そろそろ日本が恋しくなってまいりました。
カレー、牛丼、味噌汁、そして納豆。
ドイツの食事はおいしいことは美味しいけれど、バリエーションが少ない気がします。
お陰様でお天気には恵まれ、いまだ傘は出番なし。
手袋マフラー、使い捨てカイロは大活躍。
BAUメッセ(BAU=建築の意)にも出店していたフランフォーファー研究所へ。
ここは日本の理研や建築研究所にあたる、国営のデータバンクです。
かれこれ1950年代から続いており、ドイツのなかである意味最も過酷な環境にあるそうです。
説明を聞いてはいますが、-9℃!?
外壁の劣化や窓まわりの劣化の状況を暴露実験中。同じ条件下に晒すよう、方位や陽の当たり方が同一条件になるように配慮されています。
双子の家、と呼ばれる、姿かたちが同じ建物を、窓や外壁など、素材を変えて比較できる実大実験用ハウス。
中にはロボットがいて、温熱環境を常に測定しているのだとか。
やることが真面目すぎやしないか?
確かにやりたい。やってみたい。でも現実的に無理。
というようなことをここではきっぱりと行っているようです。
ドイツには窯業系サイディングの外壁は存在しません。
塗り壁か木材のみです。
道中じっといろんな家をみましたが、上記2種類で100%です。
たまにオフィスやビルでガラス一面の外壁もありますが。
各メーカーがここに試験体を持ち込んで、客観性のある暴露試験を行っています。
こういうのは日本ではいまのところない。
各メーカーの試験値のみが判断材料とされ、セールスマンは口々に「うちのが一番優れている」、とか、「うちのがコスパ一番」とかで、比較がなかなかできない実情があります。
試験体の内側の様子。気温23℃、湿度50%でず~っとキープしているそうです。
どの素材がどのくらい中に染み込んでいるか、カビ、藻の発生状況。
馬鹿げているとも思えるこの途方もない実験と記録を、60年以上にも渡って行ってきている。
そう、それこそがドイツの凄さです。
古い建物を美とし、できるだけ長く使うようにするための工学といってよいと思います。
データは今後の改修や、材料選定の助けとなります。
素材(石の種類や木の樹種、塗り壁の素材やコーティング材)もさることながら、
最近は方位や壁に対する雨の当たり方、雨量によって、随分劣化がことなることに着目しているのだとか。日本だと、陽が当たる時間が少ない北側の面に腐れやカビ、藻が発生しやすいけれど、ここミュンヘンは西が最も劣化が激しいのだとか。
西面の壁に最も雨が当たることがわかっているそうです。
この研究所では、膨大な記録データを元に、劣化までをもシミュレーションでわかるようにするつもりだそうで、暴露実験の結果が、コンピューターによる劣化シミュレーションに合致するかどうかをチェックしているのです。
今回もお堅いレポートになってしまいました。
とにかくドイツは、「そこまでするか」、
を平気な顔で、淡々とこなしてゆく、
ある意味人間ロボットのようなことが平気でできるお国柄のように感じます。
フランフォーファー研究所は、ドイツ建築の象徴とも言える機関だと思います。
この果てしなく続く暴露実験面に、かないっこないなぁ。
2017.1.21 Reborn塩原