出会いは数年前に新築をさせていただいた方のご紹介でした。初めてお目に掛かった時、建て替えをすべきか、現状のままである程度のリフォームで済ませてしまうか、いったいどうしたらよいか、だいぶお悩みであったと思います。以下初対面の際にお聞きしたことです。
F様ヒアリング
2013.01.20 14:00-16:00
紹介者・立会者 K様(OB)
預かり品=図面一式(茶封筒入り)
■既存専用住宅・倉庫
1、昭和46年新築 木造一部鉄骨造(築42年)~図面あり
2、30年前に一部解体し仏間を含む2階建てを増築
3、建築時期不明だが、敷地東北に2階建て倉庫あり
※敷地建物共、すべて100%F様の所有権
■地域特性等
・積雪は50~60cmあるのが、この時期の通例。
・非常に重い雪。湿度が高い
・夏も熱い。湿度が高い。
・地震は少ない
・この土地は昔田んぼだった
■居住者情報
・母(S16年生)今年72歳 一人暮らし
※長男(43才)京都在住 独身~なかなか帰省できない
※長女 K様の奥様 子供2人
※次男 福井市内在住 既婚 子供3人
工事期間中は近くの別宅があるので、一時的に引っ越し
■動機
・鉄骨柱脚にサビ
・しろあり発生(一部)
・屋根裏に生物が・・・
これらにより、地元の大工さんより、改修〇〇〇〇万の見積もりが出ている
■全体予算
・全てで2000万以内
・地盤改良必要か?
・解体費
・外構(北フェンス)
※瓦屋根2年前に載せ替えした。美品かつ高価な物なら流用か
■要望
・残す部分の2階に湯~ガス配管あり。瞬間湯沸かし器
・平屋
・キッチンは当然いる
・新築部に客間は不要
・11/末までに入居 12月は降雪
・分離発注
築42年の住宅+築30年の増築部がL字型に配置されています。増築部は、この地方の伝統的なつくりです。
写真は今年2月3日に初めて訪問した写真ですが、この時期にしては大変雪が少ないとのこと。
雨戸のように見える外壁は、あくまで外壁で、容易に取り換えができるように取り外しが簡単にできるようになっています。雪で家のまわりが埋まってしまうことを想定したつくりです。
この30年前の立派なつくりの方は客間として残し、右側の平屋部分を解体して改築する、という方向で検討しています。
ご紹介していただいたOBのKさんは、当然高断熱の家に住んでいるので、この寒い家に暮らす母親の身体的負担を思いやっての改築相談でした。
30年前増築した部分には、この地方の特産である木彫りがランマという形で建物に取り入れられています。1枚板から削り出されるそれはまさに職人技。到底真似ができない代物です。
玄関の式台には、巾90cmほどの1枚板が!
引戸にも一枚板が!
生つばものですが、当然この部分は解体せずに残します。
建て替え部分のファーストプランです。所有物の多さや要求が盛りだくさんで、けっこうな規模になってしまいました。
わたしの場合、1stプランはおおむねいつもこのような手書きプランです。
このプランを元に打ち合わせをし、外観イメージをパース化します。概算の見積書も合わせて提出し、現実性を帯びていきます。
3次元CADのいいところは、こうした図面もあまり時間を掛けなくとも作成できることです。
先日、今秋の完成に向けて設計契約をいただきました。今後改めて基本設計を練り直ししていきます。解体せずに残す部分との意匠的なバランスをどう取っていくかがポイントになっていくと感じています。