安曇野市 N様邸 | 株式会社Reborn(リボーン)

出会い~調査~1st PLAN

安曇野市に住むNさんとの出会いは、数年に新築したお客様からの紹介でした。昨年の秋に初めてお会いしました。お住まいは安曇野・穂高の山間部で標高は約1000mです。出身は北海道で、奥さま故郷の岩手県からお仕事の関係で移住され、築数十年の鉄筋コンクリート造社員寮的アパートにお住まいでした。

ご夫婦共に寒いところ出身ということで、冬暖かい家、木がたくさん使われている家、信州安曇野の山々が望める家などのご希望を胸に、数社のハウスメーカー営業マンと接触し、雑誌などで知識を蓄え、同時に土地を探してらっしゃいました。

そんな時、奥様が通う手芸教室の先生および場所が、私のOBの方で、以前に担当させていただいた穂高の木の家だったのです。

最初にお会いした時に、購入を検討している具体的な場所を見させていただきました。よもやま雑談の後、土地購入~引越しまでの総予算を教えていただき、「その予算内で希望する建物が建てられるだろうか?」、「手芸の先生の家をひとまわり小さくしたような感じでいいので、断熱性能は落とさず、冬暖かい暮らしがしたい」という宿題をいただきました。

 



目星をつけた土地は、新しく造成された市中で、見晴らしもすこぶる良く、値段も手ごろです。すでに不動産屋さんには口頭で購入の意思があることを伝え、数件のハウスメーカーと建物の打合せを重ねたが、どうもピンとこない。そんなとき、手芸の先生と出会ったそうです。

 

 



11月22日。そう、いい夫婦の日です。すでにお隣では着工開始のようで、某メーカーさんが基礎工事のための準備をしていました。

それとなく地盤の状況やどんな建主さんかをお聞きしました。

 

 

以下、最初にお目に掛かった時のメモです。

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N様初対面・現地調査   2012・11・22(木)13:30~

記録:しおはら住宅デザイン設計 塩原 真貴(一級建築士)

◆基本データ

おなまえ 生年月日 (〇歳)

休日は不定期。平日が休みの時もたまにある。

◆ヒアリング

・奥さんがSさんのお友達。S様邸の印象が良かったため、紹介。

・新築の動機~学校が遠い(穂高北小学校)。将来的な見通し。下の子が来年保育園へ。

・家族構成~夫婦(夫〇歳・妻 専業主婦)、子供2名。親との同居なし。4人家族のための専用住宅。

・気に入った土地(造成地)がある。〇〇〇不動産~建築条件なし。75坪600万+下水負担金60万=660万。手付金など保全措置はまだ。

安曇野市穂高有明

・〇〇〇ハウスで話を進めつつあった。

・ご主人の出身は札幌。奥さまは岩手。

・冬とても寒く、暖かい家にしたい。高断熱仕様。

・建築時期は特に急いでいない。(来年秋までかな?)時間をかけてよろしい。

・建物1300万くらいか。住宅ローン利用。決まった銀行は特にない。土地込みで2000万

・仕事上、ずっと住めないかもしれない。転売も有り得る。(あまり個性が強くないように気を付けたい)。

・コンパクトな家でよい。ウッドデッキはぜひ欲しい。キャンプ用品多し。外倉庫は必須(ヨド物置系でよい)タイヤ、園芸用品etc.

・南西の開けた視界、北西の有明山など眺望を活かした間取り。

・駐車場は2台+1台。西側か。キッチンは東。

・吹き抜けがぜひ欲しい。2階に物干しスペースとしてのホールが欲しい。

・1階の客間があればうれしい。普段は建具を解放できるように。

・2階のトイレは不要。

・リビングからの階段がよい。ストレート階段でもOK。子供の様子分るよう。

・子供部屋は2部屋。4~4畳半+収納 が2部屋でよい。子供部屋に籠らせたくない。

・寝室は2階西か。有明山を見たい。

・本棚たくさんほしい。収納を重視。

・2階に屋根付のベランダが欲しい。南西が希望。

・食事は畳か?床に直接座ってかな?

・玄関に収納をたっぷり欲しい。スキー、ジャンパー、靴。シュークローク?

・奥さま、ミシンが趣味。LDのどこかで机(カウンター)のあるスペース欲しい。

・S邸のカウンターは良い。そこでパソコンや勉強ができそう。

・外構もやれればやりたい。芝生。庭でBBQしたい。家庭菜園も。(別途費用でよい)

・薪ストーブは遠慮。薪の準備大変そう。パネルヒーターがよい。

 

◆今後の企画の進め方

① 当方にて、ヒアリング・調査を踏まえ、計画提案・概算見積を示す。土地が別の人の手に渡らないように、口頭で押さえてもらう。時間的に無理ならばできるだけ少額での手付金を支払い、予約申し込みをする。解除条件に注意してください。

② 銀行にて融資の相談。仮申し込みをして融資可能額の把握をする。(融資可能額をさぐる目的)

