏ボード12.5㎜厚を貼ってあります。
この狭い所を、大工さん、頑張って貼ってくれました。
床下の湿気については、これまでにも度々ブログで書いてきました。やはり昔の家は、土そのものが床下に露出しており、立地条件や土の性質によって、また、換気が有効に働いていないせいもあって、カビてしまっています。
今回のO様邸でもしかりでした。土がかなり湿気っています。木部にもカビが・・・。カビ臭も結構あります。土台や大引き、根太の腐れをチェックしました。交換すべきものは、目をつむらずに交換します。
そして地面には防湿シートを敷込ます。
理想はコンクリートを打つのが理想ですが、乾かす期間がないため、また費用もかなりのものになってしまうため、白あり予防消毒を地面と木部に噴霧したのちに、防湿シートを丁寧に敷きます。
これで地面からの湿気は抑えられ、床下の木部は次第に乾いていきます。
さらに防湿シートの上には砂を敷きます。川で採れる洗い砂です。一輪車やバケツで運ぶ地道な作業です。これを敷き均し、防湿シートがめくれないようにするのと、砂が持つ調湿作用を期待します。
さらに大引きの下に、タイベックと呼ばれるシートを貼ります。このシートは防湿シートではありません。湿気を通す機能があるシートです。
高断熱省エネリフォームとしていますので、床には、大引き間に高性能グラスウール16K100㎜、そして根太間にはやはり高性能グラスウール16k55mmを充填します。これまでは断熱材が全く入っていなかったので、格段に改善されるはずです。
高性能グラスウールはピンク色です。
高性能グラスウールはガラスの繊維が、一般のグラスウール(黄色)に比べて細く、ふにゃふにゃ、というよりは「ゴワッ」としています。
そして16Kというのは、1㎥あたりの重量で、16kg/㎥ということです。
グラスウールはこのような袋に、きゅ~っと縮められて入っています。
パラマウント硝子工業のフルカットサン、という商品です。
この状態で、何も知らない人が来ると、「わぁ~なにこれぇ~。おもしろい床だねぇ~」とか言って、踏み抜きます。男性は特に痛がります(笑)。
2階では、はぎ取られた天井の上に、換気扇用のスパイラルダクトを配管していました。
このお宅は屋根勾配が2寸とゆるく、また天井裏が狭いため、このように天井を剥がさなくては作業ができません。
薪ストーブの煙突が抜ける位置にも、下地が出来ました。煙突の内部は石膏ボードやケイカル板(珪酸カルシウム)などの不燃材を貼って仕上げます。
見た目だけのリフォームに比べると、3倍くらいの根気が必要な工事です。大工、断熱、換気、暖房、電気、水道など、さまざまな業者間の連携、協力体制がなければ工事はなかなかうまくいきません。
今日は、まるで梅雨のような蒸し暑い長野でしたが、季節は確実に秋、ということになっているようです。
あす、あさってはお客さん総出で稲刈りのため、工事はお休みにします。
住みながら改修工事は、やはり秋がベストです。
工事開始から、約2週間が過ぎました。手を付けていなかった室内も解体工事が始まりました。
先ずは、南側の広縁です。
旧来の間取りにありがちな、巨大なサッシが連発でとりつけられています。そうです日向ぼっこをするあの場所。1間奥行きの広縁。あこがれ・・。
天井を解体すると、なにやらぽろぽろと粒が大量におちてきます。すべて鼠のフンです。
このあたりが改修工事のタイヘンなところであります。
外壁は、耐震&防湿用の構造用合板を貼り切り、外張り断熱用の付け間柱を止めつけてゆきます。
これによりサッシの大きさが決まるので、直角をきちんと取りながらの作業となります。
薪ストーブ工事を担当する小野沢さんです。
煙突の位置やその処理などについて下見に来てもらいました。
この日の前日まではフィンランドにて煙突掃除人の研修会に行っていたとのこと。
2階の天井を解体して、煙突の位置を検証しています。
合板の継ぎ目には気密テープ処理をし、気密を万全にします。この柱と柱の間に外張り断熱材=高性能グラスウール60㎜を充填することになります。
屋根裏の熱気を逃がす、通称矢切(やぎり)用の開口もあらたに設けました。
ねずみのフンと格闘しながらも、広縁部分の天井と壁の解体がだいたい終了。
構造体の健全性もチェックします。
そして今回、柱&壁を増やし、来たるべき大地震に備えます。
2階の和室です。この2階の天井裏にも断熱材が現在も入っていますが、袋入りのグラスウール100mmが、ざっくり並んでいるだけなので、思い切って、天井をすべて剥がして、防湿シートで気密・防湿をしたうえで、300mmグラスウールブローイングします。
屋根裏の現在、こんな感じです。
一般的な様子ではありますが、実のところ、このような断熱では、だめなのです。さまざまな構造体や天井を吊っている木材で、断熱材は隙間だらけに並んでいるだけです。さらに防湿シートが全面に貼られていないので、この空間に湿気を含んだ空気が逃げてきます。
2階の天井をはぎ取った直後です。松の曲り丸太の梁が1間間隔で飛んでいます。2階は以前養蚕作業場所だったそうですが、数年前にリフォームし、8帖の和室が2部屋あります。内装的にはとても手を加える程傷んではいないのですが、今回、子供部屋になるとのことですので、やはり断熱強化は必須なわけです。
昭和45年5月に上棟したんですね。棟梁の名前が墨で書かれていました。
当時の大工さんも誇りを持ってこの家に携わったことでしょう。その意思を引き継ぐべく、現在の断熱技術で、もっと暮らしやすい空間にしてみせますぞ!