③ 融資金額と自己資金から、建物の規模や予算を決め、進められそうならば、土地の購入を決断する。土地購入から工事着工期間は出来るだけ短い方がお得

④ ③の企画提示。スケジュール確認。合意なら{設計監理業務委託契約を締結}

⑤ マスタースケジュールに則り、基本プランの検討に入る。

※平成25年11月を竣工で考えると、逆算で、工事着工はお盆の前後。工事準備期間は1~1.5か月必要。設計製図期間1か月→2月末~3月上旬に設計契約が妥当。

※住宅関連の助成や新制度、消費税の動きなど、現段階ではかなり不透明なことも多いのですが、消費税率のアップは避けられないとの見方が強く、建築業界は駆け込みが予測されています。木材や建材も値上がり傾向です。

 

◆候補地の調査

・候補地をご主人の同行で下見した。西隣りがちょうど着工寸前。東にダイニング・キッチン・パントリーが配置される。境界からの離れは約1.5m。30歳くらいの若い夫婦。エコキュート、勝手口ドアが1階東にあるので、注意が必要。地盤は割と良いらしい。改良工事の判定は出なかった(工事人談)

・南側の隣家は平屋。陽当たり良好。東は田園。北側道路。600万は安いと感じた。

・敷地北東角に消火栓がある。

・近隣は新しく、造成地なので、同世代が集中しそう。学校に至近でよい。

※写真撮影

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数日後、安曇野市役所などで法令調査などを行いました。

穂高は景観を守るための条例があり、道路や隣地境界からのセットバックや、外観意匠上、素材や色に制約があります。

 

 



予算とご要望を勘案して作成した手書きプランその①です。敷地の使い方や、ボリュームを理解してもらうためのものです。これまでの経験を踏まえてのものになるので、金額もざくっとしたものは伝えられるものでなくてはなりません。

私は、この段階では、ほとんどが手書きです。費用もここまではいただいておりません。

 

 

 

 



直接お目に掛かって、感想やご意見を伺った後、再度手書きのプランその②を作成しました。

この段階で±5%程度の精度で見積りをします。

 

 

 



住宅を建てる場合、建築工事費や設計費とは別に、さまざまな費用がかかります。それら別途費用を、できるだけ細かく拾いだし、コストを総合的に把握していただきます。

Nさんも資金計画を練っていることでしょう。設計初期はどうしてもオカネのことばかりになります。

 

 



希望される断熱性能や装備を盛り込むと、必然的に建物のおおよその規模が決まります。予算があるからです。

当然プランニングは、予算との綱引きとなります。

更なる希望を取り入れたもので提示しました。

 

Nさんは土地購入を決意!わたくしとの設計契約も合意に至りました。ご縁があったということです。さぁ、ここからが本当の設計作業になります。

 



自由設計の住宅プランはとても難しいと言われます。建築主は十人十色で、目に見える形で商品化されたものではなく、かつイメージがなかなか共有できないからでしょう。私は、出来るだけこのようなスケッチパースで建築主とイメージを共有できるようにしています。

 

 



そして打ち合わせをするたびに新たな発見があり、アイデアがあり、図面はメモで一杯になります。

この過程が住宅設計の一番の楽しみであり、納得度を高めるために必要な過程だと思っています。

 

 



設計の打ち合わせというと、とかく間取りやキッチンやユニットバスなどの設備機器の話が中心になりがちですが、断熱性能の程度も、その建築コストと相まって、ハッキリ示していくものでなくてはなりません。どこに予算を使うか。どう使うか、それは建築主に判断してもらわなければなりません。暖房に費やす灯油や電気は年間にしていったいいくらかかるのか!?それらがはっきりしない設計はあり得ないと思っています。ランニングコストのことを考えない設計は無意味です。

 



次世代省エネ基準というものがあります。この基準をクリアしている住宅を”高断熱高気密住宅”と呼んでいるのですが、わたしはこの基準をどのくらい超えているのかを非常に気にしながら設計しています。断熱材の厚さはもちろん、窓の位置やガラスの大きさ、種類など、ちょっとしたことがランニングコストに大きく影響します。

 



とかく間取りのパズルゲームやデザインの競い合いになってしまう基本プラン設計ですが、こうしたランニングコストの試算や、コストパフォーマンス重要視型の予算配分を静かに行っています。ここまでで、キッチンやトイレ、ユニットバスなどのお話しはなんにもしてません(笑)

 

 



ほとんどのハウスメーカーさんは、このような3Dパースを一発目に見せるようですが、私の場合、結構後回しになっちゃいます。

 

住宅設計の本質は、外観や間取りや予算だけではな、そこに暮らす人とできるだけイメージを共有し、いかにして予算配分に納得してもらうか、だと考えています。打合せの回数もここまでで5回。コミュニケーションがとっても大事です。メールのやりとりも頻繁です。きっといい家になるでしょう。