外壁には信越ビーアイビーさんの工事で高性能グラスウール60mmが貼り付けられています。まるでパズルのようですね。根気がいる工事です。
屋根の上では、和田板金さんが、煙突貫通部の開口作業をしています。
断熱材を外壁に貼りつけた後は、タイベックシートを貼ります。これで雨が降っても大丈夫。
サッシはほとんどが特注製作になります。約2週間かかるので、これまで付いていたサッシが仮付けされています。
最新の状況です。和室10帖間×2+広縁部が、改修スタートです。畳を剥ぎ取り、この後床を剥がしていきます。
少しカビの臭いが漂っています。
こんな感じの昔の大広間は、やっぱり魅力的ですね。
まだまだ気温30℃を超える小川村ですが、築40年改修工事がついに始まりました。お盆前後には、Oさんにて不要物の搬出をしていただき、家の周りもかなり整理されていたため、とてもスムーズに作業を開始できました。ありがとうございます。
いの一番には、足場ですね。今回は屋根や軒裏に対しての作業はありませんので、比較的安価に掛けることができました。
足場は鉄でできていますので、素手で触るとやけどする程熱くなっています。
足場を組む作業と並行して、2階のアルミ製のベランダを解体していきます。いずれ工事の最期には復旧することになっているので、小さな部品やビスもきちんと保管しておかなくてはなりません。
作業は大工さんに担当してもらいました。
次は、既存のトタン外壁の解体です。
この段階で重要なことは、土台や柱など、構造上重要な部分に腐れやしろありなどの虫害がないかどうか確認することです。
玄関部の様子です。この引き戸サッシの上は土壁ですが、右は過去に増築した部分で、紙袋に入ったグラスウールが見えています。
筋交いがあるので、きちんと断熱されていません。細切れのグラスウールが隙間だらけで押し込んであります。また鼠の住処になっていたりして、フンがいたるところに見つかります。
土台の含水率を測ると、12.5%でした。床下からの湿気の影響でやや高めですが、腐るほどのものではありません。
目視や触感で腐ったり、スカスカになっていないかチェックしていきます。
地上約1.5mほどの壁の中の筋違い材の含水率は10.5%でした。
高さ2mほどの地点では10%を切っています。地上から高い地点ほど材木が乾いていることが分ります。
在来木造工法の壁の中は、大概こうなっています。壁の一番下の部分は断熱材がうまく入っておらず、床下の空気が壁の中を通ってしまう結果となっています。断熱が効かないばかりではなく、壁の中で結露を引き起こす可能性が高くなります。
この家では幸いにも壁内結露による腐れ被害はありませんでした。
壁を剥がすと、いろいろな生物がいたことが分ります。これは泥蜂の巣です。わずかな隙間からこのような洞窟状の巣をつくるのですね。ある意味感動しました。
鼠のフンだと思われます。そのフンを狙ってか、ダンゴムシも混ざっています。
主要な部分はこのように泥壁になっています。今回はこの土を蓄熱体と見立てて、この外側に断熱材を外貼りしていきます。
土壁の面と柱の面に20~25mmの段差があります。(ちり寸法、と言います)
このわずかな隙間にも断熱材を入れることとしました。高性能グラスウール16K t=25㎜ 撥水タイプです。
せっかくスペースがあるならば、そこに断熱材を入れない手はありません。
この後の工程は防湿気密シートを兼ねた耐震用の構造用合板を貼るのですが、これを省略すると、このわずかなスペースで気流が発生し、冷暖房の効きが悪くなります。断熱材はそれ自体が断熱するのではなく、断熱材に含まれている動かない空気が断熱しているためです。
その上から構造用合板を貼り付けます。合板を止めつける釘にも注意が必要です。ツーバイフォー工法用の太目のCN釘と呼ばれるものを用いた方がよく、大工さんは専用の鉄砲で@100で柱や土台に打っていきます。
鉄砲用にロールになったCN釘50mmです。緑色に塗ってあるのは、釘の種類を判別するためと、この塗料が接着剤の役割を果たし、釘の抜けを防止します。また釘の頭には1本1本、50、と刻印があり、長さが判別できます。
筋交いがある箇所も、カッターで切って、隙間なく張り付けてゆきます。
構造用合板12㎜を貼り終えた様子です。この後、合板の継ぎ目のすべてに気密テープを貼っていきます。
大きな地震のときなど、建物が揺れようとしたとき、この合板を止めつけている釘が曲がることによって、建物が変形しようとするエネルギーを吸収するのです。
ここまででこの程度、産廃が出ました。
分別必須です